みんなはどんな動物が好きでしょうか?ペットとして身近な犬や猫、食べておいしい鳥や豚、動物園の人気者と言えばパンダといろんな動物がいる。草原を走る馬なんかもかっこいいな。

中学の理科で習ったと思うが、動物にはいろいろな分類方法がある。例えばヒトは哺乳類で母親のおなかで成長し、生まれてくる。そしてヒトは体温が一定の恒温動物である。そして今回は食性(食べ物)による動物の分類、「草食動物」に注目します。

動物は食べるものによって「肉食」「草食」「雑食」と分けられる。食べ物の違いは消化方法だけでなく、体の構造にもかかわっている。今回は草食動物の仲間やその特徴について、一番好きな動物はクマだという現役科学館職員たかはしふみかが解説していきます。

ライター/たかはし ふみか

文鳥、ウサギ、ハムスター、亀の飼育歴がある工学部化学系出身のリケジョ。日々不思議な現象をどうやって面白く、幅広い世代に伝えるかということに頭を悩ませているらしい科学館職員。最近の趣味は展示物の改造。

草食動物とは?

image by PIXTA / 69248068

草食動物とはどんな生き物でしょうか。おそらくサバンナなどで草を食べつつ、肉食動物に狙われないか警戒している動物をイメージする人が多いでしょう。コトバンクで調べると草食動物とは

(1)草本植物の葉を主食とする哺乳類

(2)植物食性の動物

とされています。

草を食べる動物、と書きますが実際は植物を主な食事としている動物のことです。そのため植物食動物、とも言います。植物性の食物とは葉、枝、幹、果実、根、花、花粉、蜜などのことです。

なお、医学生物的な草食動物の定義は「セルロース分解酵素を持つ生物」とされています。セルロースは植物細胞が持つ硬い細胞壁の主成分です。ただし、セルロース分解酵素を持たない動物は肉食動物、とするともぐもぐ草を食べている牛も肉食動物となってしまいます。なぜなら牛はセルロース分解酵素を持たず、胃の中にいる微生物がセルロースの分解しているのです。

ということで、理科や生物の学習としてこの定義は考えなくてよいでしょう。

その1.草食動物の体

image by PIXTA / 54588756

地面に生えた草を食べる草食動物は獲物が逃げず、捕まえる必要はありません。一方、草食動物は自分が肉食動物の獲物となるリスクがあります。そのため素早く敵を見つけて逃げることができ、さらにセルロースでできた植物を消化しやすい体の構造をしているのです。

 横向きについている

 敵をすぐに付けられるよう、幅広い視野を持つ

歯・消化器官

 食べたものをすりつぶす臼歯が発達

 腸が長い

スタミナ

 長距離走向けでスタミナがあり、遠くまで逃げられる

 ただし短距離走は苦手

武器を持つ

 ツノを持つ(シカなど)

その2.草食動物と栄養

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消化が大変なセルロースを含んだ植物は、簡単に消化することができません。そのため、草食動物は臼歯(奥に生えている歯、食べ物をすりつぶす)が発達しているのが特徴です。また腸の長さは肉食動物の倍近くあります。

草食動物について学ぶ上で欠かせないのが「反芻(はんすう)」です。反芻とは一度飲んだものを口の中に戻してもう一度かみ直して飲むことで、ウシやシカなどが反芻をします。反芻は食べ物に対してだけでなく、言葉をよく思い返して理解するという意味でも使われていますね。

その3.肉食動物と雑食動物

その3.肉食動物と雑食動物

image by Study-Z編集部

ここで草食動物と関連付けて肉食動物、雑食動物についても確認しましょう。

草食動物が植物を食べる動物であるのに対し、肉食動物は他の動物を食べて生きています。肉食動物と言えばたてがみが自慢のライオンや足の速いチーターなどですね。肉食動物は距離感を正確に測れるよう前向きの目をしているのが特徴です。また獲物を捕らえる肉食動物は鋭い犬歯と、骨から肉を取る門歯を持っています。

雑食動物は肉も野菜も食べるヒトやイヌ、サルのような動物のことです。

\次のページで「草食動物の仲間」を解説!/

草食動物の仲間

それでは草食動物の仲間たちを見ていきましょう。

その1.なぜ首は長い?キリン

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黄色に茶色っぽい斑の模様が入ったキリン。長い首が特徴ですね。身長は5m前後、体重は重いものだと2トン近くにもなります。

キリンの首はなぜ長いのか。その理由はまだ明らかとなっていません。高い枝の葉っぱを食べようとして伸びた、外敵を発見しやすいように伸びたなどの説があります。どちらにしろ、草食動物ならではの理由かもしれませんね。

その2.牧場の人気者、ヤギ・ヒツジ

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童謡でもおなじみのヤギ。ちょっと丸ヤギた角とのんびりとした八木は紙を食べるイメージがありますが、紙の種類によっては消化できないそうです。

一方のヒツジ。羊毛のために家畜化された動物で、暖かなセーターなどが作られますね。またその肉はジンギスカンやラムしゃぶとして味あわれています。

その3.肉食動物に負けない!草原になじんだシマウマ

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その名の通り黒と白のストライプ模様が特徴のシマウマ。シマウマと言う名前ですが、ウマよりもロバに近い種です。なぜ縞模様かと言うと、草原の景色になじんで肉食動物から身を守るためだと言われています。その足の速さではライオンなどに劣るものの、逃げ切るのに必要な持久力をもっているのです。

過去には家畜にしようと実験されたこともあるシマウマ。しかしシマウマは気性が荒く、ヒトにはほとんどなつかないそうです。この性格も肉食動物から身を守るために攻撃的になったのではと言われています。それだけ草原では駅に狙われているのですね。

その4.大きな口、カバ

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大きな口が特徴のカバは、アフリカ大陸に生息している草食動物です。陸上に暮らす動物の中ではゾウ、サイに続く重さで1.4tもあります。オスは単独で暮らし、メスは子供を留れてメスを形成し、時には150頭近くの大きな群れを作るそうです。

草食動物にしては足が速く時速30㎞以上のスピードがでるものの長距離走は苦手。実は共食いやほかの動物を食べた事例が報告されていて、草が中心でも肉を食べることがあるようです。

\次のページで「「草」を「食」べる動物、草食動物」を解説!/

「草」を「食」べる動物、草食動物

植物から栄養を取る草食動物。ゾウやシマウマ、カバなどいろいろな生き物が分類されています。

草食動物の特徴として覚えておきたいのが目が横についていて視野が広い、長距離走向き、腸が長いという事です。草食動物の体は肉食動物から逃げることができ、セルロースを消化できるようになっています。反対に肉食動物は正確に距離が測れるように目が前に付いて短距離走向き、腸は短くなっているのです。

" /> 「草食動物」ってどんな動物?肉食動物とは何が違う?科学館職員がわかりやすく解説! – Study-Z
理科環境と生物の反応生態系生物

「草食動物」ってどんな動物?肉食動物とは何が違う?科学館職員がわかりやすく解説!

みんなはどんな動物が好きでしょうか?ペットとして身近な犬や猫、食べておいしい鳥や豚、動物園の人気者と言えばパンダといろんな動物がいる。草原を走る馬なんかもかっこいいな。

中学の理科で習ったと思うが、動物にはいろいろな分類方法がある。例えばヒトは哺乳類で母親のおなかで成長し、生まれてくる。そしてヒトは体温が一定の恒温動物である。そして今回は食性(食べ物)による動物の分類、「草食動物」に注目します。

動物は食べるものによって「肉食」「草食」「雑食」と分けられる。食べ物の違いは消化方法だけでなく、体の構造にもかかわっている。今回は草食動物の仲間やその特徴について、一番好きな動物はクマだという現役科学館職員たかはしふみかが解説していきます。

ライター/たかはし ふみか

文鳥、ウサギ、ハムスター、亀の飼育歴がある工学部化学系出身のリケジョ。日々不思議な現象をどうやって面白く、幅広い世代に伝えるかということに頭を悩ませているらしい科学館職員。最近の趣味は展示物の改造。

草食動物とは?

image by PIXTA / 69248068

草食動物とはどんな生き物でしょうか。おそらくサバンナなどで草を食べつつ、肉食動物に狙われないか警戒している動物をイメージする人が多いでしょう。コトバンクで調べると草食動物とは

(1)草本植物の葉を主食とする哺乳類

(2)植物食性の動物

とされています。

草を食べる動物、と書きますが実際は植物を主な食事としている動物のことです。そのため植物食動物、とも言います。植物性の食物とは葉、枝、幹、果実、根、花、花粉、蜜などのことです。

なお、医学生物的な草食動物の定義は「セルロース分解酵素を持つ生物」とされています。セルロースは植物細胞が持つ硬い細胞壁の主成分です。ただし、セルロース分解酵素を持たない動物は肉食動物、とするともぐもぐ草を食べている牛も肉食動物となってしまいます。なぜなら牛はセルロース分解酵素を持たず、胃の中にいる微生物がセルロースの分解しているのです。

ということで、理科や生物の学習としてこの定義は考えなくてよいでしょう。

その1.草食動物の体

image by PIXTA / 54588756

地面に生えた草を食べる草食動物は獲物が逃げず、捕まえる必要はありません。一方、草食動物は自分が肉食動物の獲物となるリスクがあります。そのため素早く敵を見つけて逃げることができ、さらにセルロースでできた植物を消化しやすい体の構造をしているのです。

 横向きについている

 敵をすぐに付けられるよう、幅広い視野を持つ

歯・消化器官

 食べたものをすりつぶす臼歯が発達

 腸が長い

スタミナ

 長距離走向けでスタミナがあり、遠くまで逃げられる

 ただし短距離走は苦手

武器を持つ

 ツノを持つ(シカなど)

その2.草食動物と栄養

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消化が大変なセルロースを含んだ植物は、簡単に消化することができません。そのため、草食動物は臼歯(奥に生えている歯、食べ物をすりつぶす)が発達しているのが特徴です。また腸の長さは肉食動物の倍近くあります。

草食動物について学ぶ上で欠かせないのが「反芻(はんすう)」です。反芻とは一度飲んだものを口の中に戻してもう一度かみ直して飲むことで、ウシやシカなどが反芻をします。反芻は食べ物に対してだけでなく、言葉をよく思い返して理解するという意味でも使われていますね。

その3.肉食動物と雑食動物

その3.肉食動物と雑食動物

image by Study-Z編集部

ここで草食動物と関連付けて肉食動物、雑食動物についても確認しましょう。

草食動物が植物を食べる動物であるのに対し、肉食動物は他の動物を食べて生きています。肉食動物と言えばたてがみが自慢のライオンや足の速いチーターなどですね。肉食動物は距離感を正確に測れるよう前向きの目をしているのが特徴です。また獲物を捕らえる肉食動物は鋭い犬歯と、骨から肉を取る門歯を持っています。

雑食動物は肉も野菜も食べるヒトやイヌ、サルのような動物のことです。

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