今日は神経組織について勉強していきます。生物は何か刺激を受け取ったら、一旦脳で考えて行動するか、脳を経由せず素早い速度で反応する反射があるな。このように、皮膚などの受容器で発生した刺激(興奮と表現します。)を受けてこれらを伝達し結合する神経系にこの神経系(中枢)から命令を受けて反応する効果器(筋肉や腺)という一連の流れがあるんです。人間のような高等な生物になれば、中枢での神経細胞どうしの連絡が複雑になってくるぞ。これら神経組織について 医学系研究アシスタントのmimosa(ミモザ)と一緒に解説していきます。

ライター/mimosa

もともと文系出身で、独学で生物学、生化学を勉強し、現在医学系研究所の研究アシスタントとして理系の世界へ飛び込んだ。理科が苦手な方へも興味を持ってもらうべくわかりやすい説明を心掛けている。

神経組織とは

image by iStockphoto

神経組織とは、刺激を伝える働きを持つ組織なのですよ。ニューロンは聞いたことあるかもしれません。ニューロンは神経細胞であり、この神経細胞から成り立っているのですよ。

さらに、脳やせき髄などの中枢神経系と、身体のすみずみへ分布するように末梢神経系がありますよ。

神経細胞と神経線維

神経細胞と神経線維

image by Study-Z編集部

神経細胞(ニューロン)とは、神経系を構成する基本となる細胞ですよ。ニューロンの役割は、遠く離れた細胞間で情報を伝えることなので、とても長い突起を持っているのですよ。核のある細胞体から長く伸びるこの突起を軸索(神経突起)と言って、細胞体から伸びるたくさんの短い突起を樹状突起と言いますよ。

次に、上記ででてきた軸索を詳しく見ていきましょう。軸索にはシュワン細胞でできた神経鞘(しょう)が取り巻いていることが多いのですよ。これを神経線維と言います。脊椎動物では神経線維は有髄神経線維になりますよ。ちなみに、軸索取り巻いているシュワン細胞は、軸索に栄養補給を行っていますよ。また有髄神経線維は、シュワン細胞が軸索のまわりを何重にも取り巻いて髄鞘(ミエリン)と呼ばれる構造が見られますよ。

ニューロンの種類

ニューロンの種類

image by Study-Z編集部

ニューロンには感覚ニューロン介在ニューロン運動ニューロンの3種類がありますよ。感覚ニューロンは、受容器(皮膚や感覚器)からの興奮を中枢(脳や脊髄)に伝えるニューロンですよ。細胞体から2本の長い突起が反対方向に出て伸びているところが特徴です。細胞の本体は、脊椎動物では背根にありますよ。求心性経路を形成します。介在ニューロンは、ニューロン間の連絡をするニューロンであり全体の長さは短く、脳、脊髄、交感神経節などの中枢に存在していますよ。運動ニューロンは、中枢からの興奮を筋肉や腺などに伝えるニューロンですよ。1本の長い軸索から成っていて、多数の樹状突起があるのが特徴ですよ。

求心性経路、遠心性経路という言葉が出てきましたが、全身からの感覚情報を中枢に伝えるのが 求心性、中枢からの指令を筋肉や腺などの効果器に伝えるのが遠心性です。

\次のページで「ニューロンの興奮」を解説!/

ニューロンの興奮

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ニューロンは神経細胞ですが、では、ニューロンからニューロンへどのように情報を伝達しているのでしょうか。ニューロンは電気的な変化によって情報を伝えているのですよ。

その仕組みについて概要を説明しますね。

静止電位

静止電位

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ニューロンなどの神経細胞や一般の細胞膜の内側と外側には電位差があるのですよ。細胞膜の内側と外側には電解質が不均一に分布しています。細胞膜の透過性によって、電位変化が起こりますよ。ちなみに、内側はカリウムイオン、外側はナトリウムイオン濃度が高いです。

細胞膜が興奮していないときの膜電位を静止電位と言いますよ。このとき、膜の内側は-に、外側は+になっています。細胞内が+に傾いたり(脱分極)、-に傾いたり(再分極)して調整されているのですよ。

脱分極は、膜が刺激を受けると、ナトリウムイオンに対する透過性が増大し、ナトリウムイオンは細胞内に流入してきます。プラスイオンが細胞内に流入するので、細胞内はプラスイオンに傾きますよ。再分極は、カリウムイオンチャネル(カリウムを通す穴)が開くと、カリウムイオンは細胞外に流出します。プラスイオンが流出するので、細胞内はマイナスに傾きますよ。

活動電位の発生と興奮

細胞膜にはナトリウムイオンを通す穴(ナトリウムチャネル)も存在しますよ。これは、静止時には閉じていますが、刺激を受けると開き、ナトリウムチャネルが開くと、ナトリウムイオンは濃度の高い外側から細胞内へ流れ込むので、細胞内は+になります。一度開いたナトリウムチャネルはすぐに閉じて、カリウムチャネルが開いてカリウムイオンが細胞外に流出することによって、電位はすぐにもとの静止状態へもどりますよ。この一連の電位変化を活動電位と言い、活動電位が発生することを興奮と言いますよ。

\次のページで「シナプスと興奮の伝達のしくみ」を解説!/

シナプスと興奮の伝達のしくみ

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シナプスを経由して興奮が隣接する細胞に伝わることを興奮の伝達と言うのですよ。どのようにして伝達が行われるのか見ていきましょうね。

シナプスとは

ニューロンと他の細胞をつないでいる部分をシナプスと言いますよ。代表的なシナプスはニューロンとニューロンの接続部やニューロンと骨格筋の接続部で見られますよ。ニューロンとニューロンは密着しているのではなく、シナプス間隙という狭い隙間を隔てて接続しているということを踏まえて、興奮がどのようにして伝達されるのか見ていきましょうね。

神経伝達物質

ニューロン間の情報伝達に不可欠な物質を神経伝達物質と言いますよ。興奮が届いた軸索の末端部分では、細胞質中のシナプス小胞からアセチルコリンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質がシナプス間隙に分泌されることで細胞に情報が伝わっていますよ。

伝達の方向

興奮を伝達される側のニューロンの細胞膜(シナプス後膜)には、神経伝達物質を受け取るための受容体がありますよ。神経伝達物質が受容体に結合することによって、情報は送り手側(シナプス前ニューロン)から受け手側(シナプス後ニューロン)へと伝えられますよ。

また、シナプスで接続する二つのニューロンの末端のうち、一方にはシナプス小胞があり、他方には神経伝達物質を受け取る受容体があります。このことから、シナプスは興奮の伝達方向は一定であって、逆方向には伝達されないのです。

シナプス後電位の加重

神経伝達物質には、興奮性のものと抑制性のものがありますよ。シナプス後膜に通電させて、+に傾くか、-に傾くかで神経伝達物質と通していますよ。興奮性シナプス後電位(EPSP)は興奮性のもので、電位の値が+よりにします。(脱分極)抑制性は、抑制性シナプス後電位(IPSP)を-よりにしますよ。過分極)EPSPが生じると興奮しやすくなり、IPSPが生じると興奮しにくくなるという作用がありますよ。それぞれ単独で作用するというよりは、複数のEPSPとIPSPが重なり合って活動電位が発生しますよ。

神経組織は複雑な情報伝達組織

生物が何かしらの感覚を刺激として受け取り、反応するためには極小の細胞や組織が関わっていることがわかりました。神経組織とは、神経系を構成する組織で、中枢神経と末梢神経をつくる細胞の集まりであり、ニューロンは神経細胞であり、ニューロンは細胞体、樹状突起、軸索(神経突起)です。私たちヒトを含む脊椎動物では、有髄神経線維ですよ。ニューロンは、電気的な変化によって情報を伝えており、電解質の濃度差によって電位差を発生させています。興奮の伝達、電動には方向が決まっており、神経伝達物質にはアセチルコリンやアドレナリンがありましたね。神経組織についてこれだけのことがわかっていますが、まだまだ解明されていないことはたくさんあります。神経系のことが現在よりも解明されたら、神経系の病気のメカニズム、予防法、治療法が確立されていく可能性がありますね。

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体の仕組み・器官理科生物

3分で簡単「神経組織」神経はどうやって脳に命令を送っているの?医学系研究アシスタントがわかりやすく解説

今日は神経組織について勉強していきます。生物は何か刺激を受け取ったら、一旦脳で考えて行動するか、脳を経由せず素早い速度で反応する反射があるな。このように、皮膚などの受容器で発生した刺激(興奮と表現します。)を受けてこれらを伝達し結合する神経系にこの神経系(中枢)から命令を受けて反応する効果器(筋肉や腺)という一連の流れがあるんです。人間のような高等な生物になれば、中枢での神経細胞どうしの連絡が複雑になってくるぞ。これら神経組織について 医学系研究アシスタントのmimosa(ミモザ)と一緒に解説していきます。

ライター/mimosa

もともと文系出身で、独学で生物学、生化学を勉強し、現在医学系研究所の研究アシスタントとして理系の世界へ飛び込んだ。理科が苦手な方へも興味を持ってもらうべくわかりやすい説明を心掛けている。

神経組織とは

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神経組織とは、刺激を伝える働きを持つ組織なのですよ。ニューロンは聞いたことあるかもしれません。ニューロンは神経細胞であり、この神経細胞から成り立っているのですよ。

さらに、脳やせき髄などの中枢神経系と、身体のすみずみへ分布するように末梢神経系がありますよ。

神経細胞と神経線維

神経細胞と神経線維

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神経細胞(ニューロン)とは、神経系を構成する基本となる細胞ですよ。ニューロンの役割は、遠く離れた細胞間で情報を伝えることなので、とても長い突起を持っているのですよ。核のある細胞体から長く伸びるこの突起を軸索(神経突起)と言って、細胞体から伸びるたくさんの短い突起を樹状突起と言いますよ。

次に、上記ででてきた軸索を詳しく見ていきましょう。軸索にはシュワン細胞でできた神経鞘(しょう)が取り巻いていることが多いのですよ。これを神経線維と言います。脊椎動物では神経線維は有髄神経線維になりますよ。ちなみに、軸索取り巻いているシュワン細胞は、軸索に栄養補給を行っていますよ。また有髄神経線維は、シュワン細胞が軸索のまわりを何重にも取り巻いて髄鞘(ミエリン)と呼ばれる構造が見られますよ。

ニューロンの種類

ニューロンの種類

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ニューロンには感覚ニューロン介在ニューロン運動ニューロンの3種類がありますよ。感覚ニューロンは、受容器(皮膚や感覚器)からの興奮を中枢(脳や脊髄)に伝えるニューロンですよ。細胞体から2本の長い突起が反対方向に出て伸びているところが特徴です。細胞の本体は、脊椎動物では背根にありますよ。求心性経路を形成します。介在ニューロンは、ニューロン間の連絡をするニューロンであり全体の長さは短く、脳、脊髄、交感神経節などの中枢に存在していますよ。運動ニューロンは、中枢からの興奮を筋肉や腺などに伝えるニューロンですよ。1本の長い軸索から成っていて、多数の樹状突起があるのが特徴ですよ。

求心性経路、遠心性経路という言葉が出てきましたが、全身からの感覚情報を中枢に伝えるのが 求心性、中枢からの指令を筋肉や腺などの効果器に伝えるのが遠心性です。

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