1.私の母は余計に一言多く言ってしまうたちで、言わずもがなのことを言って人を怒らせてしまうことがしばしばある。
2.彼は音楽に造詣が深く、クラシックは言わずもがな、ジャズやロックなどさまざまな分野に精通している。
1の文章では「言わないほうがよい」「言うべきでない」といった意味で使われており、それぞれ「言わずもがな」と置き換えることができます。
2の文章においての意味は「言うまでもない」「もちろん」です。現代においてはこちらの用法がより広く一般に使われています。
いずれにしても元々は古語表現ですので、どちらかと言えば話し言葉よりも書き言葉でより頻繁に使われる表現であると言えるでしょう。
「沈黙は金、雄弁は銀」
「ちんもくはきん、ゆうべんはぎん」と読み、沈黙していることは金のように価値があり、逆に多弁であることはそれに劣る、という意味です。「言わないほうがよい」という意味とある種の共通したニュアンスを持っている言葉であると言えますね。「言わぬが花」「口は災いの元」なども近い意味を持つ表現です。
ちなみに、この表現ができた当時は金よりも銀の方が価値が高かったことから、元々は「雄弁であることが沈黙に勝る」という意味であったという説もあります。
「論を俟たない」
「ろんをまたない」と読み、言うまでもない、論じるまでもない、という意味です。「俟」は訓読みで「ま(つ)」、音読みで「シ」と読み、意味としては、期待する、あてにする、の意味を持つほか、「俟たない」の形では「必要がない」「~するまでもない」という意味となります。
また、「言を俟たない」という表現もありますが、こちらも同じ意味です。
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