この記事では「ユビキタス」について解説する。

端的に言えばユビキタスの意味は「同時にどこにでも存在する」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

東京の大手企業で35年以上文章に携わってきた経験を持つベテランのライターKAKAIを呼んです。一緒に「ユビキタス」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/KAIKAI

東京の大手企業に35年以上勤務し、仕事でいろんな文章に携わってきた経験がある。学生時代から国語が得意で言葉は詳しい自信あり。

「ユビキタス」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

「ユビキタス」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。新聞やテレビのニュースで聞いたことがあるかもしれません。なんだか難しいコンピューター用語のような感じもします。

しかし、この「ユビキタス」の意味を知ることはこれからの情報社会で生きていくのにはとっても大切です。

それでは早速「ユビキタス」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「ユビキタス」の意味は?

「ユビキタス」には、次のような意味があります。

「生活環境のあらゆる場所に情報通信環境が埋め込まれ、利用者がそれを意識せずに利用できる技術(ユビキタスコンピューティング)」

出典:ゼロックス場ロアルと研究所 マーク=ワイザー提唱「ユビキタス」

ここでは、辞書からの出典ではなくて、アメリカの技術者のワイザーが定義して提唱した言葉をあげてみました。

「ユビキタス」とは、「ユビキタスコンピューティング」の略として使われることが多く、いつでもどこでも、利用者が意識することなく、コンピューターやネットワークなどを利用できる状態のことです。

「ユビキタス」とは例えば、買った品物を持ったままスーパーやコンビニを出るとその瞬間に決済され、さらにその決済データーは集客アップのためのマーケティングに活用されるというもの。

あるいは、外出時に来客があった場合に自分の携帯が自動的に接続され、音声通知や動画による通知がされるといったものです。

利用者がレジでの支払いをしたり、自分の携帯といったデバイスをダイヤル操作したりするといったことを意識することなしに実現されるという点が特徴になります。

「ユビキタス」の語源は?

次に「ユビキタス」の語源を確認しておきましょう。

「ユビキタス」の語源はラテン語の「ubique」です。もともとはキリスト教の概念で「キリストが、時間や空間を超えて遍在すること」を意味する言葉でした。と言うわけで、この言葉の元の意味は「いつでもどこにでも存在する」だったのです。後々、英語で「この運送会社の事業所って、どこにでもあるね」というような感じで使われるようになりました。

「ユビキタス」の最初の提唱者は、前述のアメリカ人技術者のマーク=ワイザーでした。「生活環境のあらゆる場所に情報通信環境が埋め込まれ、利用者がそれを意識せずに利用できる状態」と定義し、1988年に「ユビキタスコンピューティング」として提唱したのです。

平成時代になってインターネットやモバイル環境が急速に広まった2000年ころから、「ユビキタス」は再び注目を浴びるようになりました。

\次のページで「「ユビキタス」の使い方・例文」を解説!/

「ユビキタス」の使い方・例文

「ユビキタス」の例文を見ていきましょう。「ユビキタス」はいろんな複合語としてよく使われます。

1.ユビキタスコンピューティングは、ストレスなくOAツールが使えることを目指している。
2.ユビキタス社会は世界の通信課題を解決する可能性が高い。
3.ユビキタスネットワークは高速かつ大容量の通信技術によってもたらされるだろう。

それぞれの例文にある複合語を見てみましょう。

1は「ユビキタスコンピューティング」は、「コンピューターがいつ、どこでも使える状態」

2は「ユビキタス社会」は、技術が発達して実現した「いつ、どこでもコンピューターが使える社会」

3は「コンピューターネットワーク」は「あらゆるものがコンピューターにつながっている状態」で、現在では、この考え方は「ioT」(internrt of Things)と言われる言葉に置き換えられています。

「ユビキタス」の類義語は?違いは?

image by iStockphoto

「ユビキタス」の類義語を見てみましょう。

「ユビキタスコンピューティング」の略語としての「ユビキタス」は、この意味を持つ類義語を見つけるのは難しいと思われます。ここでは、なるべく近い言葉ということで検索してみましょう。

「遍在」

同時にどこにでも存在するという意味で「遍在」でしょう。

「遍在」は「広くあちこちにゆきわたって存在すること」の意味です。例えば「全国に遍在する民話」などと使われます。

しかし、「いつでもどこでも、利用者が意識することなく、コンピューターやネットワークなどを利用できる状態」である「ユビキタス」とはやはり異なりますね。

ちなみに、同じ読み方で漢字が違う「偏在」「ある場所にだけ存在する、かたよって存在する」という意味なので「遍在」と同音異義語であると同時に対義語になります。例えば「富の偏在」といったような使いかたをしますね。「遍在」と「偏在」を混同してワープロで誤入力をしないように十分注意しましょう。

\次のページで「「ユビキタス」の対義語は?」を解説!/

「ユビキタス」の対義語は?

次に「ユビキタス」の対義語を考えてみましょう。

「ユートピア」

「ユートピア」で、ギリシア語由来の造語です。「ユートピア」は「どこにもない国」という意味を持ちます。「ユビキタス」が「いつでもどこにいてもできる」というニュアンスなので、「ユートピア」はその対義語と考えていいでしょう。

とはいえ、正確には「ユートピア」が「ユビキタス」の意味する「いつでもどこでも、利用者が意識することなく、コンピューターやネットワークなどを利用できる状態」の対義語そのものズバリと言うことはできないでしょうね。

「ユビキタス」の英訳は?

image by iStockphoto

「ユビキタス」の英訳は何でしょうか。

「ubiquitous」

「ユビキタス」は英語で「ubiquitous」です。「同時に至るところにある」「遍在する」「至るところに姿を現す」という意味の形容詞になります。

例文としては We strive for the creation of a ubiquitous network society.(ユビキタスネット社会の実現へ向けて努力する)といった感じです。

英語の「ubiquitous」は日本語の「ユビキタス」の元になりました。

「ユビキタス」を使いこなそう

この記事では「ユビキタス」の意味・使い方・類語などを説明しました。

コンピューター関係の言葉にはカタカナ語が多く、理解するのが大変です。しかし、こうしたカタカナ語は将来の社会の在り方を考えるうえでとても大切ですね。

これからも新しいコンピューター関連用語がどんどん生まれてくると思われます。言葉の意味をしっかり理解して来るべきユビキタス社会に備えましょう。

" /> 「ユビキタス」の意味や使い方は?例文や類語をいろんな文章に携わってきたライターがわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

「ユビキタス」の意味や使い方は?例文や類語をいろんな文章に携わってきたライターがわかりやすく解説!

この記事では「ユビキタス」について解説する。

端的に言えばユビキタスの意味は「同時にどこにでも存在する」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

東京の大手企業で35年以上文章に携わってきた経験を持つベテランのライターKAKAIを呼んです。一緒に「ユビキタス」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/KAIKAI

東京の大手企業に35年以上勤務し、仕事でいろんな文章に携わってきた経験がある。学生時代から国語が得意で言葉は詳しい自信あり。

「ユビキタス」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

「ユビキタス」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。新聞やテレビのニュースで聞いたことがあるかもしれません。なんだか難しいコンピューター用語のような感じもします。

しかし、この「ユビキタス」の意味を知ることはこれからの情報社会で生きていくのにはとっても大切です。

それでは早速「ユビキタス」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「ユビキタス」の意味は?

「ユビキタス」には、次のような意味があります。

「生活環境のあらゆる場所に情報通信環境が埋め込まれ、利用者がそれを意識せずに利用できる技術(ユビキタスコンピューティング)」

出典:ゼロックス場ロアルと研究所 マーク=ワイザー提唱「ユビキタス」

ここでは、辞書からの出典ではなくて、アメリカの技術者のワイザーが定義して提唱した言葉をあげてみました。

「ユビキタス」とは、「ユビキタスコンピューティング」の略として使われることが多く、いつでもどこでも、利用者が意識することなく、コンピューターやネットワークなどを利用できる状態のことです。

「ユビキタス」とは例えば、買った品物を持ったままスーパーやコンビニを出るとその瞬間に決済され、さらにその決済データーは集客アップのためのマーケティングに活用されるというもの。

あるいは、外出時に来客があった場合に自分の携帯が自動的に接続され、音声通知や動画による通知がされるといったものです。

利用者がレジでの支払いをしたり、自分の携帯といったデバイスをダイヤル操作したりするといったことを意識することなしに実現されるという点が特徴になります。

「ユビキタス」の語源は?

次に「ユビキタス」の語源を確認しておきましょう。

「ユビキタス」の語源はラテン語の「ubique」です。もともとはキリスト教の概念で「キリストが、時間や空間を超えて遍在すること」を意味する言葉でした。と言うわけで、この言葉の元の意味は「いつでもどこにでも存在する」だったのです。後々、英語で「この運送会社の事業所って、どこにでもあるね」というような感じで使われるようになりました。

「ユビキタス」の最初の提唱者は、前述のアメリカ人技術者のマーク=ワイザーでした。「生活環境のあらゆる場所に情報通信環境が埋め込まれ、利用者がそれを意識せずに利用できる状態」と定義し、1988年に「ユビキタスコンピューティング」として提唱したのです。

平成時代になってインターネットやモバイル環境が急速に広まった2000年ころから、「ユビキタス」は再び注目を浴びるようになりました。

\次のページで「「ユビキタス」の使い方・例文」を解説!/

次のページを読む
1 2 3
Share: