3分で簡単「希薄溶液」ファントホッフの法則とは?理系学生ライターが徹底わかりやすく解説!
希薄溶液とは?
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希薄溶液は、溶媒(水や有機溶剤など)に溶質(食塩や炭酸塩など)を溶かした状態を表す溶液の一種です。希薄溶液は、溶液の中でも濃度が小さいもののことを指します。希薄溶液の目安は、モル濃度で0.1[mol/L]以下となることです。
さらに、理想溶液として扱うことができる希薄溶液のことを、理想希薄溶液といいます。理想希薄溶液には、溶液に関する物理化学の法則を完全に適用することができますよ。ただ、理想溶液でない希薄溶液にも、各法則は近似的に適用可能です。
希薄溶液の性質
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希薄溶液には、様々な性質があり、それらの多くが定式化されています。具体的には、沸点上昇・蒸気圧降下・凝固点降下などが挙げられますよ。
また、このような現象を定式化したものには、ファントホッフの式・ラウールの法則・ヘンリーの法則などが存在します。これらの法則は、各種測定などで活用されていますよ。
希薄溶液には数多くの性質が存在するので、すべてを紹介することはできません。今回は、沸点上昇・凝固点降下・浸透現象の3つに焦点を当てて、解説をします。
2.沸点上昇
まず、沸点上昇という現象を説明します。この現象は、希薄溶液の沸点が、溶媒単独の場合の値よりも大きくなるという現象ですよ。つまり、塩水の沸点は精製水の沸点よりも高くなるのです。
この現象は定式化がなされており、定量的な評価が可能ですよ。以下では、沸点上昇の定式化方法とこの現象に関係する技術や知恵について述べます。
沸点上昇の定式化
沸点上昇は、Δtb=Kbmという式を用いて表現することができます。Δtb[K]は沸点上昇度、m[mol/kg]は希薄溶液の質量モル濃度です。沸点上昇度Δtb[K]は、対象とする溶液の沸点と溶媒単独の沸点の差分のことを表します。また、質量モル濃度m[mol/kg]は、溶質の物質量[mol]を溶媒の質量[kg]で除したものです。
さらに、比例定数Kb[K・kg/mol]はモル沸点上昇と呼ばれています。モル沸点上昇は、溶質の種類に依存することなく、各溶媒に固有の値をとりますよ。つまり、溶媒が水であれば、溶質が何であろうとモル沸点上昇の値が不変なのです。
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