この記事では「シナジー」について解説する。

端的に言えばシナジーの意味は「相乗効果」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国立大で国語学を学んだライターのタケルを呼んです。言葉の解説を得意としていて、大学時代はクイズサークルに所属していたので雑学にも詳しい。一緒に「シナジー」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タケル

某国立大で日本語学を専攻。アニメや映画はあまり見ないが、あの大ヒット映画とコラボする商品の多さを知って、やっぱりシナジーってあるんだなと実感した。経済効果すごいですよね。

「シナジー」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「シナジー」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「シナジー」の意味は?

「シナジー」には、次のような意味があります。

1.筋肉などの共動作用。または、薬品などの相乗作用。
2.経営戦略で、各部門の相乗作用を活用した効果として利益を生みだすこと。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「シナジー」

シナジー」とは、「複数の人やものがお互いに作用し合って効果や機能を高めること」です。もとは医学や化学などの専門的な分野で「シナジー」が使われていました。

この「シナジー」を経済学に持ち込んだのは、ロシア出身の経済学者であるイゴール・アンゾフです。特に「アンゾフのマトリクス」は有名で、市場と製品を軸とした成長戦略を4つに分けて図解化しました。その中で、経営の多角化によって相乗効果を生み出すことを「シナジー効果」としています

「シナジー」の語源は?

次に「シナジー」の語源を確認しておきましょう。

「シナジー」という言葉は、「sy」と「enegey」に分けることができます。「enegey」はもちろん「エネルギー」ですが、注目すべきは「sy」の部分です。これは「共に、同時に」という意味があるギリシャ語系の接頭辞で、元の形は「syn」となります。「syn」と「phone」(音)で「シンフォニー」(symphony、交響曲)になる、と聞けばイメージしやすいでしょうか。それと同様に、「syn」と「energy」で「同時に働くエネルギー」という意味の単語「シナジー」になる、ということです。

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「シナジー」の使い方・例文

「シナジー」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.今日から立ち上げる新事業で、さらなるシナジーを追求していきたい。
2.あの映画監督の作品にこの女優が主演を務めるようなことがあれば、いったいどんなシナジーが生まれるだろうか。
3.経験豊富なエンジニアが我が社にスカウトされ、今まで蓄積してきた技術のノウハウとともに、会社に多大なシナジーをもたらしてくれることが期待されている。

「シナジー」とは「相互に作用し合うことで生まれる効果」であるとは前述しました。しかし、この効果は例文の意味からも分かるかと思いますが、あくまでも利益となる良い効果に限られます。「シナジーが働いて利点を消し合う」などとは使いません。

また、例文2のような場面でも「シナジー」を使いますが、現状よく耳にするのは経済用語としての「シナジー」です。よって、例文1や3のようなビジネスシーンで「シナジー」が使われるのは必然と言えます。

「シナジー」の類義語は?違いは?

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では、「シナジー」の類義語を違いとともに見ていきましょう。

「ウインウイン」

ウインウイン」(win-win)とは、「2つのものがお互いにうまくいっていること」を意味します。主に経済のことで使う言葉なのは「シナジー」もそうですし、相乗効果が生まれているという意味でも「シナジー」と同様です。

しかし、「ウインウイン」が「シナジー」と違う点は2つあります。1つは、「ウインウイン」は2つのものの相乗効果を表すのに対して、「シナジー」は2つに限りません。3つでも4つでも、複数であれば「シナジー」です。もう1つが重要ですが、「ウインウイン」は相乗効果が生まれて利益を得た状態を表しますが、「シナジー」は利益が出る以前の相乗効果を表します。つまり、「シナジー」が起きて「ウインウイン」になるというわけです。

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「シナジー」の対義語は?

さらに「シナジー」の対義語も見ていきましょう。

「アナジー」「オフセット」

「シナジー」の対義語には「アナジー」という言葉があります。経済用語としては、合併や提携した事業間においてデメリットがメリットより上回る状態が「アナジー」です。また、医療の世界では、細胞が死んではいないが反応を示さない状態を「アナジー」と言います。このように説明はしましたが、「アナジー」はごく限られた状態を表す言葉であり、現状は広く一般的に使われている言葉とは言えません。

そこで、いったん日本語に置き換えて考えることにしましょう。「シナジー」は「相乗効果」と置き換えることができますが、この「相乗効果」の対義語となるのは、2つのものの効果を互いに打ち消し合うという意味の「相殺」です。この「相殺」という言葉を英訳すると、「オフセット」という言葉に行き当たります。

「オフセット」を最も耳にする機会があるのはオフセット印刷ではないでしょうか。しかし、この場合の「オフセット」は「相殺」ではありません。オフセット印刷のやり方を簡単に説明しますと、版にインキをつけたものを1度中間転写体に転写したあとで紙などに印刷するものです。このうちの中間転写体に「転写」することを「オフセット」と言います。

「シナジー」の英訳は?

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念のため「シナジー」の英訳も確認しておきましょう。

「synergy」

「シナジー」は英語でも「synergy」です。本来ならこれで終わりでもかまわないのでしょう。しかし、似た言葉で引っ掛かるものがあるのではないでしょうか。

「energy」は「エナジー」という発音の方が近く、最近ではエナジードリンクやエナジーソングというふうに使われ出しました。しかし、「synergy」の語源にもなっていると前述した「energy」は、なぜ日本では「エネルギー」なのでしょうか。

それは、「エネルギー」が「energy」という形ではなく、「energie」というドイツ語で日本に入ってきたからです。実はドイツ語由来のものは日本に多くあります。「アドレナリン」「アレルギー」「オブラート」などの医学用語や、「シャーレ」「メスシリンダー」などの実験器具は、すべてドイツ語から来たものです。

「シナジー」を使いこなそう

この記事では「シナジー」の意味・使い方・類語などを説明しました。

言葉は単語1つだけで使うものではありません。いろいろな言葉を組み合わせて、文章にして使います。文章になった言葉は、時には「シナジー」を生んで人の心に響くものもあるでしょう。しかし、配慮に欠ける言葉の数々は聞いた人の心を傷付けます。言葉は薬にもなり、毒にもなるものです。それゆえに、言葉を大事に扱わなければなりません。特に文章として言葉を残す場面では、その言葉の数々が「シナジー」を生むのか否かを考えるべきではないでしょうか。

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国語言葉の意味

「シナジー」の意味や使い方は?例文や類語を雑学大好きwebライターがわかりやすく解説!

この記事では「シナジー」について解説する。

端的に言えばシナジーの意味は「相乗効果」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国立大で国語学を学んだライターのタケルを呼んです。言葉の解説を得意としていて、大学時代はクイズサークルに所属していたので雑学にも詳しい。一緒に「シナジー」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タケル

某国立大で日本語学を専攻。アニメや映画はあまり見ないが、あの大ヒット映画とコラボする商品の多さを知って、やっぱりシナジーってあるんだなと実感した。経済効果すごいですよね。

「シナジー」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「シナジー」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「シナジー」の意味は?

「シナジー」には、次のような意味があります。

1.筋肉などの共動作用。または、薬品などの相乗作用。
2.経営戦略で、各部門の相乗作用を活用した効果として利益を生みだすこと。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「シナジー」

シナジー」とは、「複数の人やものがお互いに作用し合って効果や機能を高めること」です。もとは医学や化学などの専門的な分野で「シナジー」が使われていました。

この「シナジー」を経済学に持ち込んだのは、ロシア出身の経済学者であるイゴール・アンゾフです。特に「アンゾフのマトリクス」は有名で、市場と製品を軸とした成長戦略を4つに分けて図解化しました。その中で、経営の多角化によって相乗効果を生み出すことを「シナジー効果」としています

「シナジー」の語源は?

次に「シナジー」の語源を確認しておきましょう。

「シナジー」という言葉は、「sy」と「enegey」に分けることができます。「enegey」はもちろん「エネルギー」ですが、注目すべきは「sy」の部分です。これは「共に、同時に」という意味があるギリシャ語系の接頭辞で、元の形は「syn」となります。「syn」と「phone」(音)で「シンフォニー」(symphony、交響曲)になる、と聞けばイメージしやすいでしょうか。それと同様に、「syn」と「energy」で「同時に働くエネルギー」という意味の単語「シナジー」になる、ということです。

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