この記事では「把握」について解説する。

端的に言えば把握の意味は「しっかりと掴む、理解する」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

情報誌系のライターを10年経験した川瀬を呼んです。一緒に「把握」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/川瀬

幼少期から多種多様な本を与えられて育ち、分からない言葉があれば辞書で引く癖がついていた。本を読む度に、細やかで表現力豊かな美しい日本語に魅了される。これまでの読書量を活かし、丁寧に言葉の意味を解説していく。

「把握」の意味や語源・使い方まとめ

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ビジネスシーンなどで「把握いたしました」「把握してもらってもいいですか?」といった受け答えが多くあります。いざその場面に出くわした際に戸惑わないよう、正しい使い方を身に着ける事が大切です。

それでは早速「把握」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「把握」の意味は?

「把握」には、次のような意味があります。

1.しっかりとつかむこと。手中におさめること。
2.しっかりと理解すること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「把握」

把握の読み方は「はあく」です。「把握」の意味の1つとして「しっかりとつかむこと」があります。意味はその名前の通りで、物事や物をしっかりと掴むという意味です。しかし、この言葉は曲者で根本的に勘違いしている人も多いと感じます。把握という言葉が使われる場合には、なにか物を掴む場合ではなく、何かの物事に対して理解したという意味で使われる場合が多いです。しかし、根本的な意味は「しっかりとつかむこと」なので、例えば目の前にある棒を把握するという使い方もあります。

もう1つの意味としては「しっかりと理解する事」です。把握という言葉が使われる場合には、一般的にこの言葉の意味で使用されることが多いでしょう。ビジネスシーンでもこの言葉の意味で用いられる場合がかなり多くなります。

「把握」の語源は?

次に「把握」の語源を確認しておきましょう。把握には「しっかりとつかむ」という意味がある事は前述でも紹介させて頂きました。語源もこの言葉通りです。「把握」は把と握で構成されています。「把」という文字はにぎる・つかむ、「握」もにぎる・つかむという意味です。つまり、にぎる・つかむという同じ意味を持つ2つの文字を組み合わせる事によって、それだけ強く掴む様子を「把握」と言います。

\次のページで「「把握」の使い方・例文」を解説!/

「把握」の使い方・例文

「把握」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.会社で配られたこの資料の内容を正確に把握しておく。
2.社長にご指示いただいた件について把握致しました。
3.緊急事態が発生した時を想定して、誰がどの役割にあたるのか事前に把握しておかないと大変な事になる。

それぞれの例文について、詳しく見ていきましょう。例文1の「資料の内容を正確に把握しておく」というのは、「しっかり理解すること」という意味での使い方になります。「しっかり」とあるので、この例文の前には正確という言葉がついている事を踏まえると、しっかりという言葉については訳す必要がないです。そのため、シンプルに「把握=理解」という解釈で問題ありません。

例文2の「把握」は、社長が指示した事をしっかりと理解しましたという意味です。そのため、目上の人への返事として用いられるケースも多いでしょう。例文3の「事前に把握しておく」というのは、事が起こる前に何かの物事についてしっかり理解しておくという意味です。他にも、会社の中で何か問題が発生した際に「何が問題なのか把握しておきます」などの使い方が出来ます。この2つに共通してるのが、把握するまでに時間がかかるという点です。そうなったときに「把握しておく」という言葉を用いる事が出来ます。

「把握」の類義語は?違いは?

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「把握」という言葉について理解が深まってきたところで、類義語についても知っておきましょう。「把握」の類義語には、「理解」「掌握」「納得」があります。

その1「理解」

「理解」には、「ある物事について知ること」「人の気持や立場がよくわかること」などの意味があります。「把握」と比較すると、単純で表面的な判断をした際に使われることが多いです。ビジネスシーンなどでも、「理解しました」「〇〇については理解できています」のような敬語の形で良く使われています。これは「分かりました、分かっています」という意味に留まるでしょう。

\次のページで「その2「掌握」」を解説!/

その2「掌握」

「掌握」には、「手の中に握り持つこと」という意味があります。意味だけを見ると、「把握」と全く同じです。ですが、ちゃんと違いもあって、「握り持つものの内容」に違いがあります。「掌握」が握り持つものとは物質だけではなく状況や環境、自分の心情など目に見えないものです。「支配」と同じ使い方と考えると分かり易いかもしれません。

その3「納得」

「納得」には「他人の考えや行為を理解して認める」という意味があります。「納得」という言葉には、「納める」という文字が含まれている通り、心に納めるという意味で使われることが多いです。そのため、単に頭だけで理解するわけではなく、心理的にも共感して認める事が出来るという意味もあります。

「把握」の対義語は?

「把握」の対義語には「漫然」が挙げられます。「把握」と一緒に、意味を見ていきましょう。

「漫然」

漫然には、「はっきりせず、その内容を具体的に把握する事が出来ないこと」「ぼんやりとして心に留めない様子」という意味があります。「しっかりと理解すること」という意味を持っている把握の対義語と言えるでしょう。

「把握」の英訳は?

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「把握」を英語で表現すると「grasp」になります。日本語の「把握」と一緒に意味や使い方を見ていきましょう。

「grasp」

「grasp」は日本語の「把握」と同様に、「しっかりとつかむ」「理解する」の2つの意味があります。ある物事やアイデア、複雑なものを完全に理解するというニュアンスで使われることが多いです。実際に例文も見てみましょう。

\次のページで「「把握」を使いこなそう」を解説!/

He grasp the way to give a good impression.(彼は好印象を与える方法を把握している)

We will grasp the circumstances in detail.(私たちはそれについて細かく状況を把握します)

「把握」を使いこなそう

この記事では「把握」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「把握」には、「しっかりつかむこと」「しっかりと理解すること」の2つの意味があります。何かを物理的につかむことと、何かを頭で理解する事は全く異なるため、きちんと区別して使いましょう。ビジネスシーンでの用途も非常に多く、営業や商談などでも登場頻度が非常に多い言葉でもあります。使い方を正しくマスターし、「把握」を使いこなしていきましょう。

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国語言葉の意味

「把握」の意味や使い方は?例文や類語を読書家Webライターがわかりやすく解説!

He grasp the way to give a good impression.(彼は好印象を与える方法を把握している)

We will grasp the circumstances in detail.(私たちはそれについて細かく状況を把握します)

「把握」を使いこなそう

この記事では「把握」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「把握」には、「しっかりつかむこと」「しっかりと理解すること」の2つの意味があります。何かを物理的につかむことと、何かを頭で理解する事は全く異なるため、きちんと区別して使いましょう。ビジネスシーンでの用途も非常に多く、営業や商談などでも登場頻度が非常に多い言葉でもあります。使い方を正しくマスターし、「把握」を使いこなしていきましょう。

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