
端的に言えば遵守の意味は「法律や習慣を守ること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
国語力だけでこれまでの社会人生活を乗り切ってきたライター、ヤザワナオコに、「遵守」の意味や例文、「順守」との使い分けや類語などを説明してもらおう。
ライター/ヤザワナオコ
コールセンターの電話応対指導やマナー講師、テレビ番組の字幕製作経験もあるライター、ヤザワナオコ。
最近何かとコンプライアンス違反などと言われるようになったが、企業が法令を守って活動するのは当然ではないかと疑問に思うこともあるという。「遵守」について詳しく解説してもらう。
「遵守」の意味は?
「遵守」には、次のような意味があります。
遵守/順守
法律や道徳・習慣を守り、従うこと。循守。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
このように、辞書上は「遵守」と「順守」を区別することなく、同じ意味合いとして解説されています。
ではなぜ2種類の漢字が使われるのでしょうか。これには歴史的な経緯があります。そもそも使われていたのは「遵守」という字。そこに昭和29年の国語審議会が出した当用漢字補正資料で、「遵」の字が当用漢字から削除される候補として挙げられました。そこで日本新聞協会は以降、「順守」の表記で統一することに。
ところがその後、この削除は行われず、当用漢字が常用漢字となる際にも「遵」は残り続けました。
そこで「遵守」「順守」の両方が存在するのです。一般に法令や教育では「遵守」、新聞では「順守」が使われますが、ニュアンスの違いや使い分けについては後程お話します。
「遵守」の語源は?
次に「遵守」の語源を確認しておきましょう。
まず「遵」という字は訓読みが「したがう」で、「則る(のっとる)、規則を守る、手本にする」といった意味があります。そして「守」はご存じのとおり「まもる、他から侵されないように大切にする」ということ。
この2つが合わさって、「決まりをきちんと守る」の意味になりました。
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