この記事では「淘汰」の意味について解説する。

この熟語の意味は端的に言うと「選び分けること」「環境に適したものが生き残ること」などといったところですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

公務員として公文書作成や出版社での校閲業務といった経験を持つwebライターの本木を呼んです。一緒に「淘汰」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/本木

大学では理系専攻で、物事の仕組みや成り立ちについて考えることを得意としている。理系用語としての用法もある「淘汰」の意味についてじっくり解説していく。

「淘汰」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「淘汰」の意味や使い方を見ていきましょう。

「淘汰」の意味は?

「淘汰」には、次のような意味があります。

1.水で洗ってより分けること。転じて、不必要なもの、不適当なものを除き去ること。「不良企業は淘汰される」

2.環境に適応した生物が子孫を残し、他は滅びる現象。選択。

3.流水や風による運搬の過程で、堆積物(たいせきぶつ)が粒径・形状・比重などに応じて選別される現象。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「淘汰」

1のとおり、淘汰にはもともと「水で洗ってより分けること」という意味があり、そこから転じて必要のないものを取り去ること、という意味が生まれました。

2は「種の起源」を著したことで知られるチャールズ・ダーウィンが提唱した「自然淘汰」の理論のことで、生物はおかれた環境に適応できたものが生き残ることができる、とする理論です。例えば、キリンにはかつて首の長いものも短いものもいたが、首が長いほうが木の実や葉をたくさん食べることができ、首の短いキリンは生き残れず消えてしまった、とするのが自然淘汰の理論です(キリンの首の長さの理由については諸説あります)。

3は地球科学の用語で、元々大きさなどがバラバラであった岩石が川や風、氷河などの影響を受けて摩耗し、同じくらいの形や大きさ、重さの粒により分けられることを指します。

「淘」「汰」それぞれの漢字の意味は?

より理解を深めるため、漢字を一文字ずつ分けて確認してみましょう。

「淘」は音読みで「トウ」、訓読みで「よな-げる」と読み、水で洗ってものをより分けることを意味する漢字です。熟語としては「淘金」があり、これは土砂の中に混ざっている砂金を水の中でゆすって選び分けること、を意味します。

「汰」は音読みで「タ」、「タイ」、訓読みで「よな-げる」、「にご-る」、「おご-る」と読み、こちらも水で洗って選び分けることを意味するほか、「濁る」、「奢る」という意味も含む漢字です。熟語の例として「沙汰(さた)」があり、物事の是非を裁定する(≒善悪を選び分ける)ことなどを意味します。

これら二つの漢字の意味が分かると、熟語としての「淘汰」の意味も理解しやすくなりますね。

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「淘汰」の使い方、例文

それでは「淘汰」の使い方を、例文を使って見ていきましょう。この言葉は、実際の会話や文章では以下のように用いられます。

1.その年には世界的な大不況が発生し、国内においても競争力のない企業は淘汰されていった。

2.いま地球上にいる生物は、過去の自然環境にもっともよく適応し、自然淘汰を生き抜いてきたものたちの子孫なのである。

3.このあたりの堆積物は河川に運搬される過程を経てよく淘汰されており、粒の大きさが均一に揃っている。

1の文章では不適当なものが取り除かれた、という意味で使われています。こちらの用法が日常会話においてはもっとも一般的であると言えるでしょう。2は生物学の自然淘汰の意味での用法、3は地球科学用語としての用法です。

なお、いずれの場合においても「淘汰」を行うのは自然環境であるなど主語になりにくいものが多く、動詞では「淘汰される」と言うように受身形で使われることがほとんどとなります。

「淘汰」の類義語は?違いは?

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ここでは「淘汰」に似た意味を持つ言葉について説明します。

「ふるいにかける」

もともとは篩(ふるい)によって、粒の大きさの違う物体をより分けることを言いますが、そこから転じて、あらかじめ設けた基準に合わないものを取り除くという意味となりました。例えば入学試験や就職試験で志望者を絞り込むことを「ふるいにかける」と表現することができますね。ほか「ふるい落とす」、「ふるい分ける」とも言います。

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「適者生存」

その時々の環境に適した特徴を持つ生物がより多く生存する、というダーウィンの進化論で用いられる考え方のことで、自然淘汰に近い意味の言葉です。

「淘汰」の対義語は?

次に「淘汰」の対義語です。ここでは「自然淘汰」の対義語に相当する語を見ていきます。

「人為淘汰」

自然淘汰が自然環境によって生物が選ばれることであるのに対し、人為淘汰とは人間の手によって繁殖する生物を選ぶことです。「人為選択」とも言います。

たとえば、牛やにわとりなどの家畜、イネなどの農作物に対し、味がよいものや病気になりにくいものなどを選んで交配させることが人為淘汰の一例です。また、犬などのペットも人間の好みに合わせて大きさや毛の色などさまざまな種が作られていますが、それも人為淘汰であると言えます。

「勝負は時の運」

「しょうぶはときのうん」と読み、ものごとの勝ち負けは運によって決まり、強い者が勝つわけではない、という意味です。自然淘汰の理論が「環境に適しているものが生き残る」という必然性を有しているのに対し、「勝負は時の運」は勝者が偶然に決まるということから、一種の対義語と言えるでしょう。

「淘汰」の英訳は?

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「淘汰」を英語で表すとすればどのような表現になるのでしょうか。

「selection」

カタカナ語としては選択、選抜といった意味で知られますが、英語ではそれらに加え淘汰という意味も持っている単語です。ちなみに自然淘汰のことは「natural selection」と言います。

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「screening」

選抜する、ふるいをかけるという意味で、ほか映画を上映するという意味も持ちます。こちらはさえぎる、仕切る、ふるい分けるなどを意味する動詞「screen」の動名詞の形です。

「sorting」

「sorting」は一般には並べ替える、選ぶ、という意味ですが、地球科学用語での「淘汰」も意味する言葉です。また、よく淘汰され粒の大きさがそろっている状態を「well-sorted」、粒がそろっていない状態を「poorly-sorted」と表現します。

「淘汰」を使いこなそう

この記事では「淘汰」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「淘汰」は生物学用語としては、進化生物学に興味のある人にとってはなじみのある言葉で、その概念も非常に興味深く映るものであることと思います。一方で、一般的な使い方としては「不況により中小企業が淘汰される」「特別な技能を持たない職員はいずれ淘汰される」など経営や雇用においてシビアな状況を表すことの多い言葉です。

ビジネスシーンや、または仲間うちでまじめな政治・経済、生物学の話に花が咲いたときなど、硬い言葉でビジネスマンや生物の生存競争について語りたい場面で、この「淘汰」を使ってみてはいかがでしょうか。

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国語言葉の意味

「淘汰」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

「screening」

選抜する、ふるいをかけるという意味で、ほか映画を上映するという意味も持ちます。こちらはさえぎる、仕切る、ふるい分けるなどを意味する動詞「screen」の動名詞の形です。

「sorting」

「sorting」は一般には並べ替える、選ぶ、という意味ですが、地球科学用語での「淘汰」も意味する言葉です。また、よく淘汰され粒の大きさがそろっている状態を「well-sorted」、粒がそろっていない状態を「poorly-sorted」と表現します。

「淘汰」を使いこなそう

この記事では「淘汰」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「淘汰」は生物学用語としては、進化生物学に興味のある人にとってはなじみのある言葉で、その概念も非常に興味深く映るものであることと思います。一方で、一般的な使い方としては「不況により中小企業が淘汰される」「特別な技能を持たない職員はいずれ淘汰される」など経営や雇用においてシビアな状況を表すことの多い言葉です。

ビジネスシーンや、または仲間うちでまじめな政治・経済、生物学の話に花が咲いたときなど、硬い言葉でビジネスマンや生物の生存競争について語りたい場面で、この「淘汰」を使ってみてはいかがでしょうか。

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