
「慙愧に堪えない」
「慙愧に堪えない」は「ざんきにたえない」と読みます。以前、当時の首相が記者会見で使ったことがあり話題になりましたから、なんとなく聞き覚えがある方もいるかもしれません。 「慙愧」とは、自分自身を恥じる、と言う意味の熟語で漢語から由来しています。「慙」は、自分を恥じると言う意味の漢字で、「愧」は相手に対して自分を恥ずかしく思う、と言う意味合いを持つ漢字です。
つまり「慙愧に堪えない」は、自分自身を恥じる気持ちにかられている、と言うことですね。謝罪とともに、自責の念を相手に伝えたいときにふさわしい言葉でしょう。また、「慙愧」だけでも使うことができます。例えば「慙愧の思い」「慙愧の念」と言うような使い方ができるでしょう。
「厚顔」
「厚顔(こうがん)」とは、厚かましく面の皮が厚い、恥知らず、と言う意味です。人がどう思おうとも、恥をしらず平気で自分の思うようにすることや、人に対して使われます。「忸怩たる思い」が後悔して恥じ入ると言う意味合いですから、反対の意味だと言えるでしょう。
ただ、「忸怩たる思い」は自分自身のことを恥じて使いますが、「厚顔」は他人に対して用いる言葉です。例えば「あんな真似をして平気でいるなんて厚顔な人だ」などと使えるでしょう。厚顔な人やその行動を「厚顔無恥」と言う四字熟語でも表すことが出来ます。語彙力向上のために併せて覚えておきましょう。
「忸怩たる思い」を使いこなそう
この記事では「忸怩たる思い」の意味・使い方・類語などを説明しました。類義語では「忸怩たる思い」や「汗顔の至り」「慙愧に堪えない」など、謝罪に使われる言葉を紹介しましたね。これらの言葉は不祥事の謝罪に使われるイメージがあると思います。確かに、会見など公の場で重々しく謝罪したいときにはふさわしいかも知れません。ですが、たとえばビジネスシーンにおいて使うとしたら…。日常の中で使われるのには少々仰々しく感じられるのではないでしょうか。ようは使いどころと使いようなのですが、とても難しいですね。仰々しすぎて相手に慇懃無礼だと思われてはせっかくの謝罪も意味がないのですが、手紙などで目上の人に丁寧に謝りたい時などには、適しているのではないでしょうか。その時々、ふさわしい言葉を選んで使えるようにしたいですね。