この記事では「喫緊の課題」について解説する。

端的に言えば喫緊の課題の意味は「急いで解決すべき問題」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本文学部卒の現役WEBライター、ヒマワリを呼んです。一緒に「喫緊の課題」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヒマワリ

今回の記事を担当するのは、日本文学科卒で現役ライターのヒマワリ。専攻は近代文学だが、古典からマンガまで幅広く読んでいる。受験生家庭教師の経験を生かして、「喫緊の課題」についてわかりやすく丁寧に説明していく。

「喫緊の課題」の意味や語源・使い方まとめ

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喫緊の課題」は「きっきんのかだい」と読みます。

日常会話ではほとんど使われませんが、国や公的機関の政策など、お役所で使われる言葉と言うイメージですね。ニュースやビジネスでもしばしば使われますので、社会人の方はもちろん、学生の方もしっかりと覚えておくと良いでしょう。それでは早速「喫緊の課題」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「喫緊の課題」の意味は?

まず初めに「喫緊の課題」の正確な意味を辞書からの引用で確かめてみましょう。「喫緊の課題」には、次のような意味があります。

1.さしせまっていて、早急に対策を講じなければならないこと。

出典:新明解国語辞典(三省堂)「喫緊」

2.差し迫って重要なこと。また、そのさま。緊要。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「喫緊」

喫緊」とは、上記のように、差し迫ってすぐに対応をしなければいけないことや事態が切迫している状態、と言う意味です。そして、「課題」とは、課せられた題目、や、解決しなければならない問題、果たすべき仕事、と言う意味を持っています。つまり、「喫緊の課題」とは、差し迫って緊急に対処しなければいけない問題や仕事、ということですね。

「喫緊の課題」の語源は?

次に「喫緊」の語源を確認しておきましょう。「喫緊」の由来は中国語にあると言うのが有力な説です。

もともと「喫緊」は「吃緊」と言う漢字の熟語で、中国語の「吃緊」に由来していると言われています。「吃」は後にくる漢字を強調する漢字だと考えられており、「吃緊」の場合、「緊」と言う漢字を強調しているのです。「緊」は、厳しい、差し迫る、と言う意味を持っていますから、「吃緊」は、差し迫っていて緊急である、と言うことですね。

しかし、「吃」と言う字は差別的な要素を含んでいますので、「喫」と言う漢字に置き換えられたそうです。「吃緊」と書いても間違いではないのですが、現代では「喫緊」と書くのが主流ですし、ふさわしいでしょう。

\次のページで「「喫緊の課題」の使い方・例文」を解説!/

「喫緊の課題」の使い方・例文

それでは、「喫緊の課題」の使い方を実際の例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.子供の貧困は、行政が何よりも優先すべき喫緊の課題である。
2.現時点で我が社の喫緊の課題は、英語対応ができる人材を集めた部署を作る事だろう。
3.介護問題における介護者の高齢化は、高齢化社会における喫緊の課題だ。

このように、「喫緊の課題」とは、差し迫って緊急に解決しなければいけないことを意味し、政治関連の問題で使われることが多いです。また、ビジネスシーンなどにも多く用いられます。差し迫っている、と言う緊迫感を相手に伝えることができる表現ですね。緊急の時に使うのがふさわしいですから、ちょっとした急ぎの事柄には大げさになるため使わない方が良いでしょう。

「喫緊の課題」の類義語は?違いは?

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「喫緊の課題」の類義語には「目下の課題」や「トップ プライオリティ」が挙げられます。

「目下の課題」

目下の課題」の読み方は「もっかのかだい」です。「目下」とは、目の前のことや、さしあたり、と言う意味を持ちます。そして、「目下の課題」と使う場合には、さしあたってやらなければならない問題や仕事、と言う意味合いになるのです。優先してやらなければならないと言う状況を表しますから「喫緊の課題」の類義語と言えますが、「喫緊の課題」の方が緊急性が強調された言葉でしょう。

\次のページで「「トップ プライオリティ」」を解説!/

「トップ プライオリティ」

トップ プライオリティ」は英語で「top priority」です。最近ビジネスシーンで「プライオリティ」と言う言葉をよく耳にしますので、語彙力向上のためにも覚えておいてください。

「プライオリティ」とは、優先順位、優先すること、と言う意味です。ですから「トップ プライオリティ」とは、最優先事項、一番にやるべきこと、と言う意味ですね。日本語において「プライオリティ」は「プライオリティがある(優先順位がある)」や、「プライオリティが高い(優先順位が高い)」と言うような使われ方が多いようです。

「トップ プライオリティ」は「喫緊の課題」ほどは緊急性が高くない表現かも知れませんね。ですが、ここ最近よく使われるビジネス用語であり、「喫緊の課題」に似た意味を持っていますのでこれを機会に覚えておいてください。

「喫緊の課題」の対義語は?

「喫緊の課題」の対義語には「不要不急」があります。

「不要不急」

不要不急」は「ふようふきゅう」と読みます。ここ最近、ニュースで良く耳にする言葉ですから知っている人も多いでしょう。

「不要」は必要ない、「不急」は急がない、と言う意味ですから、「不要不急」は、 重要でもなく、急ぐ必要もないという意味です。例えば「不要不急の用だから数週間先でもいいだろう」と言うように使います。急ぐ必要がないと言う意味ですから「喫緊」の対義語だと言えるでしょう。

「喫緊の課題」の英訳は?

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「喫緊の課題」を英語で表すには、「urgent issue」がふさわしいでしょう。

「urgent issue」

「喫緊」を英訳すると「urgent 」「課題」は「issue」ですから、「urgent issue」が「喫緊の課題」の英訳です。または、「urgent」の代わりに、切迫したと言う意味の「pressing」を使っても良いでしょう。簡単な例文にしますと、以下のようになります。

It is an urgent issue for us.

(訳:それが、私たちの喫緊の課題です。)

\次のページで「「喫緊の課題」を使いこなそう」を解説!/

「喫緊の課題」を使いこなそう

この記事では「喫緊の課題」の意味・使い方・類語などを説明しました。「喫緊の課題」は、日常会話ではなかなか用いられませんが、政治関連のニュースなどで良く使われますから、耳にしたこともあったかと思います。政治家などが、差し迫った問題で早急な解決を要する事柄に対して使うことが多いですね。公的な場面で使うのにとても適している言葉でしょう。

また「喫緊」と言う熟語だけでも、差し迫っていると言う意味で使われます。その他には「喫緊事」と言う使い方もあり、これは「喫緊の課題」と同じ意味です。

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国語言葉の意味

「喫緊の課題」の意味や使い方は?例文や類語を日本文学部卒Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「喫緊の課題」について解説する。

端的に言えば喫緊の課題の意味は「急いで解決すべき問題」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本文学部卒の現役WEBライター、ヒマワリを呼んです。一緒に「喫緊の課題」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヒマワリ

今回の記事を担当するのは、日本文学科卒で現役ライターのヒマワリ。専攻は近代文学だが、古典からマンガまで幅広く読んでいる。受験生家庭教師の経験を生かして、「喫緊の課題」についてわかりやすく丁寧に説明していく。

「喫緊の課題」の意味や語源・使い方まとめ

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喫緊の課題」は「きっきんのかだい」と読みます。

日常会話ではほとんど使われませんが、国や公的機関の政策など、お役所で使われる言葉と言うイメージですね。ニュースやビジネスでもしばしば使われますので、社会人の方はもちろん、学生の方もしっかりと覚えておくと良いでしょう。それでは早速「喫緊の課題」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「喫緊の課題」の意味は?

まず初めに「喫緊の課題」の正確な意味を辞書からの引用で確かめてみましょう。「喫緊の課題」には、次のような意味があります。

1.さしせまっていて、早急に対策を講じなければならないこと。

出典:新明解国語辞典(三省堂)「喫緊」

2.差し迫って重要なこと。また、そのさま。緊要。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「喫緊」

喫緊」とは、上記のように、差し迫ってすぐに対応をしなければいけないことや事態が切迫している状態、と言う意味です。そして、「課題」とは、課せられた題目、や、解決しなければならない問題、果たすべき仕事、と言う意味を持っています。つまり、「喫緊の課題」とは、差し迫って緊急に対処しなければいけない問題や仕事、ということですね。

「喫緊の課題」の語源は?

次に「喫緊」の語源を確認しておきましょう。「喫緊」の由来は中国語にあると言うのが有力な説です。

もともと「喫緊」は「吃緊」と言う漢字の熟語で、中国語の「吃緊」に由来していると言われています。「吃」は後にくる漢字を強調する漢字だと考えられており、「吃緊」の場合、「緊」と言う漢字を強調しているのです。「緊」は、厳しい、差し迫る、と言う意味を持っていますから、「吃緊」は、差し迫っていて緊急である、と言うことですね。

しかし、「吃」と言う字は差別的な要素を含んでいますので、「喫」と言う漢字に置き換えられたそうです。「吃緊」と書いても間違いではないのですが、現代では「喫緊」と書くのが主流ですし、ふさわしいでしょう。

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