この記事では「トライバル」について解説する。

端的に言えばトライバルの意味は「民族的な」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

さまざまな分野の本に触れ、知識を培ってきた「つゆと」を呼んです。一緒に「トライバル」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/つゆと

子供の頃からの筋金入り読書好きライター。むずかしい言葉や複雑な描写に出会っても、ねばり強く読みこんで理解することをポリシーとする。言葉の意味も、妥協なくていねいに解説していく。

「トライバル」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「トライバル」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「トライバル」の意味は?

「トライバル」には、次のような意味があります。

《部族独特の、の意》デザインやアクセサリーなどに民族的な要素を取り入れたファッション。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「トライバル」

日本で「トライバル」という言葉を聞くのは、ファッション業界やインテリア業界でしょうか。「トライバル」は「民族的な」という意味です。ファッション業界では「トライバルプリント」「トライバルタトゥー」、インテリア業界では「トライバルラグ」などと使います。

「トライバルプリント」や「トライバルタトゥー」は、サモアなど南太平洋ポリネシア地方に古くから伝わるタトゥーのデザインに由来するものです。「トライバルラグ」はトルコやイランなど、中東地方で作られる部族特有のじゅうたんのこと。

ただし日本語の「トライバル」は、前者のポリネシア地域の伝統的タトゥーデザインをさす場合が多いといえます。ファッション雑誌などで「トライバル」と見た場合は、その意味と考えてよいでしょう。この機会にぜひ覚えてくださいね。

「トライバル」の語源は?

次に「トライバル」の語源を確認しておきましょう。「トライバル」の語源は英語の「tribal」。「tribal」は「部族の」という意味で、日本語の「トライバル」と同じといえます。

ただし前述のとおり、日本の「トライバル」はポリネシア地域の部族に伝わるデザインをさす場合が多いです。「tribal」つまり「部族の」デザインなので間違いはないですが、日本においての使い方は、やや固定的といえるでしょう。

「トライバルを入れる」のように、「トライバル」だけで「トライバルタトゥー」をさすこともありますよ。

\次のページで「「トライバル」の使い方・例文」を解説!/

「トライバル」の使い方・例文

「トライバル」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.サモアはドイツとアメリカから東西サモアに分けて統治されるなどの有事があった国だが、サモア発祥のトライバルデザインは、周辺のトンガやニュージーランドなどで独自に発展しながら2000年にわたり伝承されている。
2.トライバルラグを購入する予定だが、東京への発送料金を含めた金額や商品の品質の詳細など、実際過去に注文した人からの情報を参考にしたい。
3.楽天市場内のショップサイトに表示されていたトライバル柄の限定ジャケットを買おうとしたのだが、キャッシュレス決済のためのカード登録に時間がかかり、そのあいだに在庫数ゼロになってしまった。

ポリネシア地域発祥の「トライバルデザイン」は、現代のタトゥーにもよく用いられ世界中で人気です。サッカーやラグビーの選手の腕や足に、黒の塗りつぶしやびっしり描かれた模様を見たことはないですか?ディズニー映画「モアナと伝説の海」の英雄マウイを思い出す人もいるでしょう。

タトゥーの歴史は長く、紀元前後の古代サモアにすでに存在しました。ポリネシア語の「タタウ」が「タトゥー」の語源であるのも、この地域がまさにタトゥー文化の源であると示していますね。日本では「入れ墨」と「タトゥー」を区別するので、「タトゥー」は若者による新たな文化という立ち位置でしょうか。

かつてはトライバルタトゥーを身体にいれ、部族に所属することや部族の誇りを示しました。現代のトライバルタトゥーは自由にアレンジされ、カッコよさやオシャレ感をあげるものとして楽しまれています。

「トライバル」の類義語は?違いは?

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「トライバル」の類義語には「エスニック」があげられます。

「エスニック」

日本語の「エスニック」という言葉が、どう使われているかに注目してみましょう。

「エスニック料理」というと東南アジアを思い起こしますよね。タイのトムヤムクン、ベトナムの生春巻き、インドネシアのナシゴレン…すべて東南アジアの国の料理であり、「エスニック料理」として紹介されます。

しかし「エスニック」の語源となる英語の「ethnic」は、東南アジアだけをさす言葉ではないのです。「ethnic」の意味は「民族の」または「民族特有の」。「ethnic cooking」は「エスニック料理」ではなく「民族料理」と訳します。東南アジア地方の民族料理も「ethnic cooking」に違いないですが、南米の料理やアフリカの料理も「ethnic cooking」なのです。

日本語の「トライバル」が、主にポリネシア発祥のデザインをさすのとよく似ています

\次のページで「「トライバル」の対義語は?」を解説!/

「トライバル」の対義語は?

「トライバル」の対義語はありません。

言葉が生まれた背景において、逆の概念をもつ「オクシデンタル」という言葉を紹介します。

「オクシデンタル」

「オクシデンタル(occidental)」は「西洋の」という意味の言葉です。日本語のカタカナ言葉として使われることはあまりないでしょう。

「オクシデンタル」の真の対義語は「オリエンタル」。「オリエンタル」は「東洋の」という意味です。こちらは日本語でも見る言葉ですね。

「オクシデンタル」「オリエンタル」はどちらもヨーロッパ目線で作られた言葉であり、「オリエンタル」は「ヨーロッパ以外の」という概念からできた言葉です。「ヨーロッパ(あるいは欧米)」と「それ以外」というのが、ある時代では代表的な概念でした。

「トライバル」の本来の意味は「部族の」。そこには、ヨーロッパ列強国からみた「現地の人びと」というニュアンスが含まれます。その点において「オクシデンタル」は、「トライバル」と逆の概念を持つ言葉といえるでしょう。

「トライバル」の英訳は?

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「トライバル」の英訳は「tribal」です。

「tribal」

すでに述べたとおり「tribal」は「種族の・部族の」という意味であり、特定の地域の民族だけをさす言葉ではありません。

日本語の「トライバル」の用法に沿って「ポリネシア地域の伝統的デザイン、またはそのデザインを用いたタトゥー」という意味で英訳すると、「polynesian tattoo」が適切でしょうか。「ポリネシア地域の」という部分をきちんと伝えるには、その方が良さそうです。

「トライバルエリア(部族地域とよばれる、法の権力の及ばない危険地域)」のように、英語をそのまま日本語に直した言葉もありますね。その場合の「トライバル」は、英語の「tribal」と同じように「部族の」という意味で使います。

「トライバル」を使いこなそう

この記事では「トライバル」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「トライバル」は「民族的な」「部族的な」という意味の言葉です。日本では、ポリネシア地域に伝わる伝統的なタトゥーのデザインをさす言葉としてよく使います。

トライバル柄は、現代人にとってもクールなデザインなのです。古代の人々の感性には驚かされますね。

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「トライバル」の意味や使い方は?例文や類語を読書家Webライターがわかりやすく解説!

「トライバル」の使い方・例文

「トライバル」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.サモアはドイツとアメリカから東西サモアに分けて統治されるなどの有事があった国だが、サモア発祥のトライバルデザインは、周辺のトンガやニュージーランドなどで独自に発展しながら2000年にわたり伝承されている。
2.トライバルラグを購入する予定だが、東京への発送料金を含めた金額や商品の品質の詳細など、実際過去に注文した人からの情報を参考にしたい。
3.楽天市場内のショップサイトに表示されていたトライバル柄の限定ジャケットを買おうとしたのだが、キャッシュレス決済のためのカード登録に時間がかかり、そのあいだに在庫数ゼロになってしまった。

ポリネシア地域発祥の「トライバルデザイン」は、現代のタトゥーにもよく用いられ世界中で人気です。サッカーやラグビーの選手の腕や足に、黒の塗りつぶしやびっしり描かれた模様を見たことはないですか?ディズニー映画「モアナと伝説の海」の英雄マウイを思い出す人もいるでしょう。

タトゥーの歴史は長く、紀元前後の古代サモアにすでに存在しました。ポリネシア語の「タタウ」が「タトゥー」の語源であるのも、この地域がまさにタトゥー文化の源であると示していますね。日本では「入れ墨」と「タトゥー」を区別するので、「タトゥー」は若者による新たな文化という立ち位置でしょうか。

かつてはトライバルタトゥーを身体にいれ、部族に所属することや部族の誇りを示しました。現代のトライバルタトゥーは自由にアレンジされ、カッコよさやオシャレ感をあげるものとして楽しまれています。

「トライバル」の類義語は?違いは?

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「トライバル」の類義語には「エスニック」があげられます。

「エスニック」

日本語の「エスニック」という言葉が、どう使われているかに注目してみましょう。

「エスニック料理」というと東南アジアを思い起こしますよね。タイのトムヤムクン、ベトナムの生春巻き、インドネシアのナシゴレン…すべて東南アジアの国の料理であり、「エスニック料理」として紹介されます。

しかし「エスニック」の語源となる英語の「ethnic」は、東南アジアだけをさす言葉ではないのです。「ethnic」の意味は「民族の」または「民族特有の」。「ethnic cooking」は「エスニック料理」ではなく「民族料理」と訳します。東南アジア地方の民族料理も「ethnic cooking」に違いないですが、南米の料理やアフリカの料理も「ethnic cooking」なのです。

日本語の「トライバル」が、主にポリネシア発祥のデザインをさすのとよく似ています

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