
「蹂躙」は、聞きなじみのない言葉かもしれませんね。ほかの言葉では見かけない漢字だから、「意味どころか読み方から正答できるか怪しい」ってやつもいるんじゃないか?「蹂躙」はとても悲惨な行為ですが、昔も現代も戦争についてまわる。言葉の意味とともに、そういう事実があるってことは知っておいたほうがいい。
今回は小学生のときに『はだしのゲン』を何回も読んでたライターのぷーやんを呼んです。「蹂躙」の意味と使われ方について、説明してもらおう。

ライター/ぷーやん
webライター歴6年。鍛えられた語彙と文章力は本業でも発揮され、社内ルールの書き換え担当に。子供のときみた『はだしのゲン』や原爆資料館に衝撃を受け、「蹂躙」という言葉を知った。
「蹂躙」を辞書でみてみよう!
「蹂躙」は辞書でどう書かれているでしょうか?
[名](スル)ふみにじること。暴力・強権などをもって他を侵害すること。「弱小国の領土を―する」「人権―」
出典:デジタル大辞泉(小学館) 「蹂躙」
「蹂躙」は暴力で相手をふみにじることですが、特に圧倒的な力量差でねじ伏せるイメージを持つ言葉です。権力者が権威的な弱者を卑しめて傷つけるような行為も該当します。ちなみに「蹂」も「躙」も常用漢字ではありませんので、新聞などではルビがふられることが多いようです。
「蹂躙」はどんな風に使う?
次に「蹂躙」の使い方の例文をご紹介します。
1.大国が大義名分を掲げて隣接する小国に攻め入り、軍事関係者のみならず一般市民にも危害を加え、蹂躙した。
2.議会を無視した市長の権限濫用により、多くの市職員が蹂躙された。
例文1は世界的に繰り返されている戦争勃発の定型ですね。防衛以外の武力行使は、たいてい見え透いた建前で本音をごまかして行われます。例文2は、過去の日本の自治体で実際に起こったことです。市長には市職員と民間との給与差を是正するという信念があったようですが、あまりに強引な方法であったために反発を招いてしまいました。
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