この記事では「忸怩たる思い」について解説する。

端的に言えば忸怩たる思いの意味は「自ら恥じ入る気持ちになること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本文学部卒の現役WEBライター、ヒマワリを呼んです。一緒に「忸怩たる思い」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヒマワリ

今回の記事を担当するのは、日本文学科卒で現役ライターのヒマワリ。専攻は近代文学だが、古典からマンガまで幅広く読んでいる。受験生家庭教師の経験を生かして、「忸怩たる思い」についてわかりやすく丁寧に説明していく。

「忸怩たる思い」の意味や語源・使い方まとめ

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忸怩たる思い」の読み方は「じくじたるおもい」です。謝罪会見やスピーチなどで、聞いたことがあるかもしれませんね。教養として、正確な意味を知っておいた方がいいでしょう。それでは早速「忸怩たる思い」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「忸怩たる思い」の意味は?

まず初めに「忸怩たる思い」の正確な意味を辞書からの引用で確かめてみましょう。「忸怩たる思い」には、次のような意味があります。

1.「ひどく恥じ入る様子」の意の漢語的表現。自分自身の心情を表すのに用いる。

出典:新明解国語辞典(三省堂)「忸怩」

2.深く恥じ入ること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「忸怩」

上記の通り「忸怩」とは、自分自身の行動を恥じいる気持ちを表現する言葉です。「忸怩」は「忸怩たる」や「忸怩たる思い」と言うように使われることが多いでしょう。この場合の「たる」は、である、と言う意味で、その様子を強調するための言葉です。つまり、自分の言動を反省し、恥じ入る気持ちでいっぱいだ、と自分で言うことですね。政治家の謝罪会見などをイメージする人が多いかも知れません。そのように、「忸怩たる思い」は自分の自責の思いを表現するのに使われるのです。

よくある誤用例としては「もどかしい」や「悔しい」と言う意味と間違えられることが多いようですね。気をつけましょう。

「忸怩たる思い」の語源は?

次に「忸怩たる思い」の語源を確認しておきましょう。「忸怩」は漢語を由来とする言葉ですので、漢字の意味を説明します。

「忸」は、訓読みで「はじる」「なれる」と読み、恥じ入る、と言う意味を持つ漢字です。そして、「怩」もまた訓読みで「はじる」と読み、恥じ入ると言う意味を持っています。二つの同じ意味を持つ漢字を組み合わせて強調している熟語ですね。つまり、「とても恥ずかしいと思っている」ことを表現している熟語なのです。

\次のページで「「忸怩たる思い」の使い方・例文」を解説!/

「忸怩たる思い」の使い方・例文

それでは、「忸怩たる思い」の使い方を、実際の例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.部下がこのような不祥事をおこしたことは、上司である私の不徳のいたすところで、忸怩たる思いでいっぱいです。
2.卒業までに成果を残せなかったこと、皆さまの期待を裏切った自分がふがいなく忸怩たる思いです。
3.大学側にも迷惑をかけてしまったことに対する後悔で、内心忸怩たる思いだった。

例文1、2のように「忸怩たる思い」は、相手に謝罪の気持ちを伝えたい時に使われることが多いでしょう。「忸怩たる思い」は日常会話で使う言葉ではありませんが、漢語表現で重々しさがありますから、自分のことを恥じて、申し訳なく思う気持ちを伝えるのにふさわしいと思います。手紙や文章で、恥じ入る思いを表現するのにも良い表現ですね。

「忸怩たる思い」の類義語は?違いは?

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「忸怩たる思い」の類義語には「汗顔の至り」「慙愧に堪えない」が挙げられます。

「汗顔の至り」

汗顔の至り」は「かんがんのいたり」と読みます。なかなか日常生活では耳にしない言葉かも知れませんが、小説などで見かけたりしますね。「汗顔」とは顔に汗をかく様子ですから、「汗顔の至り」とは、顔に汗をかいてしまうほどに恥ずかしい、と言う意味です。「忸怩たる思い」と同じく、謝罪の時に使われることが多いでしょう。例えば、「未熟さから失敗してしまい汗顔の至りです」などと使います。「忸怩たる思い」と違う点は、恐縮して恥じいる時にも用いる事ができる点です。例えば「身に余るほどお褒めいただき汗顔の至りです」などと使えるでしょう。

\次のページで「「慙愧に堪えない」」を解説!/

「慙愧に堪えない」

慙愧に堪えない」は「ざんきにたえない」と読みます。以前、当時の首相が記者会見で使ったことがあり話題になりましたから、なんとなく聞き覚えがある方もいるかもしれません。 「慙愧」とは、自分自身を恥じる、と言う意味の熟語で漢語から由来しています。「慙」は、自分を恥じると言う意味の漢字で、「愧」は相手に対して自分を恥ずかしく思う、と言う意味合いを持つ漢字です。

つまり「慙愧に堪えない」は、自分自身を恥じる気持ちにかられている、と言うことですね。謝罪とともに、自責の念を相手に伝えたいときにふさわしい言葉でしょう。また、「慙愧」だけでも使うことができます。例えば「慙愧の思い」「慙愧の念」と言うような使い方ができるでしょう。

「忸怩たる思い」の対義語は?

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「忸怩たる思い」の対義語には「厚顔」が挙げられます。

「厚顔」

厚顔(こうがん)」とは、厚かましく面の皮が厚い、恥知らず、と言う意味です。人がどう思おうとも、恥をしらず平気で自分の思うようにすることや、人に対して使われます。「忸怩たる思い」が後悔して恥じ入ると言う意味合いですから、反対の意味だと言えるでしょう。

ただ、「忸怩たる思い」は自分自身のことを恥じて使いますが、「厚顔」は他人に対して用いる言葉です。例えば「あんな真似をして平気でいるなんて厚顔な人だ」などと使えるでしょう。厚顔な人やその行動を「厚顔無恥」と言う四字熟語でも表すことが出来ます。語彙力向上のために併せて覚えておきましょう。

「忸怩たる思い」を使いこなそう

この記事では「忸怩たる思い」の意味・使い方・類語などを説明しました。類義語では「忸怩たる思い」や「汗顔の至り」「慙愧に堪えない」など、謝罪に使われる言葉を紹介しましたね。これらの言葉は不祥事の謝罪に使われるイメージがあると思います。確かに、会見など公の場で重々しく謝罪したいときにはふさわしいかも知れません。ですが、たとえばビジネスシーンにおいて使うとしたら…。日常の中で使われるのには少々仰々しく感じられるのではないでしょうか。ようは使いどころと使いようなのですが、とても難しいですね。仰々しすぎて相手に慇懃無礼だと思われてはせっかくの謝罪も意味がないのですが、手紙などで目上の人に丁寧に謝りたい時などには、適しているのではないでしょうか。その時々、ふさわしい言葉を選んで使えるようにしたいですね。

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「忸怩たる思い」の意味や使い方は?例文や類語を日本文学部卒Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「忸怩たる思い」について解説する。

端的に言えば忸怩たる思いの意味は「自ら恥じ入る気持ちになること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本文学部卒の現役WEBライター、ヒマワリを呼んです。一緒に「忸怩たる思い」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヒマワリ

今回の記事を担当するのは、日本文学科卒で現役ライターのヒマワリ。専攻は近代文学だが、古典からマンガまで幅広く読んでいる。受験生家庭教師の経験を生かして、「忸怩たる思い」についてわかりやすく丁寧に説明していく。

「忸怩たる思い」の意味や語源・使い方まとめ

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忸怩たる思い」の読み方は「じくじたるおもい」です。謝罪会見やスピーチなどで、聞いたことがあるかもしれませんね。教養として、正確な意味を知っておいた方がいいでしょう。それでは早速「忸怩たる思い」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「忸怩たる思い」の意味は?

まず初めに「忸怩たる思い」の正確な意味を辞書からの引用で確かめてみましょう。「忸怩たる思い」には、次のような意味があります。

1.「ひどく恥じ入る様子」の意の漢語的表現。自分自身の心情を表すのに用いる。

出典:新明解国語辞典(三省堂)「忸怩」

2.深く恥じ入ること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「忸怩」

上記の通り「忸怩」とは、自分自身の行動を恥じいる気持ちを表現する言葉です。「忸怩」は「忸怩たる」や「忸怩たる思い」と言うように使われることが多いでしょう。この場合の「たる」は、である、と言う意味で、その様子を強調するための言葉です。つまり、自分の言動を反省し、恥じ入る気持ちでいっぱいだ、と自分で言うことですね。政治家の謝罪会見などをイメージする人が多いかも知れません。そのように、「忸怩たる思い」は自分の自責の思いを表現するのに使われるのです。

よくある誤用例としては「もどかしい」や「悔しい」と言う意味と間違えられることが多いようですね。気をつけましょう。

「忸怩たる思い」の語源は?

次に「忸怩たる思い」の語源を確認しておきましょう。「忸怩」は漢語を由来とする言葉ですので、漢字の意味を説明します。

「忸」は、訓読みで「はじる」「なれる」と読み、恥じ入る、と言う意味を持つ漢字です。そして、「怩」もまた訓読みで「はじる」と読み、恥じ入ると言う意味を持っています。二つの同じ意味を持つ漢字を組み合わせて強調している熟語ですね。つまり、「とても恥ずかしいと思っている」ことを表現している熟語なのです。

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