この記事では「きな臭い」について解説する。

端的に言えばきな臭いの意味は「争いごとが起こりそうなこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本文学部卒の現役WEBライター、ヒマワリを呼んです。一緒に「きな臭い」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヒマワリ

今回の記事を担当するのは、日本文学科卒で現役ライターのヒマワリ。専攻は近代文学だが、古典からマンガまで幅広く読んでいる。受験生家庭教師の経験を生かして、「きな臭い」についてわかりやすく丁寧に説明していく。

「きな臭い」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

「きな臭(くさ)い」は、比較的よく耳にする言葉ですが、使い方によって意味も変わりますから、どんな意味があるか覚えておきましょう。また、「きな臭い」の「きな」は、何のことなのでしょうか。それでは早速「きな臭い」の意味や語源・使い方を一緒に見ていきましょう。

「きな臭い」の意味は?

まず初めに、「きな臭い」の正確な意味を辞書からの引用で確かめてみましょう。「きな臭い」には、次のような意味があります。

1.紙やきれなどの焦げるにおいがするようだ。
2.対立関係にあるものの間に紛争が起こりそうな気配が感じられる様子だ。
3.不正事件があるのではないかと疑いの目を向けられる様子だ。

出典:新明解国語辞典(三省堂)「きな臭い」

上記の通り、「きな臭い」には三つの意味があります。一つめは、何かが燃えて焦げているようなにおい、と言う意味です。二つめに、争いごとが起こりそうな物騒な予感がする、と言う意味もあります。戦争や紛争が起こりそうな状態の時によく使われますね。三つめは、人やその行動が胡散臭く疑わしい、何か悪い裏があるのではないかと怪しむことです。現在では二つめと三つめの意味で使われることが多いでしょう。使い方によって意味が変わってきますから、三つとも覚えておきましょう。

「きな臭い」の語源は?

次に「きな臭い」の語源を確認しておきましょう。「きな臭い」の「きな」とは、いったい何のことかというと、実は「衣(きぬ)」のことではないかと考えられています。「衣」が燃えて焦げているような匂いがする、と言うことですね。そして、燃えて焦げていることから、火薬や硝煙が連想され、戦争や紛争などの気配を意味するようになったのだろうと推測されています。また、争いなどの悪いことが起きそうな雰囲気だと言う意味が転じて、不正事件など、怪しんで疑いの目を向ける様子にも使われるようになったと考えられているようです。

その他にも、「きな」は「木の」と言うことだと言う説もあります。こちらは木の焼け焦げるような臭い、と言うことですね。

\次のページで「「きな臭い」の使い方・例文」を解説!/

「きな臭い」の使い方・例文

それでは、「きな臭い」の使い方を、実際の例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.料理をしていたが、うっかり鍋を焦がしてしまい、部屋がきな臭くなってしまった。
2.両国の国境では、ここ数年緊迫した情勢が続いていたが、いよいよきな臭くなってきた。
3.取引関係書類を見せてもらったが、知らないうちに詐欺に加担してしまうようなきな臭い話だったよ。

例文1の「きな臭い」は、単純に焦げ臭くなってしまった、と言う意味ですね。日常会話で良く使われる用法でしょう。例文2は戦争や紛争などが起こりそうな予感がする、と言う使い方です。ニュースや歴史小説など、戦争に関する場面でしばしば使われていますね。例文3の「きな臭い」は、不正などの悪いことが裏にありそうだと疑っている様子を表しています。ドラマなどのセリフで使われることもあるでしょう。

このように、「きな臭い」は三つの意味で使われます。前後関係や状況で意味をとらえましょう

「きな臭い」の類義語は?違いは?

image by iStockphoto

「きな臭い」の類義語には「不穏」や「胡散臭い」などがあります。

「胡散臭い」

胡散臭い」は「うさんくさい」と読みます。意味は、怪しくて疑わしい、と言うことです。「胡散」とは怪しいと言う意味の熟語ですが、疑わしいことを意味する漢語の「胡乱(うろん)」が語源であると考えられています。そして、この「胡散」に、だろう、と言う意味の接尾語である「臭い」を付けて「胡散臭い」と言う言葉ができているのです。

「きな臭い」を、怪しんで疑っていると言う意味で使った場合、類義語と言えるでしょう。相違点は「胡散臭い」は人に対しても使えますが、「きな臭い」は人に対しては用いることはできず、物事のみに使う点です。

それでは、「胡散臭い」の使い方を例文で確かめてみましょう。

\次のページで「「不穏」」を解説!/

・あなたが紹介してくれるビジネスは胡散臭いものばっかりだね。

「不穏」

不穏」は「ふおん」と読みます。「不穏」とは、状況が不安定で穏やかではないこと。危機や不安をはらんでいる、と言う意味です。おだやかでなく物騒な雰囲気であることを「不穏な空気」「不穏な状況」などと表現できるでしょう。

「きな臭い」を戦争や紛争の予感がある、と言う意味で使った場合の類義語にふさわしいですね。

「不穏」の使い方も、例文で確かめてみましょう。

・マンションの管理組合が揉めているため、住民同士の間でも不穏な空気が漂っている。

「きな臭い」の対義語は?

image by iStockphoto

「きな臭い」の対義語には「クリーン」や「友好関係」が挙げられます。

「クリーン」

クリーン」は「clean」と言う英語で、綺麗な、清潔なと言うのが主な意味です。そして、「clean」は、他にも「公正な」と言う意味も持っています。日本では良く「クリーンな取引」や「クリーンな仕事」などと言う使い方をされますね。この場合は「公正な取引」「公正な仕事」と言う意味になります。「クリーン」は、「きな臭い」を、不正や悪事を疑っている、と言う意味で使った場合の対義語と考えられるでしょう。

では、「クリーン」の使い方も例文で確認しましょう。

転職先は公平でクリーンな評価をしてくれるところがいい。

\次のページで「「友好関係」」を解説!/

「友好関係」

「きな臭い」は、両者が不穏な関係で、戦争や抗争などが起きそうな様子を表しますね。ですから対義語は、両者が戦争などせず仲良くすると言う意味の言葉が良いでしょう。特に国際関係については、両国の関係が上手くいっていることを「友好関係(ゆうこうかんけい)」と言います。ニュースなどで良く耳にする言葉だと思います。「友好関係を結んでいる」などと、使いますね。「友好関係」は、両者が仲がいい事や親しく交わっていること、また、そのような関係性にあることを表します。

「友好関係」の使い方も、例文で確かめてみましょう。

・無益な戦いをしないために、隣国と本来の友好関係を取り戻す必要がある。

「きな臭い」を使いこなそう

今回は「きな臭い」について説明しました。日常やテレビなどでも耳にする身近な言葉ですが、使い方によって意味が異なる言葉です。記事の中でも説明しましたが、「きな臭い」には三つの意味がありましたね。「焦げる、焼ける臭い」から「戦争などが起こりそう」と言う意味になり、悪いことが起きそうだと言うことから変じて「疑わしく怪しい」と言う意味も持つようになったと言う説が有力なようです。ですが、それぞれの意味がいつごろから使われるようになったのかは正確にはわかっていないようですね。多くの文献からそれを調査するのはなかなか難しいですから、言葉の語源を正確に判明するには大変な知識と作業が必要なのです。

" /> 「きな臭い」の意味や使い方は?例文や類語を日本文学部卒Webライターがわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

「きな臭い」の意味や使い方は?例文や類語を日本文学部卒Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「きな臭い」について解説する。

端的に言えばきな臭いの意味は「争いごとが起こりそうなこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本文学部卒の現役WEBライター、ヒマワリを呼んです。一緒に「きな臭い」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヒマワリ

今回の記事を担当するのは、日本文学科卒で現役ライターのヒマワリ。専攻は近代文学だが、古典からマンガまで幅広く読んでいる。受験生家庭教師の経験を生かして、「きな臭い」についてわかりやすく丁寧に説明していく。

「きな臭い」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

「きな臭(くさ)い」は、比較的よく耳にする言葉ですが、使い方によって意味も変わりますから、どんな意味があるか覚えておきましょう。また、「きな臭い」の「きな」は、何のことなのでしょうか。それでは早速「きな臭い」の意味や語源・使い方を一緒に見ていきましょう。

「きな臭い」の意味は?

まず初めに、「きな臭い」の正確な意味を辞書からの引用で確かめてみましょう。「きな臭い」には、次のような意味があります。

1.紙やきれなどの焦げるにおいがするようだ。
2.対立関係にあるものの間に紛争が起こりそうな気配が感じられる様子だ。
3.不正事件があるのではないかと疑いの目を向けられる様子だ。

出典:新明解国語辞典(三省堂)「きな臭い」

上記の通り、「きな臭い」には三つの意味があります。一つめは、何かが燃えて焦げているようなにおい、と言う意味です。二つめに、争いごとが起こりそうな物騒な予感がする、と言う意味もあります。戦争や紛争が起こりそうな状態の時によく使われますね。三つめは、人やその行動が胡散臭く疑わしい、何か悪い裏があるのではないかと怪しむことです。現在では二つめと三つめの意味で使われることが多いでしょう。使い方によって意味が変わってきますから、三つとも覚えておきましょう。

「きな臭い」の語源は?

次に「きな臭い」の語源を確認しておきましょう。「きな臭い」の「きな」とは、いったい何のことかというと、実は「衣(きぬ)」のことではないかと考えられています。「衣」が燃えて焦げているような匂いがする、と言うことですね。そして、燃えて焦げていることから、火薬や硝煙が連想され、戦争や紛争などの気配を意味するようになったのだろうと推測されています。また、争いなどの悪いことが起きそうな雰囲気だと言う意味が転じて、不正事件など、怪しんで疑いの目を向ける様子にも使われるようになったと考えられているようです。

その他にも、「きな」は「木の」と言うことだと言う説もあります。こちらは木の焼け焦げるような臭い、と言うことですね。

\次のページで「「きな臭い」の使い方・例文」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: