この記事では「パトロン」について解説する。

端的に言えばパトロンの意味は「支援者」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

情報誌系のライターを10年経験した柊 雅子を呼んです。一緒に「パトロン」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/柊 雅子

イベントの司会や雑誌の記事作成を仕事としてきたライター、柊 雅子。中学、高校と演劇部…若い頃は「舞台俳優になりたい」と思ったことも…。しかし思っただけで終わってしまったのは支援者としてのパトロンが見つからなかったことも理由の一つ。若い頃を思い出し…少し感傷に浸っている柊 雅子が「パトロン」について解説する。

「パトロン」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「パトロン」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「パトロン」の意味は?

「パトロン」には、次のような意味があります。

1.主人。経営者。雇い主。

2.芸術家、芸能人、団体などを経済的に支援し、後ろ盾となる人。

3.異性への経済的な支援を行い、生活の面倒をみる人。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「パトロン」

では「パトロン」の意味をデジタル大辞泉の表記に沿ってみていきましょう。

#1 「主人・経営者・雇い主」

「パトロン」にはこのような意味もあるのですが、日常生活で経営者や雇い主のことを「パトロン」というのを聞いたことはないですよね。日本では「パトロン」をある特定の意味で使うことが多く、そのイメージが強すぎて「主人、経営者、雇い主」という意味がありながら、このような意味で「パトロン」が用いられることはあまりなかったのです。

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#2 「芸術家、芸能人、団体などを経済的に支援し、後ろ盾となる人」

何事においてもそうですが…特に芸術界や芸能界で生きていくのは簡単なことではありません

画家が絵を描くためには絵具やキャンバスが必要です。画材を買う…生活費を手に入れる…そのためには描いた絵を売らなければならないのですが…名もない画家の絵が簡単に売れる訳はありません。役者も簡単にお金を稼げるようにはなりませんよね。むしろ役者だけで食べていける人はほんの一握り。そこで経済的に支援や援助をしてもらえる人物が必要になるのですが…その人物のことを「パトロン」というのです。

#3 「異性への経済的な支援を行い、生活の面倒をみる人」

日本では「パトロン」と聞いて先ず思い浮かべるのがこの意味。現在、あまり良くない意味で用いられる「パパ活」にあたる意味をもつのがこの使い方です。この「パパ活」的なイメージがあまりに強く、先に挙げた「主人、経営者、雇い主」という意味で「パトロン」が用いられることはあまりありません。「あたしの雇い主が…」を「あたしのパトロンが…」なんて言うと、周りの人に「えええっ?!」という顔をされてしまいます。

「パトロン」の語源は?

次に「パトロン」の語源を確認しておきましょう。

「パトロン」はフランス語で「patron」と表記しますが、英語でも「patron」と表記します。「パトロン」はこれをカタカナ表記したもの。英語の「patron」の語源となったのはラテン語の「pater」(パテル)で意味は「父親」。「父親のように育ててくれる存在」という意味から「パトロン」は生まれました。

「パトロン」の使い方・例文

「パトロン」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

例文1.彼が画家としてここまで成功できたのも、彼の才能を理解し、支援し続けたあのパトロンの御蔭だ。

例文2.パトロンの資金援助もあって、今度あの劇団が自分たちの小劇場を持つらしい。

例文3.最近彼女がブランド品で全身をコーディネイトするようになったのは新しいパトロンを捕まえたからだと噂になっている。

例文1,2は「後ろ盾」「支援者」という意味で「パトロン」が使われています。例文3は現在の「パパ活」的な意味での「パトロン」ですね。

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「パトロン」の類義語は?違いは?

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「支援者」という意味をもつ「パトロン」にはいくつかの同義語があります。その一部を紹介しましょう。

「後ろ盾」

戦の時、後方からの敵の襲撃を防ぐために兵士を配置したのですが…後方で盾となり主を守ったその兵士たちを「後ろ盾」といいます。そこから表立った場所ではなく陰で力を貸す人のことを「後ろ盾」というようになったのです。

「タニマチ」

「タニマチ」とは大相撲の「ごひいきさん」つまり後援者のことですね。

なぜ「タニマチ」が大相撲の「ごひいきさん」なのかというと、明治時代、大阪の谷町筋4丁目にいたお医者さんがその言葉の由来。そのお医者さんは相撲が大好きで、力士からは治療費を取らなかったそうで…そこから「谷町(タニマチ)」という言葉が生まれ、相撲の力士を支援する言葉だった「タニマチ」はそれ以外でも使われるようになりました。歌舞伎の世界でも「ごひいきさん」を「タニマチ」「タニマチ筋」と呼びますね。

「パトロン」の対義語は?

次に「パトロン」の対義語についてみていきましょう。

「冷遇」

「冷遇」は「冷たい態度をとる」という意味。「パトロン」は対象となるものに対して多方面から支援をするという意味なので「冷遇」は「パトロン」の対義語という訳です。

\次のページで「「パトロン」の英訳は?」を解説!/

「パトロン」の英訳は?

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「パトロン」は英語の「patron」のカタカナ表記でもあるので、ここでは「patron」の和訳「財布君(お金を出してくれる人)」「常連」を使って英訳します。

1.He's like a patron to her, and he's often taken out when she goes shopping.

彼は彼女にとってパトロンのような存在で、彼女が買物に行く時にはよく連れ出される。

2.He is a patron of the shop and orders hamburger steaks well.

彼はその店の常連で、よくハンバーグを注文する。

1の「like a patron 」は「パトロンのような存在」という意味でこれは日本でも使われる表現ですが、2の「常連」という意味で「patron 」(パトロン)という言葉を使うことはあまりありませんね。

「パトロン」を使いこなそう

この記事では「パトロン」の意味・使い方・類語などを説明しました。

日本では主に「異性に対して経済的支援を行い、生活の面倒をみる人」という意味で用いられる「パトロン」ですが…他にも「経営者」や「芸術家等を支援する人」という意味もあることがわかりました。

「パトロン」はよく小説や映画のモチーフとして使われていますが…ジェーン・ウェブスター作「あしながおじさん」は孤児院で暮らす女の子ジュディと彼女を支援する謎の資産家スミス氏を軸に展開する小説ですので機会があれば是非読んでみてくださいね。

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国語言葉の意味

「パトロン」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「パトロン」について解説する。

端的に言えばパトロンの意味は「支援者」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

情報誌系のライターを10年経験した柊 雅子を呼んです。一緒に「パトロン」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/柊 雅子

イベントの司会や雑誌の記事作成を仕事としてきたライター、柊 雅子。中学、高校と演劇部…若い頃は「舞台俳優になりたい」と思ったことも…。しかし思っただけで終わってしまったのは支援者としてのパトロンが見つからなかったことも理由の一つ。若い頃を思い出し…少し感傷に浸っている柊 雅子が「パトロン」について解説する。

「パトロン」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「パトロン」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「パトロン」の意味は?

「パトロン」には、次のような意味があります。

1.主人。経営者。雇い主。

2.芸術家、芸能人、団体などを経済的に支援し、後ろ盾となる人。

3.異性への経済的な支援を行い、生活の面倒をみる人。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「パトロン」

では「パトロン」の意味をデジタル大辞泉の表記に沿ってみていきましょう。

#1 「主人・経営者・雇い主」

「パトロン」にはこのような意味もあるのですが、日常生活で経営者や雇い主のことを「パトロン」というのを聞いたことはないですよね。日本では「パトロン」をある特定の意味で使うことが多く、そのイメージが強すぎて「主人、経営者、雇い主」という意味がありながら、このような意味で「パトロン」が用いられることはあまりなかったのです。

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