今日は脳の中でも「小脳」について勉強していきます。大脳は感情や記憶や思考などに関係していて様々な情報を取りまとめていて、脳の中でも一番大きな部分です。ヒトの小脳は大きさは大脳の1/10ほどの大きさしかない。小脳はどのような働きをしているか。そのことについて医学系研究アシスタントのライターmimosa(ミモザ)と一緒に解説していきます。

ライター/mimosa

もともと文系出身で、独学で生物学、生化学を勉強し、現在医学系研究所の研究アシスタントとして理系の世界へ飛び込んだ。理科が苦手な方へも興味を持ってもらうべくわかりやすい説明を心掛けている。

ヒトの神経系

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今回は、脳についての話なので、まずはヒトの神経系について話さないといけませんね。

私たち、ヒトは集中神経系脊椎動物になりますよ。集中神経系脊椎動物の中枢神経系は、脳と脊髄から成り立っています。今回は、その中で脳について説明してきますね。中枢神経系の基礎的なところの説明になりますよ。

中枢神経系

脳や脊髄や神経節のように、多数のニューロンが集まった部位を中枢と呼びますので、脳や脊髄は中枢神経系なのですよ。中枢を持つ神経系が集中神経系なのですよ。また、脳や脊髄は、硬膜、クモ膜、軟膜の三重の膜に包まれていて、それぞれ頭蓋と脊椎管の中に収めれていますよ。

末梢神経系

末梢神経系とは、中枢神経系からの指令を仲介する役割を担っているのですよ。末梢神経系には運動や感覚に関与する体性神経系と、臓器の運動や機能に関与する自律神経系があります。

末梢神経系は、様々な器官とつながっている筋肉、腺、感覚器などで構成されていますよ。

また、信号を伝える方向の向きによって、さらに求心性神経遠心性神経に分かれますよ。求心性神経は、全身から中枢へ情報を伝え、遠心性は中枢からの指令を全身へ送ります。

脳について

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脳は、大脳、間脳、中脳、小脳、延髄の5つの部分に分かれていますよ。その中でも大脳はおよそ1300gあって、脳の大部分の質量や容積を占めていますが、小脳は重さは1/10程度なのですよ。中枢神経系はとても複雑なので、この記事では小脳についての概要になります。

脳の主な構造

脳の主な構造

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脳の構造の分類方法はいろいろあるのですが、今回は、脳を前脳中脳後脳の3つの区分に分けて説明しますね。小脳は後脳の内に入りますよ。位置的には、脊髄に最も近い後方の部分を指し、主要な部分としては、小脳の他に延髄、網様体、橋(きょう)が含まれますよ。前脳は、最も大きな領域で、大脳皮質、視床、視床下部、下垂体、辺縁系(海馬、偏桃体を含む。)があります。中脳は、中脳視蓋、被蓋から構成されていますよ。

小脳とは

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小脳はどこに位置するのか。小脳は、脳幹(間脳・中脳・延髄)の背側に位置していますよ。大脳の後ろの下の部分にぶら下がるようについていますよ。ヒトの小脳の重さは、約130gで、大きさは大脳の1/10以下なのですよ。ちなみに、脳幹は重さが約220gです。こんな小さな小脳ですが、平衡感覚と筋肉運動の中枢であり、力や距離などを調整するのですよ。スムーズな運動をするために必要不可欠ですね。さらに、小脳は運動だけでなく、言語や計画、論理的思考など高次な心的機能にも関与していることが指摘されているのです。

\次のページで「小脳の構造」を解説!/

小脳の構造

小脳は、3対の脳脚(のうきゃく)とよばれるもので小脳と隣接する中脳、橋(きょう)や延髄と結合していますよ。また、小脳は3つの異なる観点から区分されますよ。難しい話になりますが、解剖学的区分(肉眼で確認できる区分)では、方葉小節葉、前葉、後葉の3部位に分かれます。系統発生学的・機能的区分だと、前庭小脳、脊髄小脳、大脳小脳に分かれますよ。それぞれの機能は、前庭小脳は、身体平衡と眼球運動の調節、脊髄小脳は体幹と四肢の運動の制御、大脳小脳は、運動の計画と感覚情報の評価を行います。

高次な機能を持つ小脳

小脳は大脳と連携して働いていますよ。ある運動をするという指令は、大脳皮質のうちの前頭葉から出ます。そして、手と足、手と目などのように本来はバラバラに動かすものをまとめる協調運動の命令を小脳が出しますよ。このため、大脳の方がより高次な働きをし、小脳は低次の働きをして、大脳なしでは不可能な動きなのか、とも考えられますが、小脳も高次な働きをするのですよ。

小脳を損傷したら

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このように重要な働きをする小脳に異常が生じたらどうなってしまうのでしょうか。小脳を損傷した時の症状と、それを裏付ける実験について紹介しますね。

フルーランにおける小脳切除実験

19世紀前半にフルーランがハトなど鳥類を使った実験で、小脳の運動協調の働きと感覚と近くは大脳が関係していることを発見していますよ。協調運動とは、手と足、目と手など別々に動く機能をひとまとめにして動かす運動のことです。運動の協調ができていないと、いわゆる「不器用」「運動が苦手」という風に見られますよ。

小脳を切除することによって、運動と運動の協調が失われます。

\次のページで「小脳を損傷すると起こる障害」を解説!/

小脳を損傷すると起こる障害

上記の実験により、小脳を損傷すると協調運動ができなくなるということでした。大きな動作(上記のサッカーのような)以外にも、起立・歩行時のふらつきや、手先の細かな動作もしづらくなります。日常生活上の様々な活動の遂行ができなくなってしまいますね。

運動機能を司る小脳

ヒトの神経系は、ヒトの身体をイメージすると、背骨に沿うような形でメインとなる神経があって、その先に脳があります。これを管状神経系といいますよ。脳や脊髄は多数のニューロンが存在して、中枢といいます。このことから、脳は中枢神経系と言われますよ。ヒトの脳はおよそ1300gあります。その大部分を占めるのは大脳であり、様々な部位に分かれていて高次な働きをしますよ。

小脳は大脳の1/10程の大きさの小さな部位ですが、私たちが目と手、足と手のように複数の部位と協働して日常生活の様々な動きができます。もしも小脳を損傷してしまえば、身体全身を使う動作も手先を使う細かい作業もできなくなってしまいますよ。脳自体はわかっていない部分がたくさんあるので、科学の進歩により新しいことが発見されることが楽しみですね。

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体の仕組み・器官理科生物

3分で簡単小脳の機能!ヒトの活動には必須?神経系の概要とともに医学系研究アシスタントがわかりやすく解説

今日は脳の中でも「小脳」について勉強していきます。大脳は感情や記憶や思考などに関係していて様々な情報を取りまとめていて、脳の中でも一番大きな部分です。ヒトの小脳は大きさは大脳の1/10ほどの大きさしかない。小脳はどのような働きをしているか。そのことについて医学系研究アシスタントのライターmimosa(ミモザ)と一緒に解説していきます。

ライター/mimosa

もともと文系出身で、独学で生物学、生化学を勉強し、現在医学系研究所の研究アシスタントとして理系の世界へ飛び込んだ。理科が苦手な方へも興味を持ってもらうべくわかりやすい説明を心掛けている。

ヒトの神経系

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今回は、脳についての話なので、まずはヒトの神経系について話さないといけませんね。

私たち、ヒトは集中神経系脊椎動物になりますよ。集中神経系脊椎動物の中枢神経系は、脳と脊髄から成り立っています。今回は、その中で脳について説明してきますね。中枢神経系の基礎的なところの説明になりますよ。

中枢神経系

脳や脊髄や神経節のように、多数のニューロンが集まった部位を中枢と呼びますので、脳や脊髄は中枢神経系なのですよ。中枢を持つ神経系が集中神経系なのですよ。また、脳や脊髄は、硬膜、クモ膜、軟膜の三重の膜に包まれていて、それぞれ頭蓋と脊椎管の中に収めれていますよ。

末梢神経系

末梢神経系とは、中枢神経系からの指令を仲介する役割を担っているのですよ。末梢神経系には運動や感覚に関与する体性神経系と、臓器の運動や機能に関与する自律神経系があります。

末梢神経系は、様々な器官とつながっている筋肉、腺、感覚器などで構成されていますよ。

また、信号を伝える方向の向きによって、さらに求心性神経遠心性神経に分かれますよ。求心性神経は、全身から中枢へ情報を伝え、遠心性は中枢からの指令を全身へ送ります。

脳について

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脳は、大脳、間脳、中脳、小脳、延髄の5つの部分に分かれていますよ。その中でも大脳はおよそ1300gあって、脳の大部分の質量や容積を占めていますが、小脳は重さは1/10程度なのですよ。中枢神経系はとても複雑なので、この記事では小脳についての概要になります。

脳の主な構造

脳の主な構造

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脳の構造の分類方法はいろいろあるのですが、今回は、脳を前脳中脳後脳の3つの区分に分けて説明しますね。小脳は後脳の内に入りますよ。位置的には、脊髄に最も近い後方の部分を指し、主要な部分としては、小脳の他に延髄、網様体、橋(きょう)が含まれますよ。前脳は、最も大きな領域で、大脳皮質、視床、視床下部、下垂体、辺縁系(海馬、偏桃体を含む。)があります。中脳は、中脳視蓋、被蓋から構成されていますよ。

小脳とは

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小脳はどこに位置するのか。小脳は、脳幹(間脳・中脳・延髄)の背側に位置していますよ。大脳の後ろの下の部分にぶら下がるようについていますよ。ヒトの小脳の重さは、約130gで、大きさは大脳の1/10以下なのですよ。ちなみに、脳幹は重さが約220gです。こんな小さな小脳ですが、平衡感覚と筋肉運動の中枢であり、力や距離などを調整するのですよ。スムーズな運動をするために必要不可欠ですね。さらに、小脳は運動だけでなく、言語や計画、論理的思考など高次な心的機能にも関与していることが指摘されているのです。

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