この記事では「畏怖」について解説する。

端的に言えば「畏怖」の意味は「恐れおののくこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役学生ライターのタビビトを呼んです。一緒に「畏怖」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タビビト

現役の文学部学生ライター。学生生活の中で数多くの芸術関係の執筆を行い、小学生の頃から多種多様な書籍を読破してきた文化系。読者量に比例する文章力で、日本語をわかりやすく説明していく。

「畏怖」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「畏怖」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「畏怖」の意味は?

「畏怖」には、次のような意味があります。

おそれおののくこと

出典:デジタル大辞泉(小学館)「畏怖」

「畏怖」は、何においても太刀打ち出来ないほどスペックの高い人や、実態がわからないが故に見えない力で圧倒させられる神的な存在に対する不安や恐怖の気持ちを表現する言葉です。

「おそれおののく」というのは、自分より強い相手を前にして不安で体が震えたり心が弱くなる事。つまり「畏怖」という感情を持つ対象は、自分にとって何かしらの面で尊敬出来る部分があったり、圧倒させられた経験がある事を意味します。

今まで見たことがないほど壮大で美しい自然の中に立った時や、理解は出来ないがなぜか圧倒されるアートに触れた時、神や仏などの見えない力を感じた時など、人生の中で初めて体験することや常識の範囲内で説明することが出来ないようなものに対して恐怖心と共になぜか引き込まれるという経験をしたことがあるのではないでしょうか。人は本当に感動した時、恐怖とも言える感情に圧倒されます。そんな恐怖さえ伴う感動を表現するのが「畏怖」です。また日常的には、一度ひどく怒られた経験があるとその人にまたいつ怒られるかどうか不安というような時がありますよね。そのような目上の人に対する不安や恐れという感情も表現します。

「畏怖」の語源は?

次に「畏怖」の語源を確認しておきましょう。「畏怖」は、「畏」と「怖」という二つの漢字から成り立っていますよね。この二つの漢字のそれぞれの意味を読み解くことで、「畏怖」の語源を理解することが出来ます。

まず「畏」です。「畏」は神や自然などの超越的なものに対して「おそれかしこまること」や、「敬う」という事を指します。つまり単に恐れたり不安になるだけでなく、自分の手の届かない存在や次元が違うものに対する敬意の念も含まれているという事です。一方で「怖」は一般的に多く用いられている意味そのままに、「怖い」「怖れる」などの意味を示します。

以上のことから「畏」と「怖」という漢字を組み合わせると、相手に圧倒されて恐れたり不安になることを表現するという事がわかりますね。このように二つの漢字を組み合わせることによって恐怖を増長し、敬意という意味も含むことができるということです。

\次のページで「「畏怖」の使い方・例文」を解説!/

「畏怖」の使い方・例文

「畏怖」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.宇宙という果てしない存在に興味があり長い時間をかけて様々な方法で知識を得てきたが、その危険性を知れば知るほど世界が畏怖の対象となった。

2.崇高な存在である天皇の余裕と心のゆとりを前に、多くの日本人は畏怖する。

3.病院にお世話になるのは数十年ぶりだったが、現代の医療の進歩に畏怖の念を抱いた。

例文を見ていただくとわかるように「畏怖」は、「畏怖する」「畏怖の念を抱く」「畏怖の対象」などのように用います。その対象となるのは、神的な存在や壮大な世界、専門的な分野だということがお分かりいただけたのではないでしょうか。「宇宙」も「天皇」も「最先端医療」も、よほど詳しい専門家や等しい領域にいる人物以外にとっては得体の知れないものですよね。誰しもそのような未知の存在に対しては敬意とともに恐怖も感じます。
また、「畏怖」はかしこまった表現の時に用いることが多く、日常会話で用いられることはあまりありません。この事からも、次元の違うレベルのものを対象とする時にあえて「畏怖」を用いる事でより特別な恐怖心である事を強調することができると言うことが分かりますね。

「畏怖」の類義語は?違いは?

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「畏怖」は、超越的なものに対して恐れおののくことという意味を表現する言葉でした。

次はそんな「畏怖」の類義語とその違い、使い分けを見ていきましょう。

「恐懼(きょうく)」

「畏怖」の類義語というと、「恐怖」や「尊敬」などがまず思い浮かびますが「畏怖」はそのどちらの意味も含んでいる言葉なので、「恐懼(きょうく)」が類義語として一番相応しいでしょう。

「恐懼」は、恐れて大いに畏まることを表現する言葉です。畏まるということは相手に対して敬意を感じて自分を引き締めているという状態ですから、恐怖と不安、敬意が複雑に混ざり合った感情として「畏怖」の類義語であることは間違い無いですね。

「畏怖」はかしこまった場面で用いる表現だと紹介しましたが、「恐懼」はその「畏怖」よりも更に日常会話での頻出度が低いです。「敬具」や「敬白」などと同じように、手紙の末尾に相手への敬意として用いる「恐懼再拝(きょうくさいはい)」という用い方もあるので、口語よりは文章中で用いられる事が多いということになるでしょう。

\次のページで「「畏怖」の対義語は?」を解説!/

「畏怖」の対義語は?

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超越的な対象に対して恐れおののくことを意味する「畏怖」の対義語とは、どのような意味になるのでしょうか。

早速「畏怖」の類義語を見ていきましょう。

「軽蔑」

「畏怖」の対義語は、「軽蔑」です。

「軽蔑」は漢字のまま相手を軽んじて蔑むこと、つまり相手を自分より劣っているとみなして罵ったり距離を置くことを表現する言葉。超越的な存在で敬意を感じている相手に対する恐怖心を指す「畏怖」と、反対の意味を表す事が分かりますね。

「畏怖」を使いこなそう

この記事では「畏怖」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「畏怖」は、「恐怖」などのただ恐ろしいことや不安な事を示すだけではなく、超越的な存在や自分が敵わないと思う相手に対しての敬意も込められているという事が分かりましたね。

恐ろしいと思うもの全てを「恐怖」と表現するのではなく、かしこまった場面や神秘的なものに対しては、この「畏怖」を用いるように意識してみましょう。

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国語言葉の意味

「畏怖」の意味や使い方は?例文や類語を現役学生ライターがわかりやすく解説!

「畏怖」の使い方・例文

「畏怖」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.宇宙という果てしない存在に興味があり長い時間をかけて様々な方法で知識を得てきたが、その危険性を知れば知るほど世界が畏怖の対象となった。

2.崇高な存在である天皇の余裕と心のゆとりを前に、多くの日本人は畏怖する。

3.病院にお世話になるのは数十年ぶりだったが、現代の医療の進歩に畏怖の念を抱いた。

例文を見ていただくとわかるように「畏怖」は、「畏怖する」「畏怖の念を抱く」「畏怖の対象」などのように用います。その対象となるのは、神的な存在や壮大な世界、専門的な分野だということがお分かりいただけたのではないでしょうか。「宇宙」も「天皇」も「最先端医療」も、よほど詳しい専門家や等しい領域にいる人物以外にとっては得体の知れないものですよね。誰しもそのような未知の存在に対しては敬意とともに恐怖も感じます。
また、「畏怖」はかしこまった表現の時に用いることが多く、日常会話で用いられることはあまりありません。この事からも、次元の違うレベルのものを対象とする時にあえて「畏怖」を用いる事でより特別な恐怖心である事を強調することができると言うことが分かりますね。

「畏怖」の類義語は?違いは?

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「畏怖」は、超越的なものに対して恐れおののくことという意味を表現する言葉でした。

次はそんな「畏怖」の類義語とその違い、使い分けを見ていきましょう。

「恐懼(きょうく)」

「畏怖」の類義語というと、「恐怖」や「尊敬」などがまず思い浮かびますが「畏怖」はそのどちらの意味も含んでいる言葉なので、「恐懼(きょうく)」が類義語として一番相応しいでしょう。

「恐懼」は、恐れて大いに畏まることを表現する言葉です。畏まるということは相手に対して敬意を感じて自分を引き締めているという状態ですから、恐怖と不安、敬意が複雑に混ざり合った感情として「畏怖」の類義語であることは間違い無いですね。

「畏怖」はかしこまった場面で用いる表現だと紹介しましたが、「恐懼」はその「畏怖」よりも更に日常会話での頻出度が低いです。「敬具」や「敬白」などと同じように、手紙の末尾に相手への敬意として用いる「恐懼再拝(きょうくさいはい)」という用い方もあるので、口語よりは文章中で用いられる事が多いということになるでしょう。

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