理科生物細胞・生殖・遺伝

3分で簡単「細胞質と細胞質基質」細胞生物学の基礎知識を現役理系大学院生がわかりやすく解説!

細胞内液のイオンの維持

細胞内液のイオンの維持

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細胞質基質中のイオン濃度の管理は恒常性を維持するために非常に重要です。細胞質基質中(細胞内液)のイオンの濃度は細胞外液の中のものとは全く異なり、細胞内液に多く含まれるのはカリウムイオン(K+)、マグネシウムイオン(Mg2+)、リン酸水素イオン(HPO42-)。細胞外液はナトリウムイオン(Na+)、クロールイオン(Cl–)、重炭酸イオン(HCO3–)が多いです。

細胞内外のイオン濃度差は細胞の浸透圧の調節に重要で、細胞はエネルギーを使って細胞外へナトリウムイオンを汲み出し、代わりにカリウムイオンを取り込んでいます。このイオンを細胞内外へ移動させる際に生じる電気的な差を利用して神経伝達、筋収縮、心臓の心筋の収縮させたり、他の物質の輸送に必要なエネルギーを供給する役割持っています(二次性能動輸送)。他にも、細胞内のシグナル伝達のメッセンジャーとして機能したり、酵素の働きを助ける作用も持ちます。

細胞質基質で行われる代謝

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細胞質基質は原核生物の中で最大の代謝の部位であり、真核生物でも代謝の大部分を占めています。例えば、哺乳類では、細胞内のタンパク質の約半分が細胞質基質に局在しており、糖代謝(解糖系、ペントースリン酸経路、糖新生)脂肪酸代謝(β酸化、脂肪酸合成)、アミノ酸の合成と代謝、タンパク質合成、ヌクレオチド合成など実に多種多様な代謝が行われているのです。

細胞質基質は全ての生物や細胞が共通して持っていますが、代謝経路の局在は生物種や細胞よって異なります。例えば糖新生(グルコース以外の物質からグルコースを作る代謝)を行うことができるのは、肝臓や腎臓の細胞の細胞質基質だけです(メインは肝臓)。理由は代謝経路に必要なグルコース-6-ホスファターゼという酵素が肝臓と腎臓にしか存在しないためです。他にも植物での脂肪酸合成は植物葉緑体で起こります。

代謝は化学反応が連続するためか、苦手意識を持つひとが多い分野ですが、とても重要なので確認してみてください。

細胞学の基本「細胞質と細胞質基質」

今回は「細胞質と細胞質基質」をテーマに解説しました。細胞生物学の分野ではすべての生物は細胞と細胞の作ったものからできていると定義れています。細胞質と細胞質基質は原核細胞も真核生細胞も持っている最も基本的な細胞の構造であり、細胞生物学の基礎の部分です。教科書や一般書では細胞質と細胞質基質について混合される場合も多いため、この機会にしっかりと確認し日々の学習に役立ててくださいね。

「細胞質と細胞質基質」は基礎ではあるものの、生物種や細胞間でも細胞質、細胞質基質の成分や行われる代謝も異なるため、実はまだまだ解明されていない部分も多く、今後の研究が楽しみな分野でもあります。

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