国語言葉の意味

「綻びる」の意味や使い方は?例文や類語を日本語研究家が解説!

よお、ドラゴン桜の桜木建二だ。この記事では「綻びる」について解説する。

本来的な意味を言えば綻びるは「縫い目がほどける」という言葉だが、実際はもっと幅広い意味で使われている。語源やそこから派生したニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

博士(文学)の学位を持ち、日本語を研究している船虫堂を呼んだ。一緒に「綻びる」の意味や例文、類語などを見ていくぞ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/船虫堂

博士(文学)。日頃から日本語と日本語教育に対して幅広く興味と探究心を持って生活している。生活の中で新しい言葉や発音を収集するのが趣味。モットーは「楽しみながら詳しく、わかりやすく言葉をご紹介」。

「綻びる」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「綻びる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。「綻びる」はもともとは「縫い目がほどける」という意味の言葉でしたが、そこから意味内容が広がり「硬く結ばれた(緊張していた)ものが緩む」という意味でさまざまな場面で使われるようになりました。

なお、「綻びる」は文語体では「綻ぶ」という上ニ段活用の動詞でした。特に文学的な文体の文章では現在でも「綻ぶ」という形が用いられることがあります。

「綻びる」の意味は?

それでは、辞書の記述から「綻びる」の意味を見ていきましょう。「綻びる」には、次のような意味があります。参照する辞書は『精選版 日本国語大辞典』です。

ほころ・びる【綻】
〘自バ上一〙 ほころ・ぶ 〘自バ上二〙
① 縫いめがとける。衣服などの縫いめの糸がはち切れる。ほどける。
※落窪(10C後)二「唐衣きて見る事の嬉しさをつつめば袖ぞほころびぬべき」
② 衣服などの布の合わせめの一部を縫い残して仕立てる。
※狭衣物語(1069‐77頃か)二「一重の御衣(ぞ)もいたくほころびてあらはに」
③ 蕾(つぼみ)がひらき始める。花が咲きかける。
※古今(905‐914)春上・二六「あをやぎの糸よりかくる春しもぞみだれて花のほころびにける〈紀貫之〉」
④ 隠していた気持や事柄が隠しきれずに外に出る。
※源氏(1001‐14頃)若菜上「いかならむ折にか、その御心ばへほころぶべからむと」
⑤ おかしさや、楽しさをこらえきれずに外に出す。にこにこと笑いだす。また、かたい表情をくずす。
※源氏(1001‐14頃)乙女「人々みなほころびて笑ひぬれば」
⑥ うきうきした気持を抑えきれずに鳥などが鳴く。楽しげにさえずる。
※源氏(1001‐14頃)梅枝「かすみだに月と花とをへだてずはねぐらの鳥もほころびなまし」
⑦ かたくなっていた気持がほぐれる。うちとける。
※談義本・根無草(1763‐69)前「是より少しほころびて、彼男舟さし寄」

出典:精選版 日本国語大辞典(小学館)「綻」より抜粋

1.2.で述べられているのは衣服や布に関する意味での「綻びる」です。きっちりと縫われた衣服の縫い目がほどけたり、わざわざ仕立てる際に縫い残しを作る意味で用いています。

3.の意味は花が咲き始めるという意味です。こちらも「固く結ばれた」花のつぼみが少しずつ開き始める様子を表しています。

4.5.飛んで7.は人間の心情に関する意味です。隠していたりこらえていた気持ちが、緩んで表に現れる様子を表します。「笑顔」があらわれるときに現代で見られる用法です。

6.は意味的には嬉しい気持ちを抑えきれないという意味で人間ではなく動物に使用しています。

辞書に収められている用例は10世紀の古今和歌集に始まり古典作品のものが並んでいますが、現代でも「布や衣服」、「花」、「表情」が「綻ぶ」という用法は現役です。

なぜ「綻」はタンと読むか?

「綻びる」の漢字「綻」は音読みで「タン」と読みます。「経営が破綻する」などよく熟語「破綻(はたん:物事がうまくいかなくなる意)」で目にする漢字です。もっともこの漢字はメディアなどではひらがなで表記されることが多く「経営破たん」という表記もよく目にします。

糸へんに「定」と書いて「タン」とするこの読み方は少し不思議ですね。これには理由があり、「綻」という字は古くはころもへんに旦の「袒」という字だったのです。これなら文字を知らなくても「つくり」の「旦」の字から「タン」と読むことができますね。その後、時代が下って「袒」から意味が分化して「綻」という字が使われるようになって定着したという経緯があります。

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