日常の様々な場面でよく耳にする「検討」。この「検討」という言葉、ニュースで国会議員がよく使っているのを見たことがあるはずです。

「〇〇の導入について検討します」と聞くと「これでは当分実現することはなさそうだ」このように感じたことがあるでしょう。この「検討」という言葉は、使われるシーンによって微妙に意味合いが異なる。

今回は、ビジネスの現場で「検討」を使わない日はないという、現役カスタマーサービスのオペレーターであるユキたまが深掘りしていくぞ!

ライター/ユキたま

通販サイトオペレーターとして勤務。日々顧客の心に寄り添うことを重んじ、細心の注意をもって正しい言葉の使い方を意識している。

「検討」の意味・使い方は?使うシーンで意味合いが変わる?

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まずは「検討」の意味を辞書で確認してみましょう。「検討」は簡単に表現すると、物事を詳しく調査しじっくりと考えることです。

またこの言葉には、「一旦引き受けたが今の時点では結論を出せない」という意味を遠まわしに伝えていることがあります。状況によって意味のとらえ方、言われた時の対処法が異なるので、それらについて理解していきましょう。

よく調べ考えること。種々の面から調べて、良いか悪いかを考えること。

出典:デジタル大辞泉「検討」

「検討」が表すイメージは理解できたでしょうか?次に「検討」が使われる状況を大きく3つに分けて、それぞれのシーンでどんな意味が込められているのか、詳しく解説していきます。

ビジネスシーンでの使い方・例文

まずはビジネスにおいての使い方からみていきましょう。例文はオペレーターである筆者が実際に現場で使用しているものです。

1.こちらの商品につきまして、是非ご検討のほどよろしくお願い申し上げます。
2.現段階では結論をだすことができかねるので、一旦社内で検討させていただけませんでしょうか。

例文1のように、ビジネスメールなどで自社商品やサービスの説明をしたあと、最後にこのような一文を付け加えて使うことが多いです。こうすることによって「じっくりお考えのうえ、よろしければ購入してください」という気持ちを込めて相手の意思を尊重することができ、売り込み感を強く感じさせず購入を勧めることも可能なので大変重宝する言葉ですね。

筆者は電話でお客様に対応することがメインなので、「是非ご検討くださいませ」と最後に一言添えるように心がけています。

例文2は、その場で自己判断できないようなケースを持ち掛けられ、一旦この案件を受け取り結論は上司に相談してから返答する場合の使い方です。ここでは、是か非かどちらの可能性の方が高いということはほとんどありません。

公的機関で使われる場合の意味・例文

次に、政治家や役所の職員が「検討」を使う時の意味合いについて見ていきましう。例文をご覧ください。

1.政府としては給付金について受給対象者を拡大することを検討中です。
2.この問題の解決策を幅広く検討し、速やかに対処する必要があります。

\次のページで「転職・就活などの場で使われる場合の意味・例文」を解説!/

俗にいう「お役所言葉」と言われる典型的な例文です。この場合の「検討」とは、現在話し合っている(または話し合う予定)、またはすぐに実行できる内容ではない(実行できるかどうかも現在不明)という意味を遠回しに表しています。

どちらの例文も、要望があったことについてひとまず担当者は受け取ったものの、詳しい内容は断言を避けていますね。このように、公的機関ではたとえ差し迫った状況であったとしても、重要な事柄であればあるほど具体的なことを伝えることができないため、しっかりと考えて取り組んではいるという意味で「検討」がよく用いられるようです。

転職・就活などの場で使われる場合の意味・例文

応募した企業から、書類審査や面接の結果を受けるときにも「検討」が使われていますが、この場合の「検討」に含まれる意味については、多くの就活生や転職活動中の人たちが悩まされるようです。

1.合否の結果につきましては、前向きに検討させていただき後日お知らせいたします。
2.慎重に検討を重ねた結果、この度は採用を見送ることになりました。

例文1について。「前向きに検討」と言われると少し期待がふくらみますね。しかしながら、この段階では「肯定も否定もできない慎重に比較して返事をする」という意味です。採用・不採用どちらの可能性もあるため、深く考えすぎず次の候補に向けて準備し時間を有効に使う方がよさそうですね。筆者の勤務先では、採用の可能性が少しでもある応募者に対して人事担当者はこのような返事をしています。

例文2は、残念ながら不採用となってしまったときの通知文です。応募者への配慮と会社のイメージを悪くしないためにも、「あなたを否定したわけではありません」という気持ちを込めて、社内で時間をかけて十分に話し合った結果であることを意味しています。ただし、これは定型文であることがほとんどです。

「検討」の類義語・違い

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ここでは、「検討」の類義語についていくつか紹介します。それぞれの使い方や意味合いが微妙に違うので「検討」と見比べて理解を深めていきましょう。

鑑定:ある物事を判断すること

「鑑定」とは、専門的な知識・経験をもっている人が、骨とう品や絵画などの美術品の質について本物か偽物かその判断をすること、また犯罪などに関わる証拠についての調査・分析を行うという意味です。

吟味:物事を念入りに調べ選ぶこと

「吟味」とは、ある物事の品質を詳しく調査し選択をすること、または詩や歌を作ったり声に出して楽しむという意味に使います。

\次のページで「考慮:行動する前に様々な要素を考えあわせること」を解説!/

考慮:行動する前に様々な要素を考えあわせること

「考慮」とは、物事が行われる前に様々な条件や要素を含めしっかりと考えることです。その事柄の良し悪しを判断するという意味合いは弱く、考えることに焦点がおかれています。

「検討」の対義語

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つづいて「検討」の対義語についてどのようなものがあるかみていきます。ここでは下記の3つをとりあげました。

即断:すばやく決断をするさま
無闇:行動を起こす前に、正しいかどうかを考えずに進めること
行き当たりばったり:計画を立てずにその場その場で行動する様子

即断・無闇・行き当たりばったり

「検討」が「これから起こりうることを深く考えその物事について判断する」意味であることに対し、「先のことをじっくり考えずに行動する」というこれらの言葉が対義語として考えられます。

「検討」の英訳

ここまでは日本語の意味で主な使い方を解説してきましたが、次は「検討」の英訳についてをみていきましょう。

consider, think about

「検討」の英訳としては、一般的に「よく考える」「熟考する」という意味の「consider」「think about」があげられます。

He paused to consider the situation.
彼は立ち止まってよく考えてみた。

I will have to think about it.
それについてよく考える必要がある。

さらにこの二つを比較すると
「think about」は自然に思い浮かぶ、心に浮かぶ、思い考えつくこと
「consider」は「think about carefully」(注意深く考える)物事を行う前にじっくり考え判断する
このような違いがあります。そのため、より深く考えるという意味を表す「consider」の方が「検討」のイメージに近いといえるでしょう。

\次のページで「on the table「検討中」」を解説!/

on the table「検討中」

This idea is still on the table.
このアイデアはまだ検討中です。

この英熟語は、例文のように議論や提案などが「on the table」、直訳すると「テーブルの上にある」という意味から「検討中」と日本語訳されます。

 all options are on the table
あらゆる選択肢を検討中

これは、政治家がよく使うフレーズでもあり、かつてのアメリカ大統領であるオバマ氏やトランプ氏のコメントにもみられました。

「検討」は使い方によってはとっても便利!

この記事では「検討」という言葉について解説をしました。「じっくり考えること」が基本的な意味ですが、曖昧でシーンによって微妙な違いがあります。このことを認識していれば、言う側・言われる側のどちらの立場にいてもうまく乗り切るために心の準備をして前進することができるでしょう。

きっぱりと否定したり断定することを避けたいとき、相手に配慮しながら自分の気持ちをやんわりと伝えることも可能です。
ただし使い過ぎてしまうと単に結論を先延ばしにして逃げているとか誠意がないと思われてしまうこともあるので注意しましょう。

" /> 「検討」の意味は?ビジネス・普段での使い方や言い換え・英訳を現役オペレーターの筆者がわかりやすく解説 – Study-Z
国語言葉の意味

「検討」の意味は?ビジネス・普段での使い方や言い換え・英訳を現役オペレーターの筆者がわかりやすく解説

日常の様々な場面でよく耳にする「検討」。この「検討」という言葉、ニュースで国会議員がよく使っているのを見たことがあるはずです。

「〇〇の導入について検討します」と聞くと「これでは当分実現することはなさそうだ」このように感じたことがあるでしょう。この「検討」という言葉は、使われるシーンによって微妙に意味合いが異なる。

今回は、ビジネスの現場で「検討」を使わない日はないという、現役カスタマーサービスのオペレーターであるユキたまが深掘りしていくぞ!

ライター/ユキたま

通販サイトオペレーターとして勤務。日々顧客の心に寄り添うことを重んじ、細心の注意をもって正しい言葉の使い方を意識している。

「検討」の意味・使い方は?使うシーンで意味合いが変わる?

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まずは「検討」の意味を辞書で確認してみましょう。「検討」は簡単に表現すると、物事を詳しく調査しじっくりと考えることです。

またこの言葉には、「一旦引き受けたが今の時点では結論を出せない」という意味を遠まわしに伝えていることがあります。状況によって意味のとらえ方、言われた時の対処法が異なるので、それらについて理解していきましょう。

よく調べ考えること。種々の面から調べて、良いか悪いかを考えること。

出典:デジタル大辞泉「検討」

「検討」が表すイメージは理解できたでしょうか?次に「検討」が使われる状況を大きく3つに分けて、それぞれのシーンでどんな意味が込められているのか、詳しく解説していきます。

ビジネスシーンでの使い方・例文

まずはビジネスにおいての使い方からみていきましょう。例文はオペレーターである筆者が実際に現場で使用しているものです。

1.こちらの商品につきまして、是非ご検討のほどよろしくお願い申し上げます。
2.現段階では結論をだすことができかねるので、一旦社内で検討させていただけませんでしょうか。

例文1のように、ビジネスメールなどで自社商品やサービスの説明をしたあと、最後にこのような一文を付け加えて使うことが多いです。こうすることによって「じっくりお考えのうえ、よろしければ購入してください」という気持ちを込めて相手の意思を尊重することができ、売り込み感を強く感じさせず購入を勧めることも可能なので大変重宝する言葉ですね。

筆者は電話でお客様に対応することがメインなので、「是非ご検討くださいませ」と最後に一言添えるように心がけています。

例文2は、その場で自己判断できないようなケースを持ち掛けられ、一旦この案件を受け取り結論は上司に相談してから返答する場合の使い方です。ここでは、是か非かどちらの可能性の方が高いということはほとんどありません。

公的機関で使われる場合の意味・例文

次に、政治家や役所の職員が「検討」を使う時の意味合いについて見ていきましう。例文をご覧ください。

1.政府としては給付金について受給対象者を拡大することを検討中です。
2.この問題の解決策を幅広く検討し、速やかに対処する必要があります。

\次のページで「転職・就活などの場で使われる場合の意味・例文」を解説!/

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