
屈性
先にも少し触れましたが、刺激の与えられた方向に対して、植物体が特定の向きに運動するのが屈性です。
傾性との違いは、「植物の動く向きが刺激の方向によって変わる」という点。ここが最大のポイントです。

image by Study-Z編集部
とくに、刺激の与えられた方向に対し、植物体が向かっていくように運動するものを「正の屈性」といいます。それに対し、まるで刺激から逃れようとするかのように、反対方向に運動する性質は「負の屈性」です。
刺激を与える方向を変えれば、運動の向きも変わるため、実験や観察が面白く感じられる植物の性質でしょう。
こちらも、与える刺激の種類によって呼び名がさらに細かく分けられます。
屈光性
屈光性(くっこうせい)は、光を刺激源として起こる屈性です。光屈性ともいいます。
屈光性は、植物を育てているときに最もよく目につく運動といってもいいかもしれません。鉢植えを室内で育てていると、窓など光の差し込む方へ、植物が伸びていくことがあります。これは、植物の葉や茎に正の屈光性があるためです。
Tangopaso – 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, リンクによる
その一方で、植物の根は一般的に負の屈光性をもちます。種から出た根は、光の当たらない方を目指すかのように地面の中へ伸びていくのです。これも、「地中の水分や栄養を吸収する」という根の役割を果たすのに必要な性質といえますね。
屈光性による運動のメカニズムには、植物ホルモンの一種であるオーキシンが深く関係することが分かっています。オーキシンは、植物細胞の伸長を促すホルモンです。
正の光屈性の場合、オーキシンは光の当たっている方と反対の方向(陰になる方)に多く集められます。すると、光の当たらない側の細胞が伸び、結果的に光の方へ植物体が向きを変えていくことになるのです。
\次のページで「屈地性」を解説!/