
この「俗に言う」は「世間一般で言うところの」という意味の慣用表現です。ただ、「俗」という意味や類義語も理解しておくと、「俗に言う」をより正確に使用できるようになるぞ。
今回は、その「俗に言う」について、院卒日本語教師の”むかいひろき”に解説してもらうことにした。むかい、よろしく。

ライター/むかいひろき
ロシアの大学で2年間働き、日本で大学院修士課程修了の日本語教師。その経験を武器に「言葉」について分かりやすく解説していく。
「俗に言う」の意味や使い方は?

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「俗に言う」という言葉、見聞きしたことがある人が多いでしょう。しかし、正確な意味はあまり把握されていないかもしれません。そこで、まずは「俗に言う」の意味や使い方を確認していきます。
「俗に言う」の意味は「世間一般で言うところの」
最初に、「俗に言う」の辞書での意味を確認していきましょう。私の所持している辞書では「俗に言う」という形での掲載はなく、「俗に」という形で掲載されていました。よって、「俗に」の国語辞典での意味をまずは見ていきましょう。
世間一般に。世間で、ふつうに。
「―お多福風邪と呼ばれる病気」
出典:明鏡国語辞典 第二版(大修館書店)「ぞく-に【俗に】」
辞書では「俗に」は「世間一般に」という意味が掲載されていました。これに「言う」を組み合わせた「俗に言う」では、「世間一般で言うところの」という意味になります。何か難しい言葉や、一部の界隈の人々の間でしか通じない言葉を一般的な言い方に言い換える時によく使用される表現です。また、単に”世間一般では○○と言われている”ということを表すだけの場合もあります。
この「俗」というのは、「世間一般」や「民間」を表す言葉で、古来より使用されていました。例えば、出家して僧になり一般社会から離れて暮らすことを、「俗」の字を用いて「俗世を離れる」とも言います。逆に、出家していた僧が、僧を辞めてお寺から離れて一般社会に戻ってくることを、「俗世に戻る」とも言いました。このように「俗に言う」は、昔からの表現や言い回しが、現在に残った例と言えるでしょう。
「俗に言う」の使い方を例文とともに確認!
次に、「俗に言う」の使い方を例文とともに確認していきましょう。難しい言葉や一部界隈でしか通じないような言葉を言い換える場合によく使用されるほか、”世間一般では○○と言われている”ということをただ表すだけの場合も多いです。
また、「低俗」という単語があることから、「俗に言う」を使うとマイナスのニュアンスを伴うのではと考えてしまう人もいるかもしれませんが、「俗に言う」にマイナスのニュアンスはありません。
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