この記事では「プレミアム」について解説する。「プレミアム」は比較的一般的な言葉です。「わざわざ意味を調べたことなんてない」という奴も多いでしょうし、「それで実際困ったことも無い」という奴もまた多いでしょう。しかし、実は「プレミアム」は豊富な意味を持つ言葉です。元建築系企業社員、現言葉大好きライターのsasaiを呼んです。一緒に「プレミアム」の意味や語源、言い換えなどを見ていきます。

ライター/sasai

元会社員の現役フリーライター。言葉が好きで文章が好き。読むのも書くのも大好きで、海外小説からビジネス書まで何でも読む本の虫。こだわりをもって言葉の解説をしていく。

そもそも「プレミアム」の意味とは?

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「プレミアム」の意味を調べると、以下のような結果が出ます。

1 オプション取引において、権利の価格。オプション料。
2 額面株式が額面金額以上の価額で発行されたときの超過額。額面株式は平成13年(2001)の商法改正により廃止。
3 被買収企業の買収価格と純資産との差額。暖簾(のれん)代。
4 入場券などの、正規の料金の上に加えられる割増金。プレミア。「プレミアムがつく」
5 商品につける景品や懸賞の賞品。プレミア。「プレミアムセール」
6 (形容詞的に用いて)高級な。上等な。「プレミアムビール」
7 ⇒打歩(うちぶ)

出典:Weblio辞書 「プレミアム 意味」

意味の内容以前に、そもそも「これだけ意味の種類がある」という事実に驚いた人もいるのではないでしょうか。ただ実は、7つも意味があるものの内容の本質は極めて近いです。「プレミアム」とは基本的に、「+αの価値」のことを指しています。通常想定された価値と、実際の価値に差が生じる時に出てくる言葉なのです。

一般的に用いられる「プレミアム」の意味はどれ?

一般的に「プレミアム」というと、上記トピックにおいての「5 商品につける景品や懸賞の賞品」「6(形容詞的に用いて)高級な。上等な。」を想定して用いる人が多いでしょう。実際に「プレミアム」を検索すると、サジェストでは「プレミアム〇〇」という固有名詞が多数出てきます。これは後ろの「〇〇」に対して「より上等である」という意味を込めて名付けられているわけです。

「プレミアムがつく」という言い方について

「4 入場券などの、正規の料金の上に加えられる割増金。」とはいわゆる貴重なものに対して「プレミアムがつく」と言い回しをします。この「つく」という言葉が肝心で、これはつまり生産者ではなく消費者が「プレミアムである」とみなしているということです。「プレミアム○○」という名前の商品は生産者が「こちらの方がよりプレミアムです」と消費者に提示しているのに対し、こちらは逆の現象が起こっています。

\次のページで「「プレミアム」の一般的な使い方とは?」を解説!/

「プレミアム」の一般的な使い方とは?

「プレミアム」は日常においては、以下のように使用します。

1.こちらがスタンダードプランで、こちらが「プレミアム」プランになります。
2.あの店では今、「プレミアム」抽選会を行っている。
3.その本は「プレミアム」が付いているから手が届かない。

1、2は双方「プレミアム」を頭に置き、プランやイベントに対して「通常より上等である」という意味を付与しています。3は上記で説明した、消費者側の間で価値が上がっている状態です。

経済における「プレミアム」

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上記で説明した「プレミアム」の意味の中で、1~3と7は経済用語となります。固有名詞として「プレミアム」が使用されており、言い回しとしての「プレミアム」とは意味が異なるため、注意が必要です。

その1:「プレミアム・オプション」

上述した「プレミアム」の意味の「1 オプション取引において、権利の価格。オプション料。」ですが、そもそも「オプション取引」とは何でしょうか。以下がその答えです。

一般的にオプション取引とは、

・将来のあらかじめ定められた期日に
・特定の商品(原資産)を
・現時点で取り決めた価格で売買する「権利」

の取引です。

~中略~

先物取引が、売買の契約なのに対し、オプション取引は権利の取引です。例えば、パソコンのニューモデルの購入に当てはめてみましょう。現時点でニューモデルの価格が未定で、価格が20万円になると予想する場合、先物取引が来年ニューモデルを20万円で購入する予約をする取引であるのに対し、オプション取引の場合はニューモデルを20万円で購入できる「購入権」を代金を支払って買うイメージです。仮に、パソコンの価格が17万円に決定した場合、先物取引(予約)であれば20万円で買わなくてはなりませんが、オプション取引(購入権)は、その権利を放棄して、現在の市場で17万円で買うという選択をすることができます(ただし、購入権を買うために支払った代金は返ってきません)。

出典:JPX「オプション取引 とは」

上記の説明は株式の話です。オプション取引とはつまり、株式売買の事前予約のようなものになります。オプション料を払うことで、実際に売買するタイミングになった際「事前予約した価値で売買する」か、「予約を取り消し実際の値段で売買する」か、得な方を選べるということです。そして、そのオプション料が「プレミアム」と名付けられています。

\次のページで「その2:差額・割増金」を解説!/

その2:差額・割増金

上述した「プレミアム」の意味の「3 被買収企業の買収価格と純資産との差額。」と「7 打歩」について見ていきましょう。3については説明の通り、純資産と売買値の「差額」を意味します。「打歩(うちぶ)」の意味は以下の通りです。

外国為替相場で、先物(さきもの)相場が直物(じきもの)相場よりも高い場合の差額。

出典:Weblio辞書「打歩 意味」

「打歩」も意味するところはやはり「差額」です。「プレミアム」は一般的には「通常より高級である」という意味のイメージがありますが、経済界ではこのように「差額」を意味する言葉としてしばしば用いられます。しかし「高級」とは「通常と差がある」と言い換えても間違いではありません。つまり、一般的な意味にしろ経済的な意味にしろ、突き詰めていくとそれほど示していることに違いがあるわけではないことがわかります。

その3:消えてしまった?「プレミアム」

上述した「プレミアム」の意味の「2 額面株式が額面金額以上の価額で発行されたときの超過額。」もまた「差額」の一種ですが、この言葉には重要な追記があります。それが「額面株式は平成13年(2001)の商法改正により廃止。」という部分です。

この例のように、言葉というものは時代の流れによって生まれたり消えたりするもの。上記の差額は間違いなく「プレミアム」という名前でしたが、現在はもう使用される場面のない「プレミアム」となっています。

「プレミアム」の類義語

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「プレミアム」の類義語について解説します。いずれも「プレミアム」と同程度には一般的に見かける言葉が多いため、それほど難しくはありません。ただ、注意しなければならないことも多いため、それぞれについての理解は欠かさないようにしましょう。

「プレミア」

「プレミア」という言葉は「プレミアム」の類義語としてしばしば利用されますが、実はとても注意が必要な言葉です。日本語において「プレミア」と一口に言っても、実は英語には3種類もの「プレミア」があります。いずれも綴りはバラバラですが、日本語で読む際は混同してしまいかねません。

以下が3つの「プレミア」についての説明です。

\次のページで「「スペシャル/ラグジュアリー」」を解説!/

「premium」(プレミアム)は、「賞、賞品」「割増金」などの意味や、「上等な、上質な」といった意味があり、「premiere」(プレミア)は「初日、初演」「最初の、主要な」、「premier」(プレミア)は「首相」「最高の」という意味があります

出典:ランダムハウス英和大辞典「プレミア 意味」

上記では略されていますが、「プレミア」という言葉はしばしば「プレミアム」の略として使用されることがあります。言葉としての省略であるため意味は全く同じであり、「プレミアム」の類義語として当てはまるのはその「プレミア」のみです。上記の説明の内2、3番目に説明される「プレミア」はいずれも「プレミアム」の類義語としてはやや不適切であるため、似た読みでありながら意味の違う言葉と捉えておきましょう。

「スペシャル/ラグジュアリー」

「高級な」「上等の」という意味で「プレミアム」を用いる場合は、「スペシャル」や「ラグジュアリー」とも置き換えることが可能です。「スペシャル」は「上等な」、「ラグジュアリー」は「高級な」という意味を示しています。

その逆の意味合いはなく、「スペシャル」を「高級」という意味で使用するとやや伝わりづらくなりますし、「ラグジュアリー」を「相対的に上等である」という意味で使用してもやはり意味がブレて伝わります。「上等かつ高級」というイメージを伝えたい場合は、「プレミアム」が最適と言えるでしょう。

現れ消えゆく「プレミアム」の姿

「プレミアム」という言葉は意味の種類が多いです。経済用語に詳しくない場合はその事実だけでも驚くかもしれませんが、さらに注目すべきは、現在使用されない意味を含むという点でしょう。経済の形は日々移ろうものであり、その経済に使用されている言葉は、皆等しくいつか使用されない言葉になる可能性を秘めています。同時に未来で、新たな意味を加えられることもあるかもしれません。今日学んだ意味が永遠であるなどとは思わず、常に世界の動きに注目していると、新しい言葉の姿も見えてくるでしょう。

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国語言葉の意味

実は意味が沢山?「プレミアム」の意味・使い方・類義語を言葉大好きライターがわかりやすく解説!

この記事では「プレミアム」について解説する。「プレミアム」は比較的一般的な言葉です。「わざわざ意味を調べたことなんてない」という奴も多いでしょうし、「それで実際困ったことも無い」という奴もまた多いでしょう。しかし、実は「プレミアム」は豊富な意味を持つ言葉です。元建築系企業社員、現言葉大好きライターのsasaiを呼んです。一緒に「プレミアム」の意味や語源、言い換えなどを見ていきます。

ライター/sasai

元会社員の現役フリーライター。言葉が好きで文章が好き。読むのも書くのも大好きで、海外小説からビジネス書まで何でも読む本の虫。こだわりをもって言葉の解説をしていく。

そもそも「プレミアム」の意味とは?

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「プレミアム」の意味を調べると、以下のような結果が出ます。

1 オプション取引において、権利の価格。オプション料。
2 額面株式が額面金額以上の価額で発行されたときの超過額。額面株式は平成13年(2001)の商法改正により廃止。
3 被買収企業の買収価格と純資産との差額。暖簾(のれん)代。
4 入場券などの、正規の料金の上に加えられる割増金。プレミア。「プレミアムがつく」
5 商品につける景品や懸賞の賞品。プレミア。「プレミアムセール」
6 (形容詞的に用いて)高級な。上等な。「プレミアムビール」
7 ⇒打歩(うちぶ)

出典:Weblio辞書 「プレミアム 意味」

意味の内容以前に、そもそも「これだけ意味の種類がある」という事実に驚いた人もいるのではないでしょうか。ただ実は、7つも意味があるものの内容の本質は極めて近いです。「プレミアム」とは基本的に、「+αの価値」のことを指しています。通常想定された価値と、実際の価値に差が生じる時に出てくる言葉なのです。

一般的に用いられる「プレミアム」の意味はどれ?

一般的に「プレミアム」というと、上記トピックにおいての「5 商品につける景品や懸賞の賞品」「6(形容詞的に用いて)高級な。上等な。」を想定して用いる人が多いでしょう。実際に「プレミアム」を検索すると、サジェストでは「プレミアム〇〇」という固有名詞が多数出てきます。これは後ろの「〇〇」に対して「より上等である」という意味を込めて名付けられているわけです。

「プレミアムがつく」という言い方について

「4 入場券などの、正規の料金の上に加えられる割増金。」とはいわゆる貴重なものに対して「プレミアムがつく」と言い回しをします。この「つく」という言葉が肝心で、これはつまり生産者ではなく消費者が「プレミアムである」とみなしているということです。「プレミアム○○」という名前の商品は生産者が「こちらの方がよりプレミアムです」と消費者に提示しているのに対し、こちらは逆の現象が起こっています。

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