この記事では「造詣」について解説する。

端的に言えば造詣の意味は「学識が深いこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元大手予備校校舎長で大学入試の国語指導歴が長いライターのみゆなを呼んです。一緒に「造詣」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/みゆな

元大手予備校校舎長、現在は教育系のライター。国語、特に現代文の指導経験が豊富。難解な言葉や表現を中高生がスラスラ理解できるように解説するのが大得意。

「造詣」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

「造詣」の読み方は「ぞうけい」です。学問や芸術の分野でよく使われる言葉で、「あの人は日本がへの造詣が深い」と言ったりします。しかし「造詣がない」とは言わないと知っていますか?「造詣」を適切に使いこなすと、あなた自身が博識でその道に通じているような印象を与えられますよ。

それでは早速「造詣」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「造詣」の意味は?

「造詣」には、次のような意味があります。

その分野についての広く深い知識や理解、また、すぐれた技量。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「造詣」

「造詣」とはある分野に対して、すぐれた知識や理解、技量があるさまを表す言葉です。日常で習得することは難しい専門的な分野や高尚だと思われる対象に使われる言葉であり、そのため学問・芸術・スポーツといった分野でよく登場します。

日常的な話題に対して使うと違和感が出るので注意しましょう。たとえば「あの人は掃除にとても詳しい」と言いたいときに、「あのひとは掃除に対する造詣が深い」とは言いませんね。

「造詣」が使われるときは、「造詣が深い」という表現になることがほとんどです。「造詣がある」という場合もありますが、意味は同じように使えます。

「造詣」の語源は?

次に「造詣」の語源を確認しておきましょう。

「造」という字には、「あるところまで届く」「いたる」という意味があります。日頃は「つくる」という意味で使っているので、あまり知られていないかもしれません。「つくる」という意味も、考えてみると「物事の最終形態になる・達する」ことを意味することが分かりますね。また「詣」も「高いところまで行きつく」という意味を持つ漢字です。

いずれも「届く・いたる」という意味を持つ2字が重なり、学問や知識、技量が普通ではとても及ばない高い水準まで達しているという意味を持つようになりました。

「造詣」の使い方・例文

「造詣」の使い方を例文を使って見ていきましょう。専門分野について話す時に使う言葉なので躊躇してしまいがちですが、正しい用法を知るととても便利な言葉です。たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「造詣」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.寺院巡りが趣味なだけあって、彼は日本の歴史にとても造詣が深い。
2.日本に造詣が深いあの美術家の作品は、油絵なのにまるで水墨画のように見える。
3.先生は元野球選手だ。野球に関して誰よりも造詣が深い。
4.IT企業でエンジニアをしている彼女は、パソコンに関して造詣が深い。
5.建築技術についての造詣を深めるために、有名建築巡りの旅に出る。

例文1~3は、「造詣」が一般的に使われる「学問・芸術・スポーツ」分野における用例です。例文1は日本の歴史に、例文2は日本文化に、例文3は野球に関して、それぞれとても知識豊かで優れた技量を持っているさまを表しています。

例文4は「学問・芸術・スポーツ」分野以外でも使える場合の例です。IT企業でエンジニアをしているということは、コンピューターに関して専門的な知識があることが分かりますよね。このように「一般的には知りえない専門的な知識を十分に持っている」場合にも「造詣」は使って構いません。同じように医療分野も使えますよ。

例文5は「造詣を深める」という用法の例です。「造詣」はすでに知識を持っている状態を指す「造詣が深い」という用法の他に、これから深めていくという意志を持たせて「造詣を深める」という使い方もできます。専門分野を伸ばしてみたい人は、ぜひ使ってみてください。

「造詣」の類義語は?違いは?

image by iStockphoto

次に「造詣」の類義語を見ていきましょう。「造詣」と似た意味を持つ言葉には、どのようなものがあるでしょうか?

その1「博識」

「造詣」の「知識が深い」という意味に呼応する類義語が「博識」です。「はくしき」と読みます。「広く物事を知っていること。知識が広いこと」という意味で、幅広い物事に対して使えます。

「彼はとても博識なのに、決してそれを鼻にかけない」

その2「精通」

「造詣」の類語2つ目は「精通」です。読み方は「せいつう」で、「物事を詳しく知っていること、知識が豊富なこと」を表します。「造詣」が学問・芸術・スポーツなど特定の分野に使われるのに対して、「精通」は制約なくどんなことに対しても使える言葉です。

\次のページで「その3「通暁」」を解説!/

「あの女性はイギリスの映画に精通している」
「私の母は手芸が得意で、とくに編み物に精通している」

その3「通暁」

あまり使用頻度が高い言葉ではありませんが、「造詣」と似た意味を持つ言葉に「通暁」があります。「つうぎょう」と読みましょう。意味は「物事をすみずみまで詳しく知っているさま」です。

「祖父は庭いじりが趣味だった。日本庭園からイングリッシュガーデンまで、植栽は専門家並みに通暁していた」

「造詣」の対義語は?

「造詣が深い」という使われ方をするため、対義語は「造詣が浅い」となるかと考えたくなりますが、これは誤用なので注意しましょう。「造詣」はそれ自体が「知識や技量が高い水準に達している状態」に価値をおいて表現している言葉のため、対義となる概念がないのです。

どうしても反対の意味を言いたいときは「知識(技量)がない、浅い」と説明的に表現するしかなさそうですね。

「造詣」の英訳は?

image by iStockphoto

「造詣」は英語で表現するとどうなるのでしょうか?見てみましょう。

その1「knowledge」

「knowledge」は「学問的な知識」を意味します。「造詣」の「専門的な分野の知識」というニュアンスを英語に置きかえました。「造詣が深い」と述語的に使いたい場合は、「have a deep knowledge of...」としましょう。

\次のページで「その2「well-versed」」を解説!/

He has a profound knowledge of the English language.
「彼は英語の発音に関して造詣が深い」

その2「well-versed」

「well-versed」も「物事についてよく知っている」という意味です。学問や専門分野にとらわれず使えるので、「精通」に近いといってもいいかもしれません。

He is well versed in history.
「彼は歴史についてとても造詣が深い」

「造詣」を使いこなそう

この記事では「造詣」の意味・使い方・類語などを説明しました。

物事にたいして幅広い見識や高い技量を持っていることを表す「造詣」は、言われた方は誇らしくなります。「あなたは~について造詣が深いですね」「あなたの造詣の深さには恐れ入りました」などと使うと、相手の知識・技量をほめたたえ、尊敬の気持ちまで伝わる深い言葉です。また使っている側の「言葉の造詣の深さ」も伝わり、コミュニケーションレベルの格が上がりますよ。

正しい意味を押さえ、ぜひ積極的に使ってみてください!

" /> 「造詣」の意味や使い方は?例文や類語を元予備校校舎長がわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

「造詣」の意味や使い方は?例文や類語を元予備校校舎長がわかりやすく解説!

この記事では「造詣」について解説する。

端的に言えば造詣の意味は「学識が深いこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元大手予備校校舎長で大学入試の国語指導歴が長いライターのみゆなを呼んです。一緒に「造詣」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/みゆな

元大手予備校校舎長、現在は教育系のライター。国語、特に現代文の指導経験が豊富。難解な言葉や表現を中高生がスラスラ理解できるように解説するのが大得意。

「造詣」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

「造詣」の読み方は「ぞうけい」です。学問や芸術の分野でよく使われる言葉で、「あの人は日本がへの造詣が深い」と言ったりします。しかし「造詣がない」とは言わないと知っていますか?「造詣」を適切に使いこなすと、あなた自身が博識でその道に通じているような印象を与えられますよ。

それでは早速「造詣」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「造詣」の意味は?

「造詣」には、次のような意味があります。

その分野についての広く深い知識や理解、また、すぐれた技量。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「造詣」

「造詣」とはある分野に対して、すぐれた知識や理解、技量があるさまを表す言葉です。日常で習得することは難しい専門的な分野や高尚だと思われる対象に使われる言葉であり、そのため学問・芸術・スポーツといった分野でよく登場します。

日常的な話題に対して使うと違和感が出るので注意しましょう。たとえば「あの人は掃除にとても詳しい」と言いたいときに、「あのひとは掃除に対する造詣が深い」とは言いませんね。

「造詣」が使われるときは、「造詣が深い」という表現になることがほとんどです。「造詣がある」という場合もありますが、意味は同じように使えます。

「造詣」の語源は?

次に「造詣」の語源を確認しておきましょう。

「造」という字には、「あるところまで届く」「いたる」という意味があります。日頃は「つくる」という意味で使っているので、あまり知られていないかもしれません。「つくる」という意味も、考えてみると「物事の最終形態になる・達する」ことを意味することが分かりますね。また「詣」も「高いところまで行きつく」という意味を持つ漢字です。

いずれも「届く・いたる」という意味を持つ2字が重なり、学問や知識、技量が普通ではとても及ばない高い水準まで達しているという意味を持つようになりました。

「造詣」の使い方・例文

「造詣」の使い方を例文を使って見ていきましょう。専門分野について話す時に使う言葉なので躊躇してしまいがちですが、正しい用法を知るととても便利な言葉です。たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「造詣」の類義語は?違いは?」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: