この記事では「憚られる」について解説する。

端的に言えば憚られるの意味は「遠慮やためらい」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元大手予備校校舎長で大学入試の国語指導歴が長いライターのみゆなを呼んです。一緒に「憚られる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/みゆな

元大手予備校校舎長、現在は教育系のライター。国語、特に現代文の指導経験が豊富。難解な言葉や表現を中高生がスラスラ理解できるように解説するのが大得意。

「憚られる」の意味や語源・使い方まとめ

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「憚られる」は「はばかられる」と読みます。「憎まれっ子 世にはばかる」ということわざは有名ですね。でもあらためて意味を聞かれると、ちょっと自信がないと言う人も多いかもしれません。受験やビジネスシーンにも登場する言葉なので、この機会に「憚られる」を適切に使えるように理解しておきましょう。表現の幅がぐんと広がりますよ。

それでは早速「憚られる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「憚られる」の意味は?

「憚られる」には、次のような意味があります。

何かに気を使って遠慮せざるを得ないこと、遠慮すること。

出典:実用日本語表現辞典「憚られる」

「憚られる」は、動詞「憚る(はばかる)」に自発の意味の助動詞「れる」が付いた言葉です。一つひとつ見ていきましょう。

まず「憚る」は「差し障りをおぼえてためらう、気兼ねする、遠慮する」という意味です。そして「憚る」が未然形「はばから」になり、助動詞「れる」がくっついたのが「はばから+れる(憚られる)」という品詞分解になるわけですね。この助動詞「れる」は自発の意味合いを持っており、意識せずとも自然発生的にそうなってしまうという様子を指します。つまり「憚られる」は自分で意図的に遠慮するつもりがなくても、自然と遠慮してしまうさまということです。

ちなみに「憎まれっ子世にはばかる」ということわざで使われる「憚る」は少しニュアンスが異なり、「のさばる」という意味になります。この「のさばる」という意味でつかわれる場合は、「憚られる」という形にはなりません。

「憚られる」の語源は?

「憚られる」の元になっている言葉「憚る」の語源は諸説あり、よくわかっていません。

1つの有力な説は「阻む(はばむ)」と語源を同じくする、というものです。「阻む」には「進もうとするのをさまたげる、防ぎとめる」という意味があります。行動しようとするものを邪魔することが「阻む」であり、それと語源を同じくする「阻む」は邪魔された結果行動をためらう、遠慮するという意味になったということです。

「憚られる」の「憚」は難しい漢字ですね。「単」は薄く平たいはたきを描いた象形文字で、「心(りっしんべん)」と組み合わさることで、心が薄く平らで上下に細かく震えるさまを表しているそうです。

\次のページで「「憚られる」の使い方・例文」を解説!/

「憚られる」の使い方・例文

「憚られる」は使える場面が限定される言葉です。例文を使って、どんな場面がふさわしいのか見ていきましょう。

1.社長に私が申し上げるのも憚られるのですが、一言よろしいですか。
2.ご足労をお願いし憚られるのですが、こちらまでおいでいただけますか?
3.大役にご指名いただき憚られますが、精一杯努めさせていただきます。
4.お客様の前でそんな態度をとるんじゃない、少しは憚りなさい!

「憚られる」を使うシーンは主に4つあります。

1つ目は上司など目上の人に「意見」する場面です。部下の立場で上司に意見はしにくいものですよね。そんな時に、「私が申し上げるのも憚られるのですが」と導入として使ってみましょう。「大変恐縮ですが」というクッション言葉と同じように使えます。

2つ目は上司など目上の人に「お願い」するとき。「お忙しい折に憚られますが」と一言添えることで、遠慮がちな気持ちや謙虚な姿勢を言葉に込められますよ。

3つ目は自分の実力以上の仕事を引き受ける場面です。「光栄です・恐縮です」と、自分をへりくだらせながら嬉しい気持ちを伝えられます。「大役を任せてくれてありがとう」と感謝も感じられますね。

4つ目は目下の人や身内を叱るというケースです。お客様の前などで失礼な振る舞いをした際に「憚りなさい」と言うと「場をわきまえなさい」と注意している意味になります。

「憚られる」の類義語は?違いは?

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「憚られる」はクッション言葉として使われるだけあって、多くの似た意味を持つ言葉があります。代表的なものを2つ見てみましょう。

その1「僭越ながら」

「僭越」の読み方は「せんえつ」です。「自分の身分や地位を越えて、出過ぎた事をすること。失礼な態度や行動」という意味があり、「僭越ながら」として「身の程をわきまえず、失礼だとは承知しながら」という意味で使います。「憚られる」と同じように目上の人に意見を言ったり、あるいは大勢の前で発言したりする際にもよく登場する表現です。

\次のページで「その2「恐縮ですが」」を解説!/

その2「恐縮ですが」

「恐縮ですが」は日常的に使う言葉ですね。相手に迷惑をかけたり、相手の厚意を受けたりして申し訳なく思うことを表します。相手の好意を自分には過ぎると遠慮したり、相手にかかる手間に対して申し訳ないと気を遣う際に前置きとしても使える表現です。

「憚られる」の対義語は?

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「憚る」の対義語を考えてみましょう。「憚る」は「遠慮する」という意味ですから、反対にすると「遠慮をしない」というニュアンスを持つ言葉ということになりますね。「遠慮をしない」という意味を持つ言葉のうち、代表的なものを2つご紹介します。

その1「無遠慮」

「無遠慮」は文字通り「遠慮がないさま」を表します。周りを気にせず、勝手気ままに振る舞う人のことを「あの人は無遠慮だ」と言ったりしますね。良い意味でつかわれることはほぼありません。

その2「図々しい」

「図々しい」は性格が厚かましい、ふてぶてしいさまです。厚かましいので、遠慮なくなんでも行動してしまえる点で「憚る」とは反対の意味を表します。

「憚られる」の英訳は?

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自分の行動を遠慮がちに表現する「憚られる」は、いかにも日本的な印象を受けます。英語ではどのように表現するのでしょうか?

\次のページで「その1「hesitate」」を解説!/

その1「hesitate」

「hesitate」は「躊躇(ちゅうちょ)する、二の足を踏む、ためらう」という意味を持っています。ある行動をするかどうか、決心がつかずに迷っているというニュアンスです。

He hesitated before replying.
「彼は返事をする前にちゅうちょした(返事をすることが憚られた)」

その2「reluctant to~」

「reluctant to~」は何かをするのに「あまり気が進まない、気分が乗らない」という意味を持っています。また自主的に何かをすることを控える、というニュアンスもある慣用句です。

By the end of the Keicho era, tozama daimyos became reluctant to construct a castle out of consideration for the bakufu.
「慶長末期になると、外様大名による築城は幕府への遠慮などにより自主的に憚られるようになった」

「憚られる」を使いこなそう

この記事では「憚られる」の意味・使い方・類語などを説明しました。

目上の人に何か言いたくてもどう伝えれば良いのかわからず、胸にしまったままにしてしまうということはよくあるものです。そんなときに「私がこういうのも憚られるのですが」と一言添えると、ぐっと言いやすくなるはず。また「憚られる」は改まった表現なので、言われた相手も聞く耳を持とうと思うものです。

「憚られる」の用法を正しくおさえ、自己表現の幅を広げていきましょう。

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国語言葉の意味

「憚られる」の意味や使い方は?例文や類語、気をつけたい用法を元予備校校舎長がわかりやすく解説!

この記事では「憚られる」について解説する。

端的に言えば憚られるの意味は「遠慮やためらい」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元大手予備校校舎長で大学入試の国語指導歴が長いライターのみゆなを呼んです。一緒に「憚られる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/みゆな

元大手予備校校舎長、現在は教育系のライター。国語、特に現代文の指導経験が豊富。難解な言葉や表現を中高生がスラスラ理解できるように解説するのが大得意。

「憚られる」の意味や語源・使い方まとめ

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「憚られる」は「はばかられる」と読みます。「憎まれっ子 世にはばかる」ということわざは有名ですね。でもあらためて意味を聞かれると、ちょっと自信がないと言う人も多いかもしれません。受験やビジネスシーンにも登場する言葉なので、この機会に「憚られる」を適切に使えるように理解しておきましょう。表現の幅がぐんと広がりますよ。

それでは早速「憚られる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「憚られる」の意味は?

「憚られる」には、次のような意味があります。

何かに気を使って遠慮せざるを得ないこと、遠慮すること。

出典:実用日本語表現辞典「憚られる」

「憚られる」は、動詞「憚る(はばかる)」に自発の意味の助動詞「れる」が付いた言葉です。一つひとつ見ていきましょう。

まず「憚る」は「差し障りをおぼえてためらう、気兼ねする、遠慮する」という意味です。そして「憚る」が未然形「はばから」になり、助動詞「れる」がくっついたのが「はばから+れる(憚られる)」という品詞分解になるわけですね。この助動詞「れる」は自発の意味合いを持っており、意識せずとも自然発生的にそうなってしまうという様子を指します。つまり「憚られる」は自分で意図的に遠慮するつもりがなくても、自然と遠慮してしまうさまということです。

ちなみに「憎まれっ子世にはばかる」ということわざで使われる「憚る」は少しニュアンスが異なり、「のさばる」という意味になります。この「のさばる」という意味でつかわれる場合は、「憚られる」という形にはなりません。

「憚られる」の語源は?

「憚られる」の元になっている言葉「憚る」の語源は諸説あり、よくわかっていません。

1つの有力な説は「阻む(はばむ)」と語源を同じくする、というものです。「阻む」には「進もうとするのをさまたげる、防ぎとめる」という意味があります。行動しようとするものを邪魔することが「阻む」であり、それと語源を同じくする「阻む」は邪魔された結果行動をためらう、遠慮するという意味になったということです。

「憚られる」の「憚」は難しい漢字ですね。「単」は薄く平たいはたきを描いた象形文字で、「心(りっしんべん)」と組み合わさることで、心が薄く平らで上下に細かく震えるさまを表しているそうです。

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