この記事では「月並み」について解説する。

端的に言えば月並みの意味は「ありふれていること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本文学部卒の現役WEBライター、ヒマワリを呼んです。一緒に「月並み」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヒマワリ

今回の記事を担当するのは、日本文学科卒で現役ライターのヒマワリ。専攻は近代文学だが、古典からマンガまで幅広く読んでいる。受験生家庭教師の経験を生かして、「月並み」についてわかりやすく丁寧に説明していく。

「月並み」の意味や語源・使い方まとめ

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月並み」は「つきなみ」と読みます。日常会話の中でもしばしば使われる言葉ですが、語源を知っている人は少ないのではないでしょうか。正確な意味は?なぜ「ありふれた」と言う意味なのに「月」なの?ぜひこの記事で学んでください。それでは早速「月並み」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「月並み」の意味は?

まず初めに「月並み」の正確な意味を辞書からの引用で確かめてみましょう「月並み」には、次のような意味があります。

1.毎月決まってその事をすること。
2.型にはまっていて、平凡な様子だ。

出典:新明解国語辞典(三省堂)「月並」

上記の通り「月並み」には二つの意味があります。

一つ目は、ひと月ごとに決まってやっていること、と言う意味です。「並み」には、その期間ごと、と言う意味があり、つまり「月並み」は月ごと、と言うことなのですね。実は、元々「月並み」はこちらの意味で使われていました。

そして二つめは、ありふれている、平凡でつまらない、と言う意味ですね。現在「月並み」が日常会話で使われる場合、ほとんどがこちらの意味でしょう。

「月並み」の語源は?

次に「月並み」の語源を確認しておきましょう。「毎月決まってやっていること」と言う意味で使われていた「月並み」が、なぜ、「平凡でつまらない」と言う意味でも使われるようになったのでしょうか。実は、その由来は、俳句に関連があるのです。

和歌や俳句を趣味にしている方は知っているかもしれませんが、文化年間から明治にかけて毎月一度和歌や俳句を詠み合う会合のことを「月並みの会」「月並み句合わせ」と言いとても流行していました。そして、明治の中期になって、俳句の革新派である正岡子規がこの「月並みの会」で読み合わせされる「月並み俳諧」を、流行りに乗った平凡でつまらないものだと批判したと言われています。その時に、正岡子規が使っていた言葉が「月並調」と言う言葉です。このことから、「月並み」が平凡でつまらないと言う意味で使われるようになったのですね。

\次のページで「「月並み」の使い方・例文」を解説!/

「月並み」の使い方・例文

それでは、「月並み」の使い方を実際の例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.そんな月並みなサービスを付与したところで、大手の会社にはかなわないだろう。
2.月並みな質問ですが、お二人が出会うきっかけは何だったのか教えていただけますか。
3.今月の月並みの句会は第三金曜日ですが、旅行の予定があり欠席します。

例文1と2は、ありふれている、普通でつまらない、と言う意味合いですね。「月並み」は現在ではほとんどがこの意味で用いられます。例文3は、毎月行われている、と言う意味です。毎月ごと、の意味の「月並み」は、今ではあまり使われなくなってしまいましたが、能の舞台では毎月行われるものを今でも「月並能」と言い、古く伝統のあるところで用いられているようですね。

さて、今では「月並み」が、月ごと、の意味ではあまり使われなくなったと述べました。それは、「月並み」が批判するニュアンスで用いられ始めたために、もともとの意味では使いにくくなってしまったからかもしれません。正岡子規は近代文学に大きな影響を与えた人物ですが、「月並み」と言う言葉の意味まで変えてしまったのですね。

「月並み」の類義語は?違いは?

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「月並み」の類義語には、「凡庸」「陳腐」が挙げられます。

「凡庸」

凡庸」は「ぼんよう」と読みます。平凡でとりえがない、と言う意味です。人の性質に対しても、物事に対しても使うことができます。漢字の「凡」は、平凡な、普通の、と言う意味「庸」は、平凡でとりえがない、と言う意味の漢字です。二つの似た意味を持つ漢字を組み合わせた熟語ですね。「凡庸」は「月並み」と同じく、悪い意味の言葉ですから使い方に気をつけましょう。

それでは、「凡庸」の使い方を例文で確かめてみましょう。

\次のページで「「陳腐」」を解説!/

・自分のことを凡庸でつまらない人間だなんて言ってはいけないよ。

「陳腐」

陳腐(ちんぷ)」は日常会話でも使われる身近な言葉ですね。実は「陳腐」は、意味を間違って覚えている人が多い言葉です。「陳腐」の正しい意味は、ありふれた、平凡な、と言うことなので、「月並み」と類似した意味を持っています。しかし、安っぽい、ばからしいと言う意味で誤って覚えている人が少なくないようですね。気をつけましょう。

「陳腐」の使い方も例文で確かめてみましょう。

・その女性歌手は、陳腐なフレーズの歌ばかり歌っている。

「月並み」の対義語は?

「月並み」の対義語は「奇抜」がふさわしいでしょう。

「奇抜」

奇抜」の読み方は「きばつ」です。身近な言葉で、日常会話でも良く使われますね。意味は、言動やそのものが、他と違っていて意表をついている、と言うことです。「斬新で優れている」と言う良い意味でも使えますし、「風変わりで奇妙だ」と言う悪い意味合いでも使うことができます。

「月並み」が、平凡でつまらない、と言う意味ですから、「奇抜」を、斬新で優れている、と言う意味で使った場合、対義語としてふさわしいでしょう。では、「奇抜」の使い方も例文で確かめてみましょう。

・君がおすすめしてくれたシャツは格好いいけれど、ちょっと柄が奇抜すぎて着れないよ。

\次のページで「「月並み」の英訳は?」を解説!/

「月並み」の英訳は?

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「月並み」の英訳は、毎月の、と言う意味なら「monthly」で良いでしょう。では、平凡でつまらない、と言う意味ではどんな言葉があるでしょう。

「commonplace」と「cliche」

英語で、平凡と言う意味を持つ単語は 「commonplace」があります。例えば「 a commonplace answer」とは、平凡な答え、と言う意味です。

また、面白い表現で「cliche」と言う単語があります。実はこの単語だけで「ありきたりの言葉」と言う意味を持っているのです。例えば「This is a clich…」と使うと、ありきたりの言葉なんだけど…、と言う意味になるのですね。口語表現で便利な単語ですから覚えておきましょう。

「月並み」を使いこなそう

この記事では「月並み」の意味・使い方・類語などを説明しました。平凡でつまらない、と言うことをなぜ「月並み」と言うのか、わかっていただけたと思います。俳句の偉大なる先人、正岡子規の「月並み調」と言う一言で、全く意味が変わってしまったことは、とても興味深いですね。俳句がそれほど流行していた、と言うことかもしれませんね。

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国語言葉の意味

「月並み」の意味や使い方は?例文や類語を日本文学部卒Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「月並み」について解説する。

端的に言えば月並みの意味は「ありふれていること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本文学部卒の現役WEBライター、ヒマワリを呼んです。一緒に「月並み」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヒマワリ

今回の記事を担当するのは、日本文学科卒で現役ライターのヒマワリ。専攻は近代文学だが、古典からマンガまで幅広く読んでいる。受験生家庭教師の経験を生かして、「月並み」についてわかりやすく丁寧に説明していく。

「月並み」の意味や語源・使い方まとめ

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月並み」は「つきなみ」と読みます。日常会話の中でもしばしば使われる言葉ですが、語源を知っている人は少ないのではないでしょうか。正確な意味は?なぜ「ありふれた」と言う意味なのに「月」なの?ぜひこの記事で学んでください。それでは早速「月並み」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「月並み」の意味は?

まず初めに「月並み」の正確な意味を辞書からの引用で確かめてみましょう「月並み」には、次のような意味があります。

1.毎月決まってその事をすること。
2.型にはまっていて、平凡な様子だ。

出典:新明解国語辞典(三省堂)「月並」

上記の通り「月並み」には二つの意味があります。

一つ目は、ひと月ごとに決まってやっていること、と言う意味です。「並み」には、その期間ごと、と言う意味があり、つまり「月並み」は月ごと、と言うことなのですね。実は、元々「月並み」はこちらの意味で使われていました。

そして二つめは、ありふれている、平凡でつまらない、と言う意味ですね。現在「月並み」が日常会話で使われる場合、ほとんどがこちらの意味でしょう。

「月並み」の語源は?

次に「月並み」の語源を確認しておきましょう。「毎月決まってやっていること」と言う意味で使われていた「月並み」が、なぜ、「平凡でつまらない」と言う意味でも使われるようになったのでしょうか。実は、その由来は、俳句に関連があるのです。

和歌や俳句を趣味にしている方は知っているかもしれませんが、文化年間から明治にかけて毎月一度和歌や俳句を詠み合う会合のことを「月並みの会」「月並み句合わせ」と言いとても流行していました。そして、明治の中期になって、俳句の革新派である正岡子規がこの「月並みの会」で読み合わせされる「月並み俳諧」を、流行りに乗った平凡でつまらないものだと批判したと言われています。その時に、正岡子規が使っていた言葉が「月並調」と言う言葉です。このことから、「月並み」が平凡でつまらないと言う意味で使われるようになったのですね。

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