理科環境と生物の反応生物

3分で簡単「体液中の塩類濃度調節」ヒトと魚類ではどう違う?現役理系大学院生がわかりやすく解説!

よぉ、桜木建二だ。今回のテーマは「体液中の塩類濃度調節」について勉強していこう。
微生物、植物、動物…すべての生き物は「塩」がなければ生きていくことはできない。塩類濃度を適切に調節することは生命の維持や恒常性の維持に非常に重要なシステムだ。

前半では「ヒトの体液中の塩類濃度調節」、後半では「魚類の塩類濃度調節」に焦点を当てて、生物に詳しい現役理系大学院生ライターCaoriと一緒に解説していくぞ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/Caori

国立大学院の博士課程に在籍している現役の理系大学院生。とっても身近な現象である生命現象をわかりやすく解説する「楽しくわかりやすい生物の授業」が目標。

体液に含まれる塩とは

image by iStockphoto

「塩」というと、塩化ナトリウムを主成分とする「食塩」などを想像される方が多いかもしれません。しかし、化学・生物分野での「塩(えん)」とは、塩基由来の陽イオン(カチオン)と酸由来の陰イオン(アニオン)とがイオン結合した化合物のことです。塩は水溶液に溶かすと電気を帯びた陰イオンと陽イオンに電離し、このように溶解して電離する物質のことを「電解質」といいます。

生物の体液中に含まれる塩とは、主に電解質のことを指し、ナトリウムイオン (Na+)、カリウムイオン (K+)、カルシウムイオン (Ca2+)、マグネシウムイオン (Mg2+)、塩化物イオン (Cl−)、リン酸イオン (PO43−)、硫酸イオン(SO42-)、炭酸水素イオン (HCO3−)などです。体液の組成は細胞の内外、細胞の種類、生物種によって異なります。

なぜ塩分濃度調節が必要なのか

image by iStockphoto

生体内の塩(電解質)にはさまざまな役割があり、細胞の浸透圧調整、pHの維持、代謝や酵素の働きを助ける、神経細胞の伝達、筋肉細胞の収縮と弛緩など非常に広範囲にわたる生命現象に関与しています

塩類のバランスが崩れてしまうと、上記の役割が果たせなくなるため、ヒトの場合は不整脈やけいれん、意識障害、浮腫、重症例では致死的不整脈など、生命を脅かすことも少なくありません。このように、生物の生命の維持や恒常性の維持に重要な役割を果たしているため、体液中に含まれる塩類の濃度は厳密にコントロールされているのです。

no-img2″>
 <figcaption class=桜木建二

体液は体重の約 60%を占め、体重の約 40 %は細胞内(細胞内液)に、体重の約 20 %は細胞外(細胞外液)として存在している。細胞内液と細胞外液は、半透性をもつ生体膜(細胞膜)を隔てて存在ていて、細胞膜は水分子は通過させるが、塩類は自由に通過することができない。これにより浸透圧は細胞内液、細胞外液でほぼ等しく、285mOsm(ミリオスモル)という一定の値を保つように調節されている。

これらの水分量を決定しているのが浸透圧物質であり細胞内液ではカリウムが、細胞外液ではナトリウムがその中心的存在だ。

ヒトのナトリウムの濃度調節

image by iStockphoto

ナトリウムは細胞外液に多く含まれ、その働きは水分を保持しながら細胞の浸透圧を維持したり、循環血液の量を維持し血圧を調節することです。体液調整とは主に細胞外液の調整をすることなので、ナトリウムの濃度調節について説明します。

ナトリウムを始めとする塩類は体内で合成できないので、食事などで体外から摂取するしかありません。ナナトリウムはトリウムイオンと塩素イオンが結合した食塩の形で摂取されることが多く、まず胃で胃酸によってイオン化され、小腸の上皮細胞から吸収されて細胞外液に入り、体液中のナトリウムの濃度が上昇します。

ヒトのナトリウム濃度の下げ方

ヒトのナトリウム濃度の下げ方

image by Study-Z編集部

塩類の過剰な摂取などでナトリウム濃度が高くなりすぎると、心房から分泌される心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)や心室から分泌される脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)が腎臓の尿細管でのナトリウムと水の再吸収を抑制します。これは尿量を増やして、ナトリウムと水を尿として体外に排出される量を増やす仕組みです。

また、ナトリウム濃度の上昇を脳の視床下部が感知すると脳下垂体後葉から「バソプレシン(抗利尿ホルモン)」分泌されます。バソプレシンの働きは抗利尿の名の通り尿量を減らす事です。腎臓の尿細管での水分の再吸収を促進して、尿量を減らす事で体内の水分が保持され、結果ナトリウムが薄まり濃度が低下します。

\次のページで「ナトリウム濃度の上げ方」を解説!/

次のページを読む
1 2
Share: