端的に言えば奇しくもの意味は「偶然にも」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
今回は、ロシアで2年間日本語教師として働いた大学院生ライターの「むかいひろき」を呼んです。一緒に「奇しくも」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/むかいひろき
ロシアの大学で2年間日本語教師として働いた経験を持つ大学院生。その経験を武器に、「言葉」について分かりやすく解説していく。
「奇しくも」の意味は?
「奇しくも」には、次のような意味があります。
偶然にも。不思議にも。「―その誕生日に世を去った」
出典:デジタル大辞泉(小学館)「くしく‐も【▽奇しくも】」
「奇しくも」は「偶然にも」「不思議にも」という意味を表します。読み方は「くしくも」と読み、「きしくも」とは読まないので注意しましょう。
「悔しくも」や「惜しくも」と同じ意味で使っている人がいますが、誤用です。また、「皮肉にも」という意味もないので注意しましょう。
「奇しくも」の語源は?
次に「奇しくも」の語源を確認しておきましょう。
「奇しくも」は、形容詞の「奇し(くし)」と係助詞の「も」が組み合わさってできています。この形容詞の「奇し」は、現在では「奇しくも」以外ではほとんど使用されないとても古い言葉です。
「奇し」は「奇異である」「不思議である」「霊妙である」という意味を持った言葉で、765年(奈良時代)の『続日本紀』には、「天地の明けき奇伎(くしキ)徴(しるし)の授け賜ふ人は」とあり、既に使用が確認されています。
\次のページで「「奇しくも」の使い方・例文」を解説!/