細胞レベルで「老化」を理解することはさまざまな老化、加齢に伴う病態を解明することだけでなく、がん、神経変性疾患、代謝疾患、循環器疾患のメカニズムの解明や治療に応用できるため大変注目されている。生物に詳しいライターCaoriと一緒に解説していきます。
ライター/Caori
国立大学院の博士課程に在籍している現役の理系大学院生。とっても身近な現象である生命現象をわかりやすく解説する「楽しくわかりやすい生物の授業」が目標。
細胞老化とは
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一般に「老化」というと、加齢により生理機能が減退し、身体の恒常性が時の経過とともに変化し、ついには崩壊してしまう一連の過程である老化(aging)を想像するかもしれません。しかし「個体の老化」と「細胞の老化」は異なるもので、細胞老化(cell senescence)とは、不可逆的に細胞の分裂や成長が停止した状態のこと。細胞老化は発生の段階や子どもでも全生存期間中に起こり得る現象です。
細胞老化は二種類に分けられます。一つ目は細胞はそれぞれに固有の分裂回数の上限を持っていて、分裂を重ねるごとに機能が衰退し、やがて分裂が停止する場合。もう一つは分裂回数の上限に至っていなくても、種々のストレスによっても細胞老化が誘導され細胞分裂を停止する場合です。
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