この記事では「キュレーション」について解説する。

端的に言えばキュレーションの意味は「情報を集めて整理すること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

情報誌系の記者を10年経験したライター・にべこを呼んです。一緒に「キュレーション」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/にべこ

某大手情報誌の記者を務め、その後フリーライターに。ビジネス用語ならおまかせ。さまざまなシーンで使えるカタカナ言葉を噛み砕いてご紹介。

「キュレーション」の意味や語源・使い方まとめ

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昨今注目されるようになった「キュレーション」という言葉。それでは早速その背景とともに、「キュレーション」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「キュレーション」の意味は?

「キュレーション」には、次のような意味があります。

1.美術館・博物館などの展示企画。
2.情報などを特定のテーマに沿って集めること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「キュレーション」

上記でもわかるように、本来は芸術・学術分野で使われている言葉です。芸術や学術の専門分野において深い知識を持ち、美術館や博物館などでの展示品の研究や管理、展示企画から運用までを担うのが「キュレーター」と呼ばれる専門家。そしてその専門家が膨大な展示品の中から企画に合うものを取捨選択して展示構成をすることを「キュレーション」と言います。

ですが昨今では、主にインターネット上の情報を独自の価値基準で編集することを指して言っているのを見かけることの方が多いでしょう。美術・学術分野のキュレーターが展示物をわかりやすく整理・構成して並べるのと同様に、インターネット上のあらゆる情報をキュレーター独自の目線で整理して編集するのがインターネット分野での「キュレーション」です。

インターネット分野での「キュレーション」

上記でも述べたように、インターネット上に散らばる様々な情報を集めて編集し、新しい価値として発信することを「キュレーション」と言い、その編集した情報を掲載しているのが「キュレーションサイト」です。「まとめサイト」とも呼ばれていますが、「まとめサイト」が情報の収集方法において自動・手動を問わないのに比べ、「キュレーションサイト」は編集者が独自の目線で情報をまとめ編集・構成を行ないのが一番大きな違いでしょう。

「キュレーションサイト」には様々なジャンルに分類されます。以下は今現在の主な人気メディアです(2021年2月現在)。

\次のページで「芸術・学術分野での「キュレーション」」を解説!/

グノシー :幅広い分野のニュースを読むことができるニュースまとめ
Pinterest :画像をブックマークし共有する写真特化型のキュレーションメディア
smartnews:圏外や機内モードなどオフラインでもニュースの閲覧が可能。
Antenna :東京周辺を中心とした、生活を楽しむための記事を掲載。
LOCARI :女性がターゲットのライフスタイル情報を配信。
MERY  :美容系の記事が中心のトレンド情報発信サービス。
Smartlog :ファッション、ガジェット、スポーツ、ビジネスコラムなど男性向けの総合情報。
RETRIP :旅行に特化したサイト。だれもがまとめ記事を作成可能。

「キュレーション」が注目された背景には、膨大な情報がインターネット上にあふれ返り、さらにその情報がTwitterやFacebook、InstagramなどのSNSによって四方八方へ伝播・拡散されていることにより、返ってユーザーが欲しい情報を見つけるための手間や時間のコストがかかるようになってしまったことが理由のひとつとして挙げられます。

そこで、ユーザーが欲しい分野の有益な情報だけを短時間かつ効果的に得ることができるよう、多彩なテーマに沿って情報を収集し編集・構成したものが上記のような「キュレーションサイト」です。検索エンジン等の画一的な自動情報収集方法とは一線を画す、人の視点を通して構成された情報は、短時間かつ効果的に知りたいことを的確に知ることができるとしてたちまち普及していきました。

しかし2016年、大手IT企業が提供していた医療特化型のキュレーションサイトにおいて、不正確かつ信憑性を欠く記事を多数掲載されていたことが発覚。誰が見ても医学的エビデンスがないと判断できるような、品質が高いとは言い難い記事は大きな批判を浴び、企業はこのサイトの全記事を非公開にしました。

翌2017年にはインターネットサービス企業大手のGoogleは医療や健康に関わる情報の評価方法を改定。さらにその翌年の2018年には厚生労働省が改正医療法を施工しました。この騒動はそれらの動きに少なからず影響を与えています。そしてコンテンツ運営者の企業にとっても矜持となり、キュレーションサイトの運営や在り方を見直すきっかけになりました。

芸術・学術分野での「キュレーション」

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「キュレーター」と呼ばれる、芸術・学術分野での広い専門知識を持つ職員が、主に美術館や博物館などで作品収集や研究、調査、展示発表などを行うこともまた「キュレーション」と言い、インターネット分野でのキュレーションの語源です。キュレーターは「学芸員」とも呼ばれています。プロデューサーやディレクターのような役割も持つため、館に所属せずフリーランスで請け負うプロフェッショナルなキュレーターもおり、これを「インディペンデントキュレーター」と呼ぶようです。

美術館や博物館では、企画立案から展示運営までを執り行う「ミュージアムキュレーター」と、収蔵する作品の収集・保管などを担当する「コレクションキュレーター」に分かれています。さらに、「博物館法」で定められた「館」「園」がつく施設、例えば動物館、水族館、科学館、植物園などにも存在。必要不可欠な専門職として多くのプロフェッショナルが活躍しています。

「キュレーション」の語源は?

キュレーションを英語で書くと「curation」。収集、整理、要約、公開(共有)することを表す名詞です。もともとはラテン語の「curare(キュラーレ:世話をする)」が語源と言われています。

「キュレーション」の使い方・例文

「キュレーション」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「キュレーション」の類義語や対義語は?違いは?」を解説!/

1.情報共有の常識は昔と様変わりした。今は人と人とのつながりを介して情報をやり取りする、「一億総キュレーション時代」と言っていいだろう。
2.その地域に根付いた文化や文化財、観光資源など、あらゆる方面の専門分野をつないでまちづくりや街おこしをする「地域キュレーション」が求められている。
3.「キュレーション」とはただ単に情報を集めて編集するだけではなく、意味付けをしてより新しい価値を付加することである。

「キュレーション」の類義語や対義語は?違いは?

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「キュレーション」の類義語として挙げられることが多いのは「アグリゲーション」ですが、意味合いが似ている関連語として「スクリーニング」という言葉もあります。

「アグリゲーション」

「アグリゲーション」とは「集約」「集合体」「集合させる」などという意味の言葉です。「アグリゲーションサイト」とは、インターネット上のあらゆる情報をクローリング(巡回)して収集し、大量の情報を一つのページにまとめてユーザーの検索キーワードに基づいて表示させる仕組みのサイトを指します。GoogleやYahoo!などの検索エンジンの特定分野特化型と考えて良いでしょう。

「スクリーニング」

「スクリーニング」は「審査」「選考」「ふるい分け」といった意味で用いられます。特定に条件や基準を満たした情報を選別するという意味合いの言葉です。「スクリーニングサイト」というものも存在します。これは「キュレーションサイト」に比べより厳選された情報を掲載し発信しているもので、主に株の銘柄を厳選・指南するサイトが多いです。

「キュレーション」の対義語は?

「キュレーション」の明確な対義語はありません。

\次のページで「「キュレーション」を使いこなそう」を解説!/

「キュレーション」を使いこなそう

この記事では「キュレーション」の意味・使い方・類語などを説明しました。

知りたい情報を効率的に知ることができる「キュレーションサイト」は利便性が高い一方、情報の根拠や信頼性、著作権などの問題点も多くあることもまた事実です。

一つのサイトだけではなく、複数のサイトの情報と照らし合わせるなどして、その情報が正しいかどうか精査し複合的に判断するというインターネットリテラシーが必要でしょう。

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国語言葉の意味

「キュレーション」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「キュレーション」について解説する。

端的に言えばキュレーションの意味は「情報を集めて整理すること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

情報誌系の記者を10年経験したライター・にべこを呼んです。一緒に「キュレーション」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/にべこ

某大手情報誌の記者を務め、その後フリーライターに。ビジネス用語ならおまかせ。さまざまなシーンで使えるカタカナ言葉を噛み砕いてご紹介。

「キュレーション」の意味や語源・使い方まとめ

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昨今注目されるようになった「キュレーション」という言葉。それでは早速その背景とともに、「キュレーション」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「キュレーション」の意味は?

「キュレーション」には、次のような意味があります。

1.美術館・博物館などの展示企画。
2.情報などを特定のテーマに沿って集めること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「キュレーション」

上記でもわかるように、本来は芸術・学術分野で使われている言葉です。芸術や学術の専門分野において深い知識を持ち、美術館や博物館などでの展示品の研究や管理、展示企画から運用までを担うのが「キュレーター」と呼ばれる専門家。そしてその専門家が膨大な展示品の中から企画に合うものを取捨選択して展示構成をすることを「キュレーション」と言います。

ですが昨今では、主にインターネット上の情報を独自の価値基準で編集することを指して言っているのを見かけることの方が多いでしょう。美術・学術分野のキュレーターが展示物をわかりやすく整理・構成して並べるのと同様に、インターネット上のあらゆる情報をキュレーター独自の目線で整理して編集するのがインターネット分野での「キュレーション」です。

インターネット分野での「キュレーション」

上記でも述べたように、インターネット上に散らばる様々な情報を集めて編集し、新しい価値として発信することを「キュレーション」と言い、その編集した情報を掲載しているのが「キュレーションサイト」です。「まとめサイト」とも呼ばれていますが、「まとめサイト」が情報の収集方法において自動・手動を問わないのに比べ、「キュレーションサイト」は編集者が独自の目線で情報をまとめ編集・構成を行ないのが一番大きな違いでしょう。

「キュレーションサイト」には様々なジャンルに分類されます。以下は今現在の主な人気メディアです(2021年2月現在)。

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