
1「むせび泣く」
「噎び泣く」や「咽び泣く」とも書きます。強い嘆きや悲しみの感情の中、声を詰まらせながら泣くという意味の言葉です。辞書の記述で「嗚咽」の意味が「むせび泣くこと」となっているように「嗚咽」と「むせび泣く」は非常に近いといえます。違いは文体によるところが大きく、「嗚咽」は書き言葉で主に使い、比較すると「むせび泣く」は話し言葉寄りです。
2「すすり泣く」
もう一つの類義語として挙げるのは「すすり泣く」です、。「すすり泣く」とは、声を抑えて泣くという点は共通していますが、「嗚咽」や「むせび泣く」が声を殺して泣くのに対して、「すすり泣く」は鼻をすするように小刻みに息を吸いながら泣く様子を表します。
「嗚咽」の注意すべき誤用とは?
当記事のライターはとある職場ではで、新人の同僚が以下のように発言していたのを聞き、違和感を覚えました。
「(初出勤を迎えて)昨夜は緊張のあまり嗚咽が止まりませんでした・・・・・・。」
この人は初出勤の前夜、緊張しすぎてうめき声を漏らしながら泣いていたのでしょうか。それは少し奇妙な何時がしますね。実際は、緊張のあまり吐き気が止まらなかったのだそうです。
このように、「嗚咽」はしばしば「吐き気」の意味で使われてしまうことがあります。一説には「嗚咽」の読み方の「おえつ」が嘔吐するときの擬音「おえっ」に似ているからという由来があるのですが、真偽の程は定かではありません。
また最近は「吐き気」を表す「嘔吐感」の代わりに「嗚咽感」という言葉が使われることがあるようですが、もちろん誤った使い方で「嗚咽感」ということばは存在しません。
ただ、Googleなどのインターネットの検索サイトで「嗚咽感」をキーワードにして検索をかけると、医療機関や医療情報サイトの「吐き気」のページがヒットします。誤用を助長しているような感はありますが、この言葉で検索をかける人は大体が切羽詰まった状況でしょうから、検索した人が必要としている情報を得られるという点で、検索サイトの善意だと思うことにしましょう。
「sob」
“sob”は英語の動詞で「すすり泣く」、もしくは名詞で「すすり泣き」という意味を持ってます。類義語で触れたように「嗚咽」・「むせび泣く」と「すすり泣く」は若干意味合いが異なりますが、一般的にはこの単語があてられることが多いようです。また、”sob”の意味の範疇として「泣きじゃくる」も含まれるので使用や読解にあたっては文脈を正確に把握する必要があります。
I hear sobbing coming from the next room.
隣の部屋から嗚咽の声がする。