この記事では「抱負」について解説する。

端的に言えば「抱負」の意味は「心に秘めている目標」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役学生ライターのタビビトを呼んです。一緒に「抱負」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タビビト

現役の文学部学生ライター。学生生活の中で数多くの芸術関係の執筆を行い、小学生の頃から多種多様な書籍を読破してきた生粋の文化系。読書量に比例する文章力で日本語をわかりやすく説明していく。

「抱負」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「抱負」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「抱負」の意味は?

「抱負」には、次のような意味があります。

心に抱いている決意や志望。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「抱負」

年始めや誕生日などの人生における節目となる日には、誰しも「抱負は?」と聞かれた事や自分で考えてみたことがあるのではないでしょうか。

「抱負」とは、「心にいだいている決意や志望」つまり自分の理想とする未来を想像したり決意することを表現する言葉です。将来設計やビジョンとも言えますが、計画を立てて着実に実現できる物事を指すこれらとは違い、「抱負」はもう少し大胆で現実味のない事にも用いる事が出来ます。

限られた人生の中で、新しい一年の始まりや歳を重ねるタイミングというのは改めて自分の人生を見つめ返すチャンスともいう事が出来るのではないでしょうか。一日一日を大切に生きることは最も大事なことですが、区切りのタイミングで明るい未来を想像したり新たな決意をする事で、より人生に勢いを増す事が出来ますよね。

「抱負」の語源は?

次に「抱負」の一つ一つの漢字を紐解く事で、語源を理解していきましょう。「抱負」は目標や決意などの明るい未来を連想するポジティブな表現ですが、なぜ「負け」を「抱く」のかという事を疑問に思ったことはありませんか?この漢字を用いていることには、実はちゃんとした理由があります。

「抱負」の漢字を一つ一つ見ていくと、「抱」と「負」という二つの漢字から成り立っている事がわかりますね。「抱」はそのまま「抱く」という意味で心に抱いているもの、つまり心の奥底にあるものを表現しています。もう一つの「負」は、前述の通り一番最初に連想するのは「負ける」ですが、ここでは「負う」という意味で用いているという事が重要です。物を「背負う」や責任を「負う」などと用いるこの「負う」には、自分で引き受ける事、背負うことという意味があります。

つまり「抱」と「負」という二つの漢字を組み合わせると、「心に抱いている物を自分で背負う」という意味になる事が分かるのではないでしょうか。心に抱いた決意や目標を、責任を持って自分で背負って生きていくという意味ですね。「抱負」は大きな夢や理想などの現在の時点では現実味のない事にも用いる事が出来ますが、それが叶わずとも言葉には責任を持つ事が大切だという事です。

\次のページで「「抱負」の使い方・例文」を解説!/

「抱負」の使い方・例文

「抱負」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.例年通り今年の入社式でも、社長自ら新入社員一人一人にこの会社で成し遂げたいことなどの抱負を聞いて回る儀式が行われた。


2.昨年は交通事故を起こしたり日常生活の中でも細やかなミスが続いたので、何事にも落ち着いて取り組み、よく考えてから行動することを今年の抱負にしたい。


3.今日で二十歳の誕生日を迎えて素敵な大人になるという抱負を掲げたので、言葉に責任を持って怠惰な生活習慣を見直そうと思う。

以上の例文のように「抱負」は、就職先の入社式や年始め、誕生日など新しい環境や新しい年の始まりという人生の一つの区切りのタイミングで用いられる事が多いです。よって、「10年後」や「大人になったら」というような遠い未来を想像するのではなく、一年間などの限られた期間で成し遂げたいことや理想像などをその一年の始まりにこれからの指針として提示するニュアンスの方が強いということですね。

規模の大きい無期限の夢や目標を持つことも大切ですが、「抱負」のようにまずは今いる足元からコツコツと明るい未来へ導くための道を作っていくことも重要なのではないでしょうか。

「抱負」の類義語は?違いは?

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「抱負」は、心に抱いた決意や目標を指す言葉でしたね。それでは、「抱負」の類義語とその使い分けを見ていきましょう。

「野望」

心に抱く理想や目標を示す「抱負」の類義語は、「野望」です。「野望」は身の程に合わない大きな欲望や理想を指す言葉であり、うちに秘めた理想という点では確かに「抱負」と同じ意味であるという事が分かります。しかし、「抱負」と「野望」を使い分ける上での大きな違いには注意する事が必要です。

「抱負」は、あくまでも自分自身の成長のために今できる事の決意や身の程にあった理想など自分の中だけで収まる目標を表します。一方で「野望」は、「世界征服をする」や「あの女優さんを絶対自分のものにする」など何かを自分のものにしたり誰かの立場を奪うなど、自分の中だけでは収まらずに他人にも影響を与え、身の程にあっていない不相応な目標を指す言葉。

したがって自分自身の本質的な成長のための無難な目標や決意など、身の程にあった欲求を表現する場合は「抱負」、自分の表面的な魅力を満たすために理想的な立場や所有物などを手に入れたいという欲求や、自分の中だけで収まらない身の程にあっていない大きな欲求を表す場合は「野望」を用いるというように使い分けましょう。

\次のページで「「抱負」の対義語は?」を解説!/

「抱負」の対義語は?

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心に抱いた決意や理想を表現する「抱負」の直接的に反対の意味となる対義語は、ありません。

なので今回は完全に対の意味になる言葉ではないですが、目標を意気込んでいる状態と逆の状態である、物事が終わった後の心境を表す言葉を紹介します。

「感想」「反省」

これから始まることに対しての意気込みや目標を心に抱くという意味の「抱負」の対義語をあえて挙げるとするならば、「感想」「反省」ではないでしょうか。

「感想」も「反省」も、物事が完全に終了した後や一年の締めくくりなどにこれまでの様子を振り返って自分がどうだったのか考える事を意味しますね。これから起こることに対する意気込みと、すでに起こったことへの反省。完全に反対の意味とは言えませんが、状況的には対義にかなり近いですね。よって、「抱負」の対義語をあえて挙げるとすれば、「感想」や「反省」になります。

「抱負」を使いこなそう

この記事では、「抱負」の意味や類義語、語源、使い方を紹介しました。

「抱負」とはよく考えてみると不思議な漢字ですが、語源を理解するとしっかりと筋の通った意味がある事がよく分かりますね。一年の始まりに「抱負」を立てて、年末にその歳を振り返った「感想反省」をする。地道ですが、これを毎年繰り返すと一年一年を大切に過ごすことが出来そうですね。

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国語言葉の意味

「抱負」の意味や使い方は?例文や類語を現役学生ライターがわかりやすく解説!

この記事では「抱負」について解説する。

端的に言えば「抱負」の意味は「心に秘めている目標」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役学生ライターのタビビトを呼んです。一緒に「抱負」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タビビト

現役の文学部学生ライター。学生生活の中で数多くの芸術関係の執筆を行い、小学生の頃から多種多様な書籍を読破してきた生粋の文化系。読書量に比例する文章力で日本語をわかりやすく説明していく。

「抱負」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「抱負」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「抱負」の意味は?

「抱負」には、次のような意味があります。

心に抱いている決意や志望。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「抱負」

年始めや誕生日などの人生における節目となる日には、誰しも「抱負は?」と聞かれた事や自分で考えてみたことがあるのではないでしょうか。

「抱負」とは、「心にいだいている決意や志望」つまり自分の理想とする未来を想像したり決意することを表現する言葉です。将来設計やビジョンとも言えますが、計画を立てて着実に実現できる物事を指すこれらとは違い、「抱負」はもう少し大胆で現実味のない事にも用いる事が出来ます。

限られた人生の中で、新しい一年の始まりや歳を重ねるタイミングというのは改めて自分の人生を見つめ返すチャンスともいう事が出来るのではないでしょうか。一日一日を大切に生きることは最も大事なことですが、区切りのタイミングで明るい未来を想像したり新たな決意をする事で、より人生に勢いを増す事が出来ますよね。

「抱負」の語源は?

次に「抱負」の一つ一つの漢字を紐解く事で、語源を理解していきましょう。「抱負」は目標や決意などの明るい未来を連想するポジティブな表現ですが、なぜ「負け」を「抱く」のかという事を疑問に思ったことはありませんか?この漢字を用いていることには、実はちゃんとした理由があります。

「抱負」の漢字を一つ一つ見ていくと、「抱」と「負」という二つの漢字から成り立っている事がわかりますね。「抱」はそのまま「抱く」という意味で心に抱いているもの、つまり心の奥底にあるものを表現しています。もう一つの「負」は、前述の通り一番最初に連想するのは「負ける」ですが、ここでは「負う」という意味で用いているという事が重要です。物を「背負う」や責任を「負う」などと用いるこの「負う」には、自分で引き受ける事、背負うことという意味があります。

つまり「抱」と「負」という二つの漢字を組み合わせると、「心に抱いている物を自分で背負う」という意味になる事が分かるのではないでしょうか。心に抱いた決意や目標を、責任を持って自分で背負って生きていくという意味ですね。「抱負」は大きな夢や理想などの現在の時点では現実味のない事にも用いる事が出来ますが、それが叶わずとも言葉には責任を持つ事が大切だという事です。

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