
端的に言えば憐憫の意味は「かわいそうに思うこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
哲学、思想、政治に強い文系大学院生を呼んです。一緒に「憐憫」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/南原眞一
法学研究科にて哲学、思想、政治を学んでいる現役文系大学院生。本来の専門は20世紀辺りのドイツ政治思想。大衆に訴えかける能力があると指導教授に言われた筆致で言葉を丁寧に解説していく。
「憐憫」の意味は?
「憐憫」には、次のような意味があります。
かわいそうに思うこと。あわれむこと。あわれみ。れんみん。「―の情」
出典:デジタル大辞泉(小学館)「憐憫」
憐憫と書いて、「れんびん」と読みます。「憐憫の情」という言い回しを聞いたことがあるかもしれませんが、その意味を正確に理解しているひとは少ないかもしれません。「憐」はまだしも、「憫」の漢字が何を意味するかを知っている人は殆どいないでしょう。この機会に「憐憫」の意味を詳しく理解しましょう。
「憐憫」の語源は?
次に「憐憫」の語源を確認しておきましょう。ルネ・デカルトの「困難は分割せよ」とのアドバイスに則って、まずは「憐憫」を分けて考えてみましょう。
「憐」は音読みで「れん」と読みます。意味は、「あわれむこと」です。「憐れむ」という使い方でよく見ますね。他にも、憐れみ慈しむことを意味する「憐愛」(れんあい)や、あわれみ思いやることを意味する「憐察」(れんさつ)といった使い方があります。また、憐れむこととはズレた意味合いですが、感嘆を示す「可憐」という熟語もあることを覚えておきましょう。
「憫」は音読みで「びん」と読みます。意味は、これまた「あわれむこと」です。熟語としては、あわれみ笑うことを意味する「憫笑」(びんしょう)、父母に死なれた不幸を意味する「憫凶」(びんきょう)があります。
つまり、憐憫は「あわれむこと」を意味する漢字が二つ連なって成立している熟語なのです。
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