この記事では「レッドオーシャン」の意味について解説する。

この言葉の意味は端的に言うと「競争が激しい市場」といったところですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

公務員として公文書作成や出版社での校閲業務といった経験を持つwebライターの本木を呼んです。一緒に「レッドオーシャン」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/本木

大学では理系専攻で、物事の仕組みや成り立ちについて考えることを得意としている。「レッドオーシャン」の意味についても、その由来や事例についてじっくりと解説していく。

「レッドオーシャン」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「レッドオーシャン」の意味や使い方を見ていきましょう。

「レッドオーシャン」の意味は?

「レッドオーシャン」には、次のような意味があります。

経営学の用語で、血で血を洗うような激しい価格競争が行われている既存市場のこと。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「レッドオーシャン」

レッドオーシャン(red ocean)は日本語にすると「赤い海」で、血みどろの戦いが起こるような競争の激しい市場を血の赤い色に例えた経営学用語です。レッドオーシャンの特徴としては、競争力の高い商品や企業がひしめいている既存の市場であり新規参入が難しいこと、また競争が激しく価格が下がりやすいために薄利多売の戦略になりやすいことなどがあります。

これまでにレッドオーシャンとなった市場として、スマートフォン市場が一つの例として挙げられるでしょう。かつてiPhoneが世界的な大ブームを起こして以降、数多くの企業がこぞってスマートフォン事業を立ち上げて市場に参入しました。しかしスマートフォンが広く普及しブームが落ち着くと技術力に劣る企業や価格競争に負けた企業が次々と事業を撤退し、スマートフォン市場は新規参入が困難なレッドオーシャンとなったのです。

「レッドオーシャン」の語源は?

次に「レッドオーシャン」の語源についてですが、レッドオーシャンはW・チャン・キムとレネ・モボルニュの著書「ブルーオーシャン戦略」において作り出された言葉です。ブルーオーシャン戦略とは、ビジネスにおいて競争の激しい既存の市場=レッドオーシャンでは企業は成長や利益を減らしてしまうことから、競争がない未開拓の市場=ブルーオーシャン(青く穏やかな海)に新しい道を開くべきであるとする経営理論のことを言います。

ブルーオーシャン戦略の有名な例として挙げることができるのが、任天堂のゲーム機「Wii」の事例です。Wii以前のゲーム機は高画質化・高機能化の面で各社が激しい競争を繰り広げていたなか、任天堂は幅広い世代が楽しめることや操作が簡単で親しみやすいことなどをコンセプトとしたゲーム機を開発した結果、このマーケティング戦略が見事にはまりWiiは大ヒット商品となりました。TVゲームという既存の市場でありながら、これまでゲームをあまりしない層を取り込むことに成功したという点において、まさにブルーオーシャン戦略が功を奏した好例であると言えます。

\次のページで「「レッドオーシャン」の使い方、例文」を解説!/

「レッドオーシャン」の使い方、例文

それでは「レッドオーシャン」の使い方を、例文を使って見ていきましょう。この言葉は、実際の会話や文章では以下のように用いられます。

1.あの業界はすでにレッドオーシャンであり、わが社が今から参入したとしても大きな利益を得ることは難しいだろう。

2.ブルーオーシャンも時間がたてば他社が参入しいずれはレッドオーシャンとなってしまうから、常に新たなブルーオーシャンを見つけられるようアンテナを張らなければならない。

このように、主にビジネスの場面で既存の飽和状態の市場ではなく未開拓の市場を切り開くなどといった経営方針や戦略について語るとき、この「レッドオーシャン」という用語がよく使われます。また2の文章のように、対となる「ブルーオーシャン」がいっしょに使われるのもよく見られる用法です。

「レッドオーシャン」の類義語は?違いは?

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ここでは「レッドオーシャン」に似た意味を持つ言葉について説明します。

「コモディティ化」

コモディティ化とは、もともと他にない価値を持っていた商品が、同様の品質を持つ商品が市場に数多く出回ることによって、個性のない一般的な商品となることです。コモディティ化した商品は、消費者からするとどれも同じようなものであるため価格の安いものが選ばれやすくなり、価格競争=レッドオーシャンに陥りやすくなります。

さきほどのスマートフォンの例でいうと、はじめ各社はカメラの性能やデザインなどの特色を出し商品の差別化を図りましたが、各社の技術の向上により商品の均質化(コモディティ化)が起こり、その結果レッドオーシャンとなったのでした。

なお「コモディティ化」は英語では「commoditization」で、日本語にすると商品の一般化、汎用化といった意味です。さらにcommoditizationの語幹が「commodity」で、こちらは日用品や単に商品を意味します。

\次のページで「「レッドオーシャン」の対義語は?」を解説!/

「レッドオーシャン」の対義語は?

さらに、「レッドオーシャン」の対義語も見ていきましょう。

「ニッチ市場」

ニッチ市場は隙間市場とも言い、消費者の需要を満たしていない小さな隙間や穴場のような市場のことです。ニッチ市場では需要がありながらも十分な供給がされていないため、この分野を開拓することによって大きな利益を得ることができると一般に言われます。

なお「ニッチ(niche)」とはもともとは壁のくぼみ、さらに転じて生物の自然界において占める地位や役割(生態的地位)のことを指す言葉です。

「レッドオーシャン」の英訳は?

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「レッドオーシャン」を英語で表すとすればどのような表現になるのでしょうか。

「saturated market」

「saturated」は「飽和した」、 marketは「市場」をそれぞれ意味し、日本語にすると「飽和市場」などとなります。つまり、商品が十分に行きわたり新たな需要が見込めない市場のことを指し、レッドオーシャンと近い意味を持つ言葉であると言えるでしょう。また「market saturation」というと「市場の飽和状態」という意味になり、商品が広く普及している状態を表します。

なお、saturatedの語幹である「saturate」はずぶぬれにさせる、(液体を)ひたす、(商品を)過剰に供給するという意味の動詞です。

「レッドオーシャン」を使いこなそう

この記事では「レッドオーシャン」の意味・使い方・類語などを説明しました。

本来は経営学用語でありビジネスの場面で使うことが多いこの言葉ですが、考え方自体は他の場面にも応用できるものです。たとえば就職活動においては有名企業に人気が集まりレッドオーシャンとなりがちですが、あまり知られていない産業や分野で高いスキルを持っている人にとっては、その市場がブルーオーシャンであり大きな利益を得るチャンスであると言えます。

このようにビジネス以外でもレッドオーシャン・ブルーオーシャンの概念を取り入れると、思わぬ利益を得ることができるかも知れませんね。

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国語言葉の意味

「レッドオーシャン」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「レッドオーシャン」の意味について解説する。

この言葉の意味は端的に言うと「競争が激しい市場」といったところですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

公務員として公文書作成や出版社での校閲業務といった経験を持つwebライターの本木を呼んです。一緒に「レッドオーシャン」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/本木

大学では理系専攻で、物事の仕組みや成り立ちについて考えることを得意としている。「レッドオーシャン」の意味についても、その由来や事例についてじっくりと解説していく。

「レッドオーシャン」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「レッドオーシャン」の意味や使い方を見ていきましょう。

「レッドオーシャン」の意味は?

「レッドオーシャン」には、次のような意味があります。

経営学の用語で、血で血を洗うような激しい価格競争が行われている既存市場のこと。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「レッドオーシャン」

レッドオーシャン(red ocean)は日本語にすると「赤い海」で、血みどろの戦いが起こるような競争の激しい市場を血の赤い色に例えた経営学用語です。レッドオーシャンの特徴としては、競争力の高い商品や企業がひしめいている既存の市場であり新規参入が難しいこと、また競争が激しく価格が下がりやすいために薄利多売の戦略になりやすいことなどがあります。

これまでにレッドオーシャンとなった市場として、スマートフォン市場が一つの例として挙げられるでしょう。かつてiPhoneが世界的な大ブームを起こして以降、数多くの企業がこぞってスマートフォン事業を立ち上げて市場に参入しました。しかしスマートフォンが広く普及しブームが落ち着くと技術力に劣る企業や価格競争に負けた企業が次々と事業を撤退し、スマートフォン市場は新規参入が困難なレッドオーシャンとなったのです。

「レッドオーシャン」の語源は?

次に「レッドオーシャン」の語源についてですが、レッドオーシャンはW・チャン・キムとレネ・モボルニュの著書「ブルーオーシャン戦略」において作り出された言葉です。ブルーオーシャン戦略とは、ビジネスにおいて競争の激しい既存の市場=レッドオーシャンでは企業は成長や利益を減らしてしまうことから、競争がない未開拓の市場=ブルーオーシャン(青く穏やかな海)に新しい道を開くべきであるとする経営理論のことを言います。

ブルーオーシャン戦略の有名な例として挙げることができるのが、任天堂のゲーム機「Wii」の事例です。Wii以前のゲーム機は高画質化・高機能化の面で各社が激しい競争を繰り広げていたなか、任天堂は幅広い世代が楽しめることや操作が簡単で親しみやすいことなどをコンセプトとしたゲーム機を開発した結果、このマーケティング戦略が見事にはまりWiiは大ヒット商品となりました。TVゲームという既存の市場でありながら、これまでゲームをあまりしない層を取り込むことに成功したという点において、まさにブルーオーシャン戦略が功を奏した好例であると言えます。

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