最初の例文は、何度も繰り返し着用したせいでシャツの縫い目がほどけたという意味です。2番目の例文は、花のつぼみが少し開いたという意味の例文ですね。よく、桜や梅が咲きかけたときにこの表現を使いますよ。3番目は、表情がやわらぐという意味の例文です。4番目は、隠していたことが露見するという意味ですね。
「綻びる」は源氏物語にも出てくる!
源氏物語の中にも「綻びる」という言葉が出てきます。
1.つつむめる名や漏り出でむ引きかはしかくほころぶる中の衣に (紅葉賀)
2.人びと皆ほころびて笑ひぬれば (乙女)
3.いかならむ折にか、その御心ばへほころぶべからむと (若菜)
出典:『源氏物語』
最初の文は、「包み隠している浮名が漏れ出てしまうことでしょう。中の衣が引っ張り合ってこんなに綻びてしまったので」という意味です。「中の衣」とは、直衣の下、単衣の上に着る衣のことで、「中」は男女の「仲」とかけた言葉ですね。「綻ぶ」を「衣が綻びる」という意味で使っていますが、「浮名が漏れ出てしまうよ」とも言っていますね。
2番目の文は、「人々がみんな笑ってしまったので」という意味です。思わず口元がゆるんで笑うという意味で使っています。3番目の例文は、「いつの機会にか、そのお気持ちが外に現れ出ることがあるだろう」という意味です。「隠していたことが露見する」という意味で使われています。
源氏物語が書かれた頃には、すでに「綻びる」は「笑顔になる」や「隠していたことが露見する」の意味合いで使われていたことがわかりますね。
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「ほつれる」:ほどける
「ほつれる」は漢字では「解れる」と書きます。意味は編み目や縫い目がほどけること。また、まとめ髪の端が乱れることも「ほつれる」といいます。
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