この記事では「盤石」について解説する。

端的に言えば盤石の意味は「安定していて、びくともしないこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本文学部卒の現役WEBライター、ヒマワリを呼んです。一緒に「盤石」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヒマワリ

今回の記事を担当するのは、日本文学科卒で現役ライターのヒマワリ。専攻は近代文学だが、古典からマンガまで幅広く読んでいる。受験生家庭教師の経験を生かして、「盤石」についてわかりやすく丁寧に説明していく。

「盤石」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

盤石」は「ばんじゃく」と読みます。あまり日常会話では使われないので、耳慣れない人も少なくないでしょう。ですが、「盤石」はビジネスシーンやニュースなどでは使われることもしばしばありますので、この機会にしっかり覚えて下さい。それでは早速「盤石」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「盤石」の意味は?

まず初めに「盤石」の正確な意味を辞書からの引用で確かめてみましょう「盤石」には、次のような意味があります。

1.巨大で重たく、容易に動かすことのできない岩。
2.非常に堅固で何があってもびくともしないこと(状態)。

出典:新明解国語辞典(三省堂)「盤石」

「盤石」の「盤」と言う漢字は、大きな平たい皿、や、大きな岩と言う意味を持ちます。そして、「石」には、硬いと言う意味合いもあるのです。つまり、「盤石」とは、硬い大きな岩を表しています。先ほど辞書から引用した1の意味ですね。そして、固い大きな岩と言う意味から転じて、2の、物事が非常に堅固で何があってもびくともしないと言う意味も持つようになったのです。現在では、2の意味で用いられることが多いでしょう。

「盤石」の語源は?

次に「盤石」の語源を確認しておきましょう。

不動明王をご存知でしょうか。「動かない守護者」と言われる仏教で信仰される大日如来の化身と言われています。そして、この不動明王が座しているのが、大磐石と言われる大きな岩の台座です。この台座は金剛石(ダイヤモンドの原石)でできていると伝えられています。ダイヤモンドと言えば、とても固い鉱石ですね。また、不動明王は、信者を余すことなく救おうとする強い意志を表した厳めしい表情を持つ仏さまです。このことが由来となり、磐石とは何者にも害されない強さを持った土台、と言う意味で使われるようになったと考えられています。

\次のページで「「盤石」の使い方・例文」を解説!/

「盤石」の使い方・例文

それでは、「盤石」の使い方を実際の例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.観光地でもあるその渓谷周辺は、多くの盤石が連なり、荘厳な景観を持っている。
2.一時は上層部への不信から転職者が相次いだが、新しい幹部社員のもとで盤石な組織を作り上げることができた。
3.今回の勝負は練りに練った盤石な作戦があり、絶対に勝つ自信がある。

例文1の意味は、大きい岩、と言う意味です。観光地などで、大きな岩の呼び名として用いられていることがあります。

例文2は、安定していてびくともしない、と言う意味で使われていますね。このように組織や、人々の関係性が、固く強いことを「盤石」と表すことができます。

例文3も、びくともしない強さを表しています。例文のように、作戦や、布陣などが完璧で安定していることも「盤石」と表現することができるのです。

「盤石」の類義語は?違いは?

image by iStockphoto

「盤石」の類義語は、「堅固」や「鉄壁」がふさわしいでしょう。

「堅固」

堅固」は「けんご」と読みます。「堅」は、固い、壊れにくい、と言う意味で、「固」は、かたい、安定している、と言う意味の漢字です。つまり「堅固」とは、固く壊れにくいことを意味しており、人の意志などが、迷いなく固いことや、城などの守りが、固く、容易には攻め入れないことなどを表すのによく用いられます。

それでは、「堅固」の使い方を例文で確かめてみましょう。

\次のページで「「鉄壁」」を解説!/

・明日、台風が直撃する予報だが、この辺りの河川は堅固な堤防があるので安心だ。

「鉄壁」

鉄壁」の読み方は「てっぺき」です。鉄の壁と言う漢字の通り、非常に強固な城壁などの壁、を意味する熟語ですね。この意味が転じて、防御が固くびくともしない、と言う意味でも使われています。例えば、スポーツなどでも、守りが固い守備のことを「鉄壁のディフェンス」などと表現しますね。実際に壁がなくとも、例えとして「鉄壁」が使われることが多いでしょう。

「鉄壁」の使い方も、実際の例文で見てみましょう。

・あなたが次に戦う相手チームは鉄壁のディフェンスだから、簡単には点数をいれられないだろう。

「盤石」の対義語は?

image by iStockphoto

「盤石」の対義語には「脆弱」が挙げられます。

「脆弱」

脆弱」は「ぜいじゃく」と読みます。「脆」は、やわらかい、もろい、と言う意味を持つ漢字です。つまり「脆弱」は、もろくて弱い、簡単に壊れてしまう、ということですね。「脆弱」は、物に対しても用いることができ、また、心や作戦など、形のないものにも使うことが出来ます。

また、ニュースなどで「脆弱性」という言葉を耳にしたことがあるでしょう。これは、ネットワークやコンピューターのセキュリティにおいての弱さや、安全性の低さを言う場合が多いので、併せて覚えておきましょう。

それでは、「脆弱」の使い方も、実際の例文で確かめてみましょう。

・そんな脆弱な身体では訓練に耐えきるのは不可能だろう。

・当社のインターネットプロバイダサービスは、セキュリティの脆弱性を解消し、利用者が安全に使用できるよう相互協力します。

\次のページで「「盤石」を使った四字熟語」を解説!/

「盤石」を使った四字熟語

語彙力向上のために、「盤石」を使った四字熟語「堅如磐石」を紹介しましょう。

堅如磐石」は「けんにょばんじゃく」と読みます。気がついた方もいるかと思いますが、「盤石」が「磐石」となっていて、漢字が違っていますね。実は「磐石」と「盤石」は同じ意味なのですが、「堅如磐石」は「磐」の漢字を使います。意味は、漢字の通り、堅きこと磐石のごとし、と言うことです。どっしりとした岩のように揺るぎなく、不動である、と言うことですね。重々しい響きの言葉ですから、スピーチなどに使うのに向いているかも知れませんね。

他にも、同じ意味を持つ、「盤石之固(ばんじゃくのかため)」「盤石之安(ばんじゃくのあん)」と言う四字熟語があります。

「盤石」を使いこなそう

この記事では「盤石」の意味・使い方・類語などを説明しました。「盤石」は日常会話でなかなか使うことはないかも知れません。しかし、ビジネスシーンや、小説などではしばしば使われることもあります。「盤石の構えで臨む」という言い方などが良く使われますので覚えておいてください。重厚な雰囲気を持つ言葉ですから、文章やスピーチなどで、ぜひ使ってみてください。

" /> 「盤石」の意味や使い方は?例文や類語を日本文学部卒Webライターがわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

「盤石」の意味や使い方は?例文や類語を日本文学部卒Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「盤石」について解説する。

端的に言えば盤石の意味は「安定していて、びくともしないこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本文学部卒の現役WEBライター、ヒマワリを呼んです。一緒に「盤石」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヒマワリ

今回の記事を担当するのは、日本文学科卒で現役ライターのヒマワリ。専攻は近代文学だが、古典からマンガまで幅広く読んでいる。受験生家庭教師の経験を生かして、「盤石」についてわかりやすく丁寧に説明していく。

「盤石」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

盤石」は「ばんじゃく」と読みます。あまり日常会話では使われないので、耳慣れない人も少なくないでしょう。ですが、「盤石」はビジネスシーンやニュースなどでは使われることもしばしばありますので、この機会にしっかり覚えて下さい。それでは早速「盤石」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「盤石」の意味は?

まず初めに「盤石」の正確な意味を辞書からの引用で確かめてみましょう「盤石」には、次のような意味があります。

1.巨大で重たく、容易に動かすことのできない岩。
2.非常に堅固で何があってもびくともしないこと(状態)。

出典:新明解国語辞典(三省堂)「盤石」

「盤石」の「盤」と言う漢字は、大きな平たい皿、や、大きな岩と言う意味を持ちます。そして、「石」には、硬いと言う意味合いもあるのです。つまり、「盤石」とは、硬い大きな岩を表しています。先ほど辞書から引用した1の意味ですね。そして、固い大きな岩と言う意味から転じて、2の、物事が非常に堅固で何があってもびくともしないと言う意味も持つようになったのです。現在では、2の意味で用いられることが多いでしょう。

「盤石」の語源は?

次に「盤石」の語源を確認しておきましょう。

不動明王をご存知でしょうか。「動かない守護者」と言われる仏教で信仰される大日如来の化身と言われています。そして、この不動明王が座しているのが、大磐石と言われる大きな岩の台座です。この台座は金剛石(ダイヤモンドの原石)でできていると伝えられています。ダイヤモンドと言えば、とても固い鉱石ですね。また、不動明王は、信者を余すことなく救おうとする強い意志を表した厳めしい表情を持つ仏さまです。このことが由来となり、磐石とは何者にも害されない強さを持った土台、と言う意味で使われるようになったと考えられています。

\次のページで「「盤石」の使い方・例文」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: