
中学の理科で習ったと思うが、動物にはいろいろな分類方法がある。例えばヒトは哺乳類で母親のおなかで成長し、生まれてくる。そしてヒトは体温が一定の恒温動物である。そして今回は食性(食べ物)による動物の分類、「草食動物」に注目します。
動物は食べるものによって「肉食」「草食」「雑食」と分けられる。食べ物の違いは消化方法だけでなく、体の構造にもかかわっている。今回は草食動物の仲間やその特徴について、一番好きな動物はクマだという現役科学館職員たかはしふみかが解説していきます。

ライター/たかはし ふみか
文鳥、ウサギ、ハムスター、亀の飼育歴がある工学部化学系出身のリケジョ。日々不思議な現象をどうやって面白く、幅広い世代に伝えるかということに頭を悩ませているらしい科学館職員。最近の趣味は展示物の改造。
(1)草本植物の葉を主食とする哺乳類
(2)植物食性の動物
とされています。
草を食べる動物、と書きますが実際は植物を主な食事としている動物のことです。そのため植物食動物、とも言います。植物性の食物とは葉、枝、幹、果実、根、花、花粉、蜜などのことです。
なお、医学生物的な草食動物の定義は「セルロース分解酵素を持つ生物」とされています。セルロースは植物細胞が持つ硬い細胞壁の主成分です。ただし、セルロース分解酵素を持たない動物は肉食動物、とするともぐもぐ草を食べている牛も肉食動物となってしまいます。なぜなら牛はセルロース分解酵素を持たず、胃の中にいる微生物がセルロースの分解しているのです。
ということで、理科や生物の学習としてこの定義は考えなくてよいでしょう。
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その1.草食動物の体

地面に生えた草を食べる草食動物は獲物が逃げず、捕まえる必要はありません。一方、草食動物は自分が肉食動物の獲物となるリスクがあります。そのため素早く敵を見つけて逃げることができ、さらにセルロースでできた植物を消化しやすい体の構造をしているのです。
目
横向きについている
敵をすぐに付けられるよう、幅広い視野を持つ
歯・消化器官
食べたものをすりつぶす臼歯が発達
腸が長い
スタミナ
長距離走向けでスタミナがあり、遠くまで逃げられる
ただし短距離走は苦手
武器を持つ
ツノを持つ(シカなど)
その2.草食動物と栄養

消化が大変なセルロースを含んだ植物は、簡単に消化することができません。そのため、草食動物は臼歯(奥に生えている歯、食べ物をすりつぶす)が発達しているのが特徴です。また腸の長さは肉食動物の倍近くあります。
草食動物について学ぶ上で欠かせないのが「反芻(はんすう)」です。反芻とは一度飲んだものを口の中に戻してもう一度かみ直して飲むことで、ウシやシカなどが反芻をします。反芻は食べ物に対してだけでなく、言葉をよく思い返して理解するという意味でも使われていますね。
その3.肉食動物と雑食動物

image by Study-Z編集部
ここで草食動物と関連付けて肉食動物、雑食動物についても確認しましょう。
草食動物が植物を食べる動物であるのに対し、肉食動物は他の動物を食べて生きています。肉食動物と言えばたてがみが自慢のライオンや足の速いチーターなどですね。肉食動物は距離感を正確に測れるよう前向きの目をしているのが特徴です。また獲物を捕らえる肉食動物は鋭い犬歯と、骨から肉を取る門歯を持っています。
雑食動物は肉も野菜も食べるヒトやイヌ、サルのような動物のことです。
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