

生物の体には必要不可欠なタンパク質だが、タンパク質にも非常に多くの種類がある。そして、実は様々な機能を持っている。
我々の体は、タンパク質の機能によって支えられ、維持されている。
どんなタンパク質があるのか、機能別に解説し代表的なタンパク質も紹介していくので、今回もぜひ最後まで読んで理解してほしい。
大学院で遺伝子工学を専攻していたバイオ系ライターこざよしと一緒に解説していくぞ。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。
ライター/こざよし
遺伝子工学を中心にマリンバイオテクノロジーを大学院まで専攻したバイオ系ライター。バイオサイエンス、生化学、化学分野のトピックスをわかりやすく解説する。
機能タンパク質とは

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私たちの体の中には一重に「タンパク質」といっても多種様々なタンパク質が存在しています。タンパク質という言葉は世間にありふれたものであり、生化学的分野以外でも栄養素の一つとして日常的に使われる言葉であり、誰もが一度は聞いたことがありますよね。「どんなタンパク質を知っていますか?」と問われたら、すぐに名前が言えるタンパク質はどれくらいありますか?
ここでは、私たちの体の中でタンパク質はどんな役割を担っているのかをご紹介していきます。
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私たちの体の中のタンパク質
人間の体の約60%は水分で出来ているということは有名な話ですね。最近は健康志向ですから体組成計で体脂肪率を測っている人も多いかも知れませんが、あの体脂肪率は体重中にどれだけの脂肪があるのかを示しているので、だいたい15%から25%くらいを脂肪が占めていることになります。すると、残りの15~25%のうち、どれだけタンパク質が占めているかというと、実はほとんどがタンパク質となるのです。
食事によって摂取されたたんぱく質は、消化されアミノ酸まで分解されてから体に吸収されます。そして、エネルギーとして使われたり、一部は脂質や糖質などに作り変えられて貯蔵されたりしますが、私たちの肉体そのものを作り上げるための材料にもなっているのです。肉体の構造そのものになるタンパク質たちを「構造タンパク質」と呼びますが、働きで分類することができるタンパク質たちを「機能タンパク質」と呼んでいます。
機能タンパク質

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機能タンパク質は、体の中で様々な役割を担っています。もっと正確に言い表せば、様々な役割を担う個別のタンパク質が無数に存在しているのです。例えば、プロテアーゼやデヒドロゲナーゼのように、物質の分解を触媒する作用のあるタンパク質を酵素と呼んでいます。酵素は代謝に大きく関与するタンパク質ですね。
そのほか、情報伝達に関与するタンパク質、遺伝の仕組みに関与するタンパク質、物質の貯蔵・輸送に関与するタンパク質、免疫機能に関与するタンパク質、そして、構造タンパク質も細胞や組織の構造を保持するという面で見れば機能タンパク質ということもできますし、ミオシンやアクチンのように構造を保持しながら運動に関わる機能タンパク質ともいうことが出来ます。

機能タンパク質とは、タンパク質の機能面に着目した分類の名前であることがわかったな。
次からは、タンパク質がどのような機能を持つのかについて解説していくぞ
1.情報を伝達するタンパク質

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ここからは代表的な機能についてそれぞれ詳細に見ていくとともに、代表的なタンパク質を紹介していきます。まずは、情報伝達に関与するタンパク質。生命は、自身の外部環境に適応し順応して命を保っています。体は外部環境に合わせて変化する必要がありますが、体の中にある組織や細胞が何らかの方法で外部の環境変化をキャッチする仕組みが必要であることは言うまでもないですね。その仕組を担っているのが情報伝達に関与するタンパク質です。
外部要因によりストレスを受けた組織は、シグナル伝達物質(リガンド)を周囲に放出します。すると、周囲の細胞の細胞膜に存在する受容体(タンパク質)がリガンドを受け取り、細胞内へとシグナルを伝達するのです。細胞は、受け取ったシグナルに応じて遺伝子の発現系をコントロールし、適応したタンパク質を合成します。この情報伝達に関与するタンパク質にはホルモンやサイトカインなどがあり、インシュリンやインターロイキンも情報伝達を担い様々な調節機能に役立っているのです。