この記事では「リカバリー」について解説する。

端的に言えばリカバリーの意味は「回復」や「復旧」などですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

情報誌系の記者を10年経験したライター・にべこを呼んです。一緒に「リカバリー」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/にべこ

某大手情報誌の記者を務め、その後フリーライターに。ビジネス用語ならおまかせ。さまざまなシーンで使えるカタカナ言葉を噛み砕いてご紹介。

「リカバリー」の意味や語源・使い方まとめ

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今回ご紹介するのは「リカバリー」という言葉です。

パソコン、特にOS(オペレーティングシステム)に詳しい人などは耳馴染みがある言葉ではないでしょうか?ですがそのほかにも、ビジネスシーンやスポーツ、医療の分野など様々な場面で使われる言葉なので、本来の定義をしっかりと確認していきましょう。

「リカバリー」の意味は?

「リカバリー」には、次のような意味があります。

1.取り戻すこと。回復・復旧すること。「仕事の遅れをリカバリーする」「起動しなくなったパソコンをリカバリーする」
2.アメリカンフットボールで、グラウンドに転がっているボールを確保すること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「リカバリー」

辞書を引くと「リカバリー」には二つの意味があると記載があります。一つは「回復・復旧」、もう一つは「アメフトでのボールの確保」。ですが、一般的によく使われるのは圧倒的に1.の「回復・復旧」という意味合いでしょう。様々な業種・分野で広く使われている言葉です。

下記ではこの「回復・復旧」の意味合いを中心に、語源や使い方を確認していきましょう。

「リカバリー」の語源は?

「リカバリー」の語源を確認しておきましょう。

元々は英語の「recovery」という名詞で、「回復」「復旧」「修復」などを意味しています。さらにその語源を遡ると、ラテン語の「recipio(再び取り戻す)」となるようです。

ちなみにこの語源からほかに派生した言葉としては「recive(レシーブ):受け取る」「recuperate(レキュぺレート:回収、回復する)」などがあります。

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ビジネスシーンにおける「リカバリー」の使い方・例文

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1.今年度前半を業績の底と覚悟を決め、短期的利益を追わずに販売の質改善に取り組み、来年度以降の業績回復のためリカバリーに努める方針だ。
2.今期は公表した業績予想の下限を下回る見込みであり、その落ち込みのリカバリーが困難な見込みとなったことから、業績予想数値を下方修正することにした。

ビジネスシーンにおける「リカバリー」は「失敗を取り戻す」という意味をあらわします。仕事上でのミス、もしくはトラブルやハプニングなどで進行が遅れてしまったり、予想や予定が狂ったりなどの際に、それを挽回する際などに使うことが多いでしょう。

スポーツ分野における「リカバリー」の使い方・例文

1.アスリートのパフォーマンス向上や怪我の予防には、十分な休養を取って身体的・精神的にリカバリーすることが重要だ。
2.自身の身体を限界まで動かした後に休息をとり、疲労した身体をリカバリーさせた後、さらに過負荷を与えることを繰り返すのが超回復を実現させる効果的なトレーニング方法である。

スポーツの分野における「リカバリー」は、アスリートの「疲労を回復させる」という意味を持ちます。肉体的疲労だけでなく、および精神的疲労も併せ良好な状態に戻すということです。休養や睡眠などのリフレッシュはもちろん、食事、マッサージやストレッチ、温泉やサウナなどの温浴、医療機関の利用など、様々な疲労回復へのアプローチ方法があります。

ちなみに水泳ではクロールのストロークの一部の動作を「リカバリー動作」と呼ぶようです。水を後ろへかいた後に手を前に戻す動作のことを指しており、スピードを出して速くスムーズな泳ぎをするためにはこのリカバリーの動きが重要なのだとか。

IT分野における「リカバリー」の使い方・例文

\次のページで「医療分野における「リカバリー」の使い方・例文」を解説!/

1.パソコンを修理に出したり処分する際は、一度出荷状態に戻す必要があるが、その際はハードディスクのリカバリー領域に保存されているデータを使って回復ドライブを作り、初期化を行う。
2.OSをアップデートしたところパソコンが起動しなくなってしまったので、あらかじめ作成しておいたリカバリーディスクを起動させてパソコンを初期化した。

ITの分野で「リカバリー」というと、主に「復旧・復元」「初期状態に戻す」という意味で使われます。故障や何らかの突発的、不具合で機能不全に陥ったPCやスマホなどの機器やシステム、ソフトウェア、データなどを復旧すること指し、単なるシステムやソフトの再インストールではなく完全に初期化をするという意味です。その際「リカバリ」と言うことの方が多いですが、「リカバリー」との意味の違いはありません。

ちなみに関連語で「リセット」という言葉もありますが、これは主にPCの強制再起動を指します。「リスタート」などという言い方も。ですが「設定をリセットする」などという使い方もあり、これは「設定の初期化」という意味なので「リカバリー」と多少ニュアンスが似ていますね。

医療分野における「リカバリー」の使い方・例文

1.医療におけるリカバリーとは、疾患などを抱えている人たちが自身が求める生き方の追求をサポートすることだ。
2.先進諸国における精神保健をめぐる考え方は大きく変化しているが、それを象徴する概念が「リカバリー概念」である。

医療現場における「リカバリー」は、「回復」そのものです。病気からの肉体的回復支援、ダメージからの精神的な回復支援はもちろんですが、慢性疾患など早急な完治が難しい症状を持つ場合、その疾患と付き合いながらもその人らしい生活ができるよう支援することも併せて指します。病気からの回復を「クリニカルリカバリー(Clnical recovery)」、人としてのリカバリーを「パーソナルリカバリー(Personal recovery)」と呼び、これらは主に精神保健従事者の見方から生まれた言葉なのだとか。

「リカバリー」の類義語は?違いは?

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それでは「リカバリー」の類義語や関連語、その違いを確認していきましょう。

\次のページで「「リカバー」」を解説!/

「リカバー」

「リカバー」と「リカバリー」は、どちらも意味合いそのものはまったく同じ、「回復」「復旧」を指します。

本来は「リカバー」は動詞であり、「リカバーする」「リカバーできる」などいった使い方、「リカバリー」は名詞であり「リカバリー方法」「リカバリー手順」などといった使い方をするという違いがあるのです。しかし日本語においては「リカバリーする」という動詞的な使い方もするのが一般的なため、この二つの言葉についてはほぼ同義と考えて良いでしょう。

「カバー」

「リカバリー」や「リカバー」と似た言葉で「カバー」もあります。これは「覆う」「被せる」という意味のほかに、「補う」「代理をする」などの意味があり、「ミスをカバーする」などという使い方をすることも。「リカバリー」が回復させることを指すのであれば、「カバー」は助けるという意味合いで使うことが多いでしょう。

「リストア」

「リストア」はシステムやPCなどの機器においての「リカバリー」と対になっている言葉で、意味合い的には「リカバリー」と同じく「復旧」を指します。ですがまったくの同義ではありません。

例えばパソコンに不具合が起きてOSの復旧をする場合、まずバックアップしておいたシステムデータをパソコンに戻します。これが「リストア」。そしてそのリストアしたデータに処理を加えて正常化させることを「リカバリー」と呼ぶのです。つまり、リストアはバックアップデータを入れること、リカバリーはそのデータを正常に稼働させることという違いがあるということですね。

「リカバリー」の対義語は?

「リカバリー」の明確な対義語はありません。しかし「回復」という意味合いの対義をなす言葉としては、例えばビジネスシーンでは失敗などにより信用を無くすという意味の「失墜」であったり、医療現場では傷を負うという意味の「負傷」などがあります。その状況によって多様な表現をするということですね。

「リカバリー」を使いこなそう

この記事では「リカバリー」の意味・使い方・類語などを説明しました。様々な分野で多様な意味で使われていた言葉でしたね。日常会話でも幅広く使えるかと思います。ぜひ今回の記事を参考に、類語の意味合いやニュアンスの違いなども注意しつつ、いろんな場面で使ってみてください。

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国語言葉の意味

「リカバリー」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

「リカバー」

「リカバー」と「リカバリー」は、どちらも意味合いそのものはまったく同じ、「回復」「復旧」を指します。

本来は「リカバー」は動詞であり、「リカバーする」「リカバーできる」などいった使い方、「リカバリー」は名詞であり「リカバリー方法」「リカバリー手順」などといった使い方をするという違いがあるのです。しかし日本語においては「リカバリーする」という動詞的な使い方もするのが一般的なため、この二つの言葉についてはほぼ同義と考えて良いでしょう。

「カバー」

「リカバリー」や「リカバー」と似た言葉で「カバー」もあります。これは「覆う」「被せる」という意味のほかに、「補う」「代理をする」などの意味があり、「ミスをカバーする」などという使い方をすることも。「リカバリー」が回復させることを指すのであれば、「カバー」は助けるという意味合いで使うことが多いでしょう。

「リストア」

「リストア」はシステムやPCなどの機器においての「リカバリー」と対になっている言葉で、意味合い的には「リカバリー」と同じく「復旧」を指します。ですがまったくの同義ではありません。

例えばパソコンに不具合が起きてOSの復旧をする場合、まずバックアップしておいたシステムデータをパソコンに戻します。これが「リストア」。そしてそのリストアしたデータに処理を加えて正常化させることを「リカバリー」と呼ぶのです。つまり、リストアはバックアップデータを入れること、リカバリーはそのデータを正常に稼働させることという違いがあるということですね。

「リカバリー」の対義語は?

「リカバリー」の明確な対義語はありません。しかし「回復」という意味合いの対義をなす言葉としては、例えばビジネスシーンでは失敗などにより信用を無くすという意味の「失墜」であったり、医療現場では傷を負うという意味の「負傷」などがあります。その状況によって多様な表現をするということですね。

「リカバリー」を使いこなそう

この記事では「リカバリー」の意味・使い方・類語などを説明しました。様々な分野で多様な意味で使われていた言葉でしたね。日常会話でも幅広く使えるかと思います。ぜひ今回の記事を参考に、類語の意味合いやニュアンスの違いなども注意しつつ、いろんな場面で使ってみてください。

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