

映画やゲームのタイトルにもなることのある「傀儡」の意味は、端的に言えば「あやつり人形、他人の手先になって思いのままに使われる者。」だが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
今回は、日本文学を専攻し研究している翠を呼んだ。一緒に「傀儡」の意味や例文、類語などを見ていくぞ。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。
ライター/翠
中古の日本文学を研究している。様々な時代やジャンルの作品を読み、ことばに触れている。中学校と高校の国語科の教員免許も取得しており、ことばについて分かりやすく説明する。
「傀儡」の意味は?
「傀儡」には、次のような意味があります。
1.あやつり人形。くぐつ。
2.他人の手先になって思いのままに使われる者。
3.「かいらいし(傀儡師)」の略。
出典:日本国語大辞典 第二版(小学館)「かい-らい」
傀儡は「かいらい」と読み、一つ目の意味としては「あやつり人形」とあることが分かります。あやつり人形とは、パペットやマリオネットを思い浮かべるといいでしょう。また、あやつり人形はくぐつ、とも読むこともできます。
あやつり人形は、自分で動くことができず、他の人間の力によってのみ命が吹き込まれるものです。そのため、傀儡は「他人の手先になって思いのままに使われる者」という意味も持ちます。なんにでもいいなりになる様子を言うので、あまりいい意味では使われません。
浄瑠璃つまり文楽など、あやつり人形を扱うことを生業とする職人のことを「傀儡師」とも言います。
「傀儡」の語源は?
次に「傀儡」の語源を確認しておきましょう。
「傀儡」の語源は、実はまだはっきりしていません。語源は中国語や朝鮮語などの説があるようです。日本における「くぐつ」の読み方も、人形などの道具を入れて歩く久具(くぐ)という植物を編んだ籠(かご)とか、唐代語のkulutsなど外来語説などという説もあり、説は分かれています。
ただ、中国の宋の時代ごろから、傀儡とはすなわち人形劇のことであるという考えが定着しているようです。それまでは、表記も、魁壘、魁 、魁 、魁 、窟 、窟儡、傀磊などと様々にありました。