今回のテーマは「深成岩(しんせいがん)」です。

外を見回すと当たり前にある石。実は石の模様にもいろいろな種類があり、名前が付けられている。今回のテーマである深成岩とはマグマが固まってできた岩石の一種です。深成岩と言う名前の通り岩石の元となるマグマが地下深くでゆっくりと固まってできる。そのため構成する鉱物が大きな結晶となっているんです。この構造を等粒状組織(とうりゅうじょうそしき)という。

今回は深成岩に分類される岩石や、火成岩・火山岩との違いについてを説明する。解説は科学館職員のたかはしふみかです。

ライター/たかはし ふみか

不思議な現象を解き明かす科学が好きで理系に進んだリケジョ。授業中や練習問題の答え合わせをするときに語呂合わせを考えるのが好きだった。

深成岩とは

image by PIXTA / 48045614

深成岩とはどんなものでしょうか。コトバンクによると深成岩とは「マグマ(地下の高温な状態で融解した岩石のこと)が地下深所でゆっくりと冷却、固結してできた完晶質、粗粒の岩石。代表的なものは花崗岩(かこうがん)、閃緑岩(せんりょくがん)、斑糲岩(はんれいがん)。」とされています。深成岩のポイントは「ゆっくり固まる」「鉱物の粒が大きくそろっている」という事です。なお、固まる場所(地下深くか地表付近か)は関係ない、と説明している書籍やサイトもあるので、注意してください。

深成岩とは火成岩の一種で、火成岩は火山岩深成岩に分けられます。深成岩は地下深いところでゆっくりと冷えながら固まっていった岩石です。そのため鉱物の粒が全体的に大きく成長しているのに対し、火山岩は地表付近でマグマが急に冷えて固まっています。そのため、火山岩に含まれた鉱物の粒は大きさがバラバラとなっているのです。

火成岩についてはこちらの記事を読んでくださいね。

知っているようで知らないマグマについてはこちらを参考にしてくださいね。

火成岩のつくり

同じく火成岩である火山岩と比較しながら深成岩の作りを確認しましょう。

火成岩とはマグマが冷えて固まった岩石のことです。コトバンクには「地球内部にできたマグマが地表に噴出したり,地下のいろいろな場所に貫入して冷却固結してできた岩石」と書かれています。

火成岩で重要なのができる時の冷えるスピードです。このスピードによって火成岩は火山岩と深成岩に分かれます。素早く固まるのが火成岩ゆっくりと冷えて固まったのが深成岩です。この固まり方によって火成岩と深成岩を構成する鉱物の様子が大きく異なっています。

image by Study-Z編集部

火山岩ができるのは地表付近です。火山から噴出したマグマが急激に冷やされ、その粒の大きさはまばらとなってしまいます。この火山岩にみられる比較的大きな結晶が斑晶(はんしょう)、そして細かな結晶やガラス質の部分が石基(せっき)です。火山岩の鉱物の状態を斑状組織といいます。

一方、深成岩はゆっくりと固まるため、岩石中の鉱物は大きく育つのです。そうしてできた、どれも同じくらい大きな粒となった組織を等粒状組織といいます。

\次のページで「深成岩の仲間」を解説!/

深成岩の仲間

深成岩の仲間

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深成岩にはどんな仲間の石があるのでしょうか。深成岩で覚えなくてはならないのが「花崗岩(かこうがん)」「閃緑岩(せんりょくがん)」「斑れい岩(はんれいがん)」です。

花崗岩は有色鉱物が少ないため比較的白っぽく、粘り気の強いマグマでできています。一方、斑れい岩は有色鉱物を含んで色は黒っぽく、粘り気の低いマグマでできているのです。閃緑岩は花崗岩と斑れい岩の間の色、粘り気をしています。

有色鉱物についてはこちらの記事で確認してくださいね。

深成岩の色

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花崗岩は御影石とも呼ばれ、10%程度の黒雲母などの有色鉱物を含有しています。ちなみに花崗岩は墓石として使われている石材です。上の写真のような模様の石に皆さんも見覚えがあるでしょう。

一方、閃緑岩は斜長石を主成分とし、有色鉱物は30%程度含有している岩石です。閃緑岩は建築用資材として使われています。比較的石英を多く含んだ閃緑岩を「石英閃緑岩」というのです。

Gabbro.jpg
パブリック・ドメイン, リンク

そして斑れい岩は上の写真のように真っ黒な見た目をしています。斑れい岩を構成しているのは輝石や斜長石で、石英を含んでいません。斑れい岩は装飾用の石材として利用されているのです。

深成岩には他にかんらん岩があります。かんらん岩はかんらん石や輝石で構成された岩石です。

二酸化ケイ素と深成岩

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地殻を形成する物質のひとつ、二酸化ケイ素(SiO2)。二酸化ケイ素の結晶が石英です。ちなみに、無色透明な石英のことを水晶と呼んでいます。この二酸化ケイ素の含有量によってマグマの粘り強さが決まり、また深成岩を分類することができるのです。

マグマの粘り気が低い・黒っぽい

 SiO2が45%以下 超塩基性岩 かんらん岩

 SiO2が45~52%  塩基性岩  斑れい岩

 SiO2が52~66%  中性岩   閃緑岩

 SiO2が66%以上 酸性岩   花崗岩

マグマの粘り気が強い・白っぽい

二酸化ケイ素が少ないとマグマの粘り気が弱くなります。そのようなマグマからできるのは黒っぽい斑れい岩です。一方、二酸化ケイ素が多くなると粘り気は強くなります。そのようなマグマからできるのは白っぽい花崗岩となるのです。

火山岩の仲間

深成岩と合わせて同じく火成岩の一種、火山岩の仲間も覚えておきましょう。

先ほども説明したように深成岩が深いところでゆっくり固まって結晶が大きく成長しているのに対し、火山岩は斑晶と石基から成り立っています。大きな結晶が斑晶で、小さなガラス質の粒が石基でしたね。火山岩には流紋岩(りゅうもんがん)安山岩(あんざんがん)玄武岩(げんぶがん)があります。流紋岩が花崗岩と同様に有色鉱物が少なく白っぽいのに対し、玄武岩は黒っぽいのが特徴です。

玄武岩についてもっと知りたい人にはこちらの記事がおすすめ。

岩石全般に対して知識を深めたい人にはこちらの記事がおすすめです

深成岩とは

マグマが冷えて固まった岩石、火成岩。火成岩はその粒の大きさで深成岩と火山岩に分けられます。深成岩とはゆっくりと固まり、その粒が大きいのが特徴です。この深成岩と対応して火山岩も覚えておきましょう。深成岩と火山岩の違いは固まるスピード、そしてその結晶の構造にあります。

深成岩でまず覚えたいのが花崗岩、斑れい岩、閃緑岩。特に花崗岩は墓石などにも使われ、なじみ深い石です。また石材として身近な建物に使われていたりするので、ぜひ周囲の石材をよく観察してみてくださいね。

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地学岩石・鉱物理科

「深成岩」ってどんなもの?火山岩との違いは?火成岩の一種について科学館職員がわかりやすく解説!

今回のテーマは「深成岩(しんせいがん)」です。

外を見回すと当たり前にある石。実は石の模様にもいろいろな種類があり、名前が付けられている。今回のテーマである深成岩とはマグマが固まってできた岩石の一種です。深成岩と言う名前の通り岩石の元となるマグマが地下深くでゆっくりと固まってできる。そのため構成する鉱物が大きな結晶となっているんです。この構造を等粒状組織(とうりゅうじょうそしき)という。

今回は深成岩に分類される岩石や、火成岩・火山岩との違いについてを説明する。解説は科学館職員のたかはしふみかです。

ライター/たかはし ふみか

不思議な現象を解き明かす科学が好きで理系に進んだリケジョ。授業中や練習問題の答え合わせをするときに語呂合わせを考えるのが好きだった。

深成岩とは

image by PIXTA / 48045614

深成岩とはどんなものでしょうか。コトバンクによると深成岩とは「マグマ(地下の高温な状態で融解した岩石のこと)が地下深所でゆっくりと冷却、固結してできた完晶質、粗粒の岩石。代表的なものは花崗岩(かこうがん)、閃緑岩(せんりょくがん)、斑糲岩(はんれいがん)。」とされています。深成岩のポイントは「ゆっくり固まる」「鉱物の粒が大きくそろっている」という事です。なお、固まる場所(地下深くか地表付近か)は関係ない、と説明している書籍やサイトもあるので、注意してください。

深成岩とは火成岩の一種で、火成岩は火山岩深成岩に分けられます。深成岩は地下深いところでゆっくりと冷えながら固まっていった岩石です。そのため鉱物の粒が全体的に大きく成長しているのに対し、火山岩は地表付近でマグマが急に冷えて固まっています。そのため、火山岩に含まれた鉱物の粒は大きさがバラバラとなっているのです。

火成岩についてはこちらの記事を読んでくださいね。

知っているようで知らないマグマについてはこちらを参考にしてくださいね。

火成岩のつくり

同じく火成岩である火山岩と比較しながら深成岩の作りを確認しましょう。

火成岩とはマグマが冷えて固まった岩石のことです。コトバンクには「地球内部にできたマグマが地表に噴出したり,地下のいろいろな場所に貫入して冷却固結してできた岩石」と書かれています。

火成岩で重要なのができる時の冷えるスピードです。このスピードによって火成岩は火山岩と深成岩に分かれます。素早く固まるのが火成岩ゆっくりと冷えて固まったのが深成岩です。この固まり方によって火成岩と深成岩を構成する鉱物の様子が大きく異なっています。

image by Study-Z編集部

火山岩ができるのは地表付近です。火山から噴出したマグマが急激に冷やされ、その粒の大きさはまばらとなってしまいます。この火山岩にみられる比較的大きな結晶が斑晶(はんしょう)、そして細かな結晶やガラス質の部分が石基(せっき)です。火山岩の鉱物の状態を斑状組織といいます。

一方、深成岩はゆっくりと固まるため、岩石中の鉱物は大きく育つのです。そうしてできた、どれも同じくらい大きな粒となった組織を等粒状組織といいます。

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