この記事では「ご教授」について解説する。

端的に言えばご教授の意味は「教えること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国立大で国語学を学んだライターのタケルを呼んです。言葉の解説を得意としていて、大学時代はクイズサークルに所属していたので雑学にも詳しい。一緒に「ご教授」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タケル

某国立大で日本語学を専攻していた。私は文章の書き方なら少しは教えられるが、絵を描くのがとても苦手。誰でもいいから絵を簡単にうまく描ける方法をご教授いただきたいとのこと。

「ご教授」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「ご教授」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「ご教授」の意味は?

その前に、「ご教授」では辞書の掲載がありませんでした。言うまでもなく、「ご教授」は「教授」に接頭語の「ご」が付いたものです。よって、まずは「教授」の意味を辞書で確認しましょう。

1.学問や技芸を教え授けること。「書道を教授する」
2.児童・生徒・学生に知識・技能を授け、その心意作用の発達を助けること。
3.大学や高等専門学校・旧制高等学校などで、研究・教育職階の最高位。また、その人。「大学教授」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「教授」

教授」(きょうじゅ)と聞いて十中八九連想されるのは、辞書の3の意味でしょう。主に大学で研究や講義を行う人のイメージがあるはずです。しかし、「教授」のその意味は、後になってできました。

もともとの「教授」の意味は、辞書の1にある「教え授けること」です。文字通りの意味ですよね。学問や芸を教えて、知識や技術が身につくようにするという意味があります。その意味から、辞書の2の「発達を助けること」と3の「教授する人」という意味に派生しました。

「ご教授」の使い方・例文

「ご教授」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「ご教授」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.先日は貴重なお話をご教授賜り、誠にありがとうございました。
2.先生、お帰りのところ恐縮ですが、先程のところを今一度ご教授いただけますか。
3.是非とも名人には、未来ある若者のために卓越した技術を余すことなくご教授いただければと存じ上げます。

「ご教授」は尊敬語ですので、当然ですがかしこまった場面で使われます。「賜る」「存じ上げる」などは普段使いませんよね。

敬語を使う場合において、気を付けたいことの1つに二重敬語があります。「ご教授」など、「お〜」や「ご〜」が付いた言葉の後にも敬語表現を重ねることが二重敬語です。敬語に敬語を重ねるのはより相手を敬うようにも見えますが、マナーとしてはかえって失礼とされます。たとえば「ご教授なさられる」はとても丁寧な表現に聞こえますが、このような表現はいけません。「ご〜」と「られる」と、2つの敬語表現を使ってしまっています。正しくは「ご教授なさる」です。

「ご教授」の類義語は?違いは?

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ところで、「ご教授」の類義語は何でしょうか。違いとともに見ていきましょう。

「ご指導」「ご鞭撻」

結婚式の新郎新婦によるスピーチで、「これからも皆様のご指導ご鞭撻をいただけると〜」なんて聞いたことがありますよね。この「ご指導」(ごしどう)と「ご鞭撻」(ごべんたつ)がどちらも「ご教授」の類義語となります。

「ご指導」は言うまでもなく「指導」の尊敬語です。一方「ご鞭撻」の「鞭撻」は元の意味が「むちで打ってこらしめること」でした。それが転じて「努力するように励ますこと」という意味があります。どちらも目上の人から叱咤激励してもらうという意味があり、今では2つの言葉がセットとも言える状態です。

しかし、「ご教授」は目上の人からの教えを授かるという意味なので、知識や経験などを分け与えられるという意味に取れます。対して「ご指導」や「ご鞭撻」は、知識というよりはアドバイスをもらうという意味合いです。微妙な違いですが、目上の人に失礼があってはいけませんので、よく意味を理解してこれらの言葉を使わなければいけません。

「ご教授」の対義語は?

逆に「ご教授」の対義語は何でしょうか。

「ご教授」は、目上の人から教えを請うことを意味します。その反対の意味は、目上の人が逆に教えられる立場となるわけですが、もちろんそんなことはありえません。謙虚な人であれば、どんな人や物事からでも教訓にしようと考えるのかもしれないでしょう。しかし、それはあくまでもその人の信条であって、敬語の機能とは別の話です。よって、「ご教授」の対義語は「ない」という結論になります。

\次のページで「「ご教授」の英訳は?」を解説!/

「ご教授」の英訳は?

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では、「ご教授」の英訳は何でしょうか。

「teaching」

「ご教授」の意味自体は「教え授けること」という単純なものなので、英訳も「teach」の名詞形である「teaching」で十分です。

ただし、英語には敬語がないのかというと、そうとは限りません。ビジネスシーンにふさわしい英語も存在します。中には「teach」がビジネスの場にふさわしくないという意見もあるようです。その場合、「教えてください」は「teach me」を使いません。「could〜」の後を「infofm」や「let me know」とすれば、日本語の「教えていただけると幸いです」という意味に近付けることができます。

「ご教授」を使いこなそう

この記事では「ご教授」の意味・使い方・類語などを説明しました。

尊敬語が上手に使えると、使った人への印象はとたんに良くなりがちです。それは今まで日本語を話していた人が、急に流暢な英語を使い出すのに似ているのではないでしょうか。状況によって適した言葉を使い分けることは、他人からとてもスマートに見えます。ですので、「今のところもう1度教えてください」ではなく、「お手数ですが今のところを改めてご教授いただけますか」と尊敬する先生や上司に言ってみましょう。あなたへの印象がさらに良くなるはずです。

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国語言葉の意味

「ご教授」の意味や使い方は?例文や類語を雑学大好きwebライターがわかりやすく解説!

この記事では「ご教授」について解説する。

端的に言えばご教授の意味は「教えること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国立大で国語学を学んだライターのタケルを呼んです。言葉の解説を得意としていて、大学時代はクイズサークルに所属していたので雑学にも詳しい。一緒に「ご教授」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タケル

某国立大で日本語学を専攻していた。私は文章の書き方なら少しは教えられるが、絵を描くのがとても苦手。誰でもいいから絵を簡単にうまく描ける方法をご教授いただきたいとのこと。

「ご教授」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「ご教授」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「ご教授」の意味は?

その前に、「ご教授」では辞書の掲載がありませんでした。言うまでもなく、「ご教授」は「教授」に接頭語の「ご」が付いたものです。よって、まずは「教授」の意味を辞書で確認しましょう。

1.学問や技芸を教え授けること。「書道を教授する」
2.児童・生徒・学生に知識・技能を授け、その心意作用の発達を助けること。
3.大学や高等専門学校・旧制高等学校などで、研究・教育職階の最高位。また、その人。「大学教授」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「教授」

教授」(きょうじゅ)と聞いて十中八九連想されるのは、辞書の3の意味でしょう。主に大学で研究や講義を行う人のイメージがあるはずです。しかし、「教授」のその意味は、後になってできました。

もともとの「教授」の意味は、辞書の1にある「教え授けること」です。文字通りの意味ですよね。学問や芸を教えて、知識や技術が身につくようにするという意味があります。その意味から、辞書の2の「発達を助けること」と3の「教授する人」という意味に派生しました。

「ご教授」の使い方・例文

「ご教授」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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