この記事では「いずれか」について解説する。

端的に言えばいずれかの意味は「どちらか」「どれか」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は、ロシアで2年間日本語教師として働いた大学院生の「むかいひろき」を呼んです。一緒に「いずれか」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/むかいひろき

ロシアの大学で2年間日本語教師として働いた経験を持つ大学院生。その経験を活かし、「言葉」について分かりやすく解説していく。

「いずれか」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「いずれか」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「いずれか」の意味は?

「いずれか」には、次のような意味があります。

1.多くある中で、どれが…か。どちらが…か。
2.どれもこれも。どちらも。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「いずれ‐か〔いづれ‐〕【▽何れか】」

「いずれか」は「多く(3つ以上)ある中でどれか」「2つの中からどちらか1つ」という意味を持つ言葉です。
2の「どれもこれも、どちらも」の意味は古文での意味で、現代語では使われません。ただ、法律用語の場合少しややこしい使い方がされることがあります。例文の項で一緒に確認しましょう。

表記は「いずれか」と「いづれか」の2つがあります。古文では「いづれか」が主流でしたが、現代語では「いずれか」が一般的です。ただ、歴史的仮名遣いである「いづれか」を使用しても誤りというわけではありません。
漢字では「何れか」または「孰れか」と表記します。

「いずれか」の語源は?

「いずれか」の正確な語源は分かっていません。ただ、「いづれか」の形で平安時代にはすでに使用が確認されている言葉です。古文では反語として使うことも多かったようですね。

平安時代に編纂された『古今和歌集』の仮名序には「生きとし生けるもの、いづれか歌をよまざりける」という歌が掲載されています。この歌では反語として用いられており、「この世に生きる全てのもので、誰か歌を詠まないものがいただろうか、いやいない」という意味です。

\次のページで「「いずれか」の使い方・例文」を解説!/

「いずれか」の使い方・例文

「いずれか」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.田中君!山田さん!君たちのうちいずれかが、明日クライアントの所に行ってきてくれないか?
2.こちらの10個の景品の中からいずれか3つをお選びください。
3.上記の2つの事項のいずれかに該当する場合、契約の解消が成立する。

例文1では、田中君と山田さんの「2人のうちどちらか1人」…という意味で「いずれか」が使用されています。「2つの中のうちの1つ」を選択する場合なので「どちらか」と言い換えが可能です。

例文2では、「10個の景品の中のどれか3つ」…という意味で「いずれか」が使用されています。「3つ以上の中からいくつか(全部ではない)」を選択する場合なので「どれか」と言い換えが可能です。「どれか」の意味で使用されている場合、「いずれか」だけではいくつ選択をしていいか分からないので、「いずれか1つ」「いずれか2つ」のように数を指定するのが一般的ですね。

例文3は、契約書などの法律用語を例としています。通常と異なり、法律用語で使用される場合は「複数の中の1つ以上、もしくは全部」という意味になるのです。つまり例文3では、2つの事項のうち1つのみが該当する場合も、すべてが該当する場合も契約解消が成立します。

「いずれか」の類義語は?違いは?

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「いずれか」の類義語には「どちらか」「どれか」があります。詳しく見ていきましょう。

その1「どちらか」

「どちらか」と「いずれか」は共通した意味を持つ言葉です。
ただ、「いずれか」は基本的に「2つの中のうちの1つ」を表す際に使います。「複数の中からいくつか(全部ではない)」を表す場合にはあまり使われません。

たとえば、「この2つの景品からどちらかをお選びください」のように使用されます。この「どちらか」は「いずれか」に言い換えが可能です。

「いずれか」のほうが「どちらか」よりやや丁寧な言葉になるので、ビジネス場面で上司やお客さんと話すときなどは「いずれか」を使うことで、よりきちんとした印象を与えることができます。

\次のページで「その2「どれか」」を解説!/

その2「どれか」

「どれか」も「いずれか」とよく似た「3つ以上の中からいくつか(全部ではない)」という意味の表現です。

たとえば、「こちらのサンプルからどれか好きなものをご覧ください」のように使用されます。この「どれか」は「いずれか」に言い換えが可能です。

「いずれか」は「どれか」よりやや丁寧な表現になります。目上の人と話す場合などは「いずれか」を使うことでよりきちんとした印象を与えることができるでしょう。

「いずれか」の対義語は?

「いずれか」に対義語はありません。

2つの中のどれにも当てはまらない場合や、3つ以上の中のどれにも当てはまらない場合は「いずれも~ない」という言い方が可能です。
いずれも~ない」は「どちらも~ない」「どれも~ない」と同じ意味で、この2つよりもやや丁寧な言葉となります。

「いずれか」の英訳は?

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「いずれか」の英語は、「2つの中のうちの1つ(どちらか)」を表す場合と「3つ以上の中からいくつか(全部ではない)(どれか)」を表す場合で該当の単語が変わってくるので気をつけましょう。

その1「either」

「either」は、「2つの中のうちの1つ(どちらか)」を意味する場合に使用されます。
たとえば、「We have tea and juice, and you can have either.」は「お茶とジュースのいずれかをいただけます」という意味です。

その2「any of」

「any of」は、「3つ以上の中からいくつか(全部ではない)(どれか)」を表す場合に使用されます。
たとえば、「Please chose any of  these programs.」は「これらのプログラムからいずれかをお選びください」という意味です。

\次のページで「「いずれか」を使いこなそう」を解説!/

「いずれか」を使いこなそう

この記事では「いずれか」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「いずれか」は「2つの中のうちの1つ」「3つ以上の中からいくつか(全部ではない)」という意味で主に使われる言葉です。

類義語には「2つの中のうちの1つ」という意味では「どちらか」、「3つ以上の中からいくつか(全部ではない)」という意味では「どれか」が該当します。

「どれか」「どちらか」よりもやや丁寧なニュアンスを持った言葉であることも、忘れずに覚えましょう。

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国語言葉の意味

「いずれか」の意味や使い方は?例文や類語を日本語教師の大学院生がわかりやすく解説!

この記事では「いずれか」について解説する。

端的に言えばいずれかの意味は「どちらか」「どれか」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は、ロシアで2年間日本語教師として働いた大学院生の「むかいひろき」を呼んです。一緒に「いずれか」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/むかいひろき

ロシアの大学で2年間日本語教師として働いた経験を持つ大学院生。その経験を活かし、「言葉」について分かりやすく解説していく。

「いずれか」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「いずれか」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「いずれか」の意味は?

「いずれか」には、次のような意味があります。

1.多くある中で、どれが…か。どちらが…か。
2.どれもこれも。どちらも。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「いずれ‐か〔いづれ‐〕【▽何れか】」

「いずれか」は「多く(3つ以上)ある中でどれか」「2つの中からどちらか1つ」という意味を持つ言葉です。
2の「どれもこれも、どちらも」の意味は古文での意味で、現代語では使われません。ただ、法律用語の場合少しややこしい使い方がされることがあります。例文の項で一緒に確認しましょう。

表記は「いずれか」と「いづれか」の2つがあります。古文では「いづれか」が主流でしたが、現代語では「いずれか」が一般的です。ただ、歴史的仮名遣いである「いづれか」を使用しても誤りというわけではありません。
漢字では「何れか」または「孰れか」と表記します。

「いずれか」の語源は?

「いずれか」の正確な語源は分かっていません。ただ、「いづれか」の形で平安時代にはすでに使用が確認されている言葉です。古文では反語として使うことも多かったようですね。

平安時代に編纂された『古今和歌集』の仮名序には「生きとし生けるもの、いづれか歌をよまざりける」という歌が掲載されています。この歌では反語として用いられており、「この世に生きる全てのもので、誰か歌を詠まないものがいただろうか、いやいない」という意味です。

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