この記事では「追伸」について解説する。

端的に言えば追伸は「本文の後に書き加える文」という意味ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

情報誌系のライターを10年経験した柊 雅子を呼んです。一緒に「追伸」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/柊 雅子

イベントの司会や雑誌の記事作成を仕事としてきたライター、柊 雅子。家のポストに入っているのはお役所からの通知ぐらいで「追伸」と記された手紙などは長い間もらった事がないということに改めて気付く。「手紙って風情があったなぁ」と思う柊 雅子が「追伸」について解説する。

「追伸」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「追伸」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「追伸」の意味は?

「追伸」には、次のような意味があります。

手紙などで、本文のあとに、さらに書き加える文。また、その初めに記す語。なおなお書き。追って書き。追啓。追陳。二伸。追白。

 

出典:デジタル大辞泉(小学館)「追伸」

先ず、手紙の書き方についてみてみましょう。手紙は基本的に次のように構成されています。

「前文」(頭語、時候の挨拶、安否を尋ねる挨拶)  →「主文」(本文)  →「末文」(結びの言葉、結語)  →「後付」(日付、署名、宛名)  →「副文」(追伸)

「追伸」が記されるのは手紙の「後付」よりも後、一番最後の「副文」の部分。用件だけを伝えるビジネスメール等の文章とは異なり、手紙は伝えたいこと(本文)を書く「主文」の後に「末文」「後付」が続きますね。

手書きで手紙を書く場合、日付や宛名まで書いてしまった後…何かを書き忘れたことに気がついても一から書き直すのは大変です。しかし「追伸」として「後付」の後に文章を付け加えることができれば書き直さずにすみます…とは言っても「追伸」はあくまで付け足し。長くても二行程度に収めましょう。

「追伸」の語源は?

次に「追伸」の語源を確認しておきましょう。

「追伸」は元々「追申」と記されていました。「追」には「後を追う」という意味、「申」には「伸ばす」という意味があり「追申」は「後を追って伸ばす」となりますね。「後を追って伸ばす」は「書き終わってしまった手紙を伸ばして書く」という意味になる訳です。

しかし「申」は次第に「申す」という意味で用いられるようになったため「伸ばす」という意味をもつ「伸」の字があてられるようになり「追伸」と表記されるようになりました。

\次のページで「「追伸」の使い方・例文」を解説!/

「追伸」の使い方・例文

「追伸」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.追伸 先日はこちらの都合であなたにお手間をとらせてしまいました。お詫びに人気のフレンチレストランで食事でもいかがでしょうか。連絡をお待ちしております。

2.追伸 桃の花もほころび始め、我が家の庭も春の装いです。また、遊びにいらしてください。

3.追伸 先日は結構なお品をお送り頂きありがとうございました。お礼申し上げます。

例文1~3は一般的な手紙を書く場合の「追伸」です。「追伸」は本文のあとに付け加える文のことですが、手紙を書く時、使ってはいけない場合があります。

結婚のお祝いの手紙を書く場合は「追伸」を使ってはいけません。結婚式では再婚を連想させる「たびたび」「またまた」といった重ね言葉を使ってはいけませんよね。「追伸」は後付まで書いて、既に書き終わっているのに重ねてまた文章を書きます。重ね言葉と同じになってしまうので結婚のお祝いの手紙を書く時には「追伸」を使ってはいけないのです。

謝罪文を書く時も使ってはいけません。そもそも謝罪の文を書くのに「付け足し」の意味をもつ「追伸」を使って書いては失礼というものです。

災害や病気のお見舞いの意味をもつ文章を書く時も「追伸」は使いません。重ね言葉的な「追伸」から「災害や病気が重ねておきる」という意味合いを連想してしまうので使わないのです。

「追伸」の類義語は?違いは?

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手紙の副文として文章を書き加える場合に用いられる「追伸」にはどのような類義語があるのでしょうか。

「追記」

追記は「付け足して書く」という意味で、「追伸」と同じような使われ方をします。

使われる場面は広報や社内通知等。「追伸」と異なる点は手紙のように特定の個人に宛てたものではなく、情報を発信する相手が社員やグループのメンバー等であるということです。特定の個人に宛てたものではないので、その内容や表現はあくまで事務的。手紙で用いる「追伸」のように個人的な感情を記したりすることはありません

\次のページで「「追伸」の対義語は?」を解説!/

「追伸」の対義語は?

「追伸」の対義語はありません

「追伸」は書きあがっている状態にさらに書き加えること。「書き加える」ということだけを考えると「削除」が対義語ということになるのですが、「削除」は「今の状態から削ること」。これでは書きあがっている状態から削るということになってしまいます。なので「追伸」の対義語はないということになるのです。

「追伸」の英訳は?

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「さらに書き加える」という意味の「追伸」。英語ではどのように表現されるのでしょう。

1.P.S. My dog gave birth to four puppies. They are so cute.

追伸 我が家の愛犬が子犬を4匹産みました。とてもかわいいです。

2.PS Cold days continue. Please take care of yourself.

追伸    寒い日が続きます。どうぞご自愛ください。

「追伸」は英語で「P.S.」と表されます。

P.S.」は「postscript」の略語で語源はラテン語の「scriptum」。「post」は「後」ラテン語の「scriptum」は「書く」という意味なので「後で書く」という意味になります。

例文1は「P.S.」、例文2は「PS」と表されていますね。表記としては「P.S.」「PS」「p.s.」「ps」の4通りがあり、どれも文法的には間違いではありませんが主に「P.S.」「PS」が用いられます。

「追伸」を使いこなそう

この記事では「追伸」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「追伸」は手紙などの文に「さらに付け加えること」ですが使ってはいけない場面等があり、使う時にはマナーを守らないと相手に対して失礼な印象を与えてしまうことがわかりました。

最近、手紙を書いたりもらったりしたことがありますか?キーボードをたたくだけで簡単に「伝える」ということができる時代ですが、心を込めて一文字一文字…手書きで綴っていく手紙も良いものですよ。

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国語言葉の意味

「追伸」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「追伸」について解説する。

端的に言えば追伸は「本文の後に書き加える文」という意味ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

情報誌系のライターを10年経験した柊 雅子を呼んです。一緒に「追伸」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/柊 雅子

イベントの司会や雑誌の記事作成を仕事としてきたライター、柊 雅子。家のポストに入っているのはお役所からの通知ぐらいで「追伸」と記された手紙などは長い間もらった事がないということに改めて気付く。「手紙って風情があったなぁ」と思う柊 雅子が「追伸」について解説する。

「追伸」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「追伸」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「追伸」の意味は?

「追伸」には、次のような意味があります。

手紙などで、本文のあとに、さらに書き加える文。また、その初めに記す語。なおなお書き。追って書き。追啓。追陳。二伸。追白。

 

出典:デジタル大辞泉(小学館)「追伸」

先ず、手紙の書き方についてみてみましょう。手紙は基本的に次のように構成されています。

「前文」(頭語、時候の挨拶、安否を尋ねる挨拶)  →「主文」(本文)  →「末文」(結びの言葉、結語)  →「後付」(日付、署名、宛名)  →「副文」(追伸)

「追伸」が記されるのは手紙の「後付」よりも後、一番最後の「副文」の部分。用件だけを伝えるビジネスメール等の文章とは異なり、手紙は伝えたいこと(本文)を書く「主文」の後に「末文」「後付」が続きますね。

手書きで手紙を書く場合、日付や宛名まで書いてしまった後…何かを書き忘れたことに気がついても一から書き直すのは大変です。しかし「追伸」として「後付」の後に文章を付け加えることができれば書き直さずにすみます…とは言っても「追伸」はあくまで付け足し。長くても二行程度に収めましょう。

「追伸」の語源は?

次に「追伸」の語源を確認しておきましょう。

「追伸」は元々「追申」と記されていました。「追」には「後を追う」という意味、「申」には「伸ばす」という意味があり「追申」は「後を追って伸ばす」となりますね。「後を追って伸ばす」は「書き終わってしまった手紙を伸ばして書く」という意味になる訳です。

しかし「申」は次第に「申す」という意味で用いられるようになったため「伸ばす」という意味をもつ「伸」の字があてられるようになり「追伸」と表記されるようになりました。

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