端的に言えば役不足の意味は「力量に比べて役割が軽いこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
現役の落語家でWebライターの晋治を呼んです。一緒に「役不足」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/晋治
現役の落語家でwebライター。20代後半から落語家に入門し、40歳からは兼業ライターに。言葉を生業とする落語家とライターの経験を活かして、わかりやすく言葉の意味を解説する。
「役不足」の意味や語源・使い方まとめ
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それでは早速「役不足」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。「役不足」は数ある日本語の中でも誤用されているランキングはトップクラスです。大半の方が間違った意味で使用しています。このあと「役不足」の類義語や対義語も学びますが、おそらく「え?」と思う方が多いでしょう。本来の「役不足」の正しい意味とは反対の意味で使っている方が非常に多いのです。
「楽勝」「朝飯前」「物足りない」「不十分」「相手にならない」といった言葉たちが「役不足」の類語、仲間になります。「力不足」「実力不足」「未熟」といった言葉たちは対義語。少し頭の中が混乱した人は「役不足」を誤用していた可能性が高いです。これからじっくりと見ていきましょう。
「役不足」の意味は?
「役不足」には、次のような意味があります。
[名・形動]
-
1 俳優などが割り当てられた役に不満を抱くこと。
-
2 力量に比べて、役目が不相応に軽いこと。また、そのさま。「そのポストでは役不足な(の)感がある」
| 平成14年度調査 | 平成18年度調査 | 平成24年度調査 | |
| 本人の力量に対して役目が軽すぎること (本来の意味とされる) |
27.6パーセント | 40.3パーセント | 41.6パーセント |
| 本人の力量に対して役目が重すぎること (本来の意味ではない) |
62.8パーセント | 50.3パーセント | 51.0パーセント |
出典:goo辞書「役不足」
「役不足」という言葉は非常に誤用の多い言葉です。「役不足」という言葉は元々は芝居用語で「役者の格に比べて配役された役が軽すぎる」というのが本来の意味。
ところが、現在の実際の使用例を見るとほとんどが正反対の「力不足」「力量不足」といった意味の使い方がされています。
「役不足」の語源は?
次に「役不足」の語源を確認しておきましょう。
「役不足」は元々はお芝居の言葉、演劇用語。俳優が与えられた役に不満を持つことが由来。実力よりも軽い役を与えられた時に「役不足」と表現するようになりました。自分から「役不足」と言うのではなく、周りの人が自分を評価する時に「あの役(仕事)はAさんには役不足だ。もったいない。もっとAさんの実力が発揮できるポジションを与えるべきだ」というように使います。
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