今日は「五月雨」について解説する。

「五月雨」何となく聞いたことがあるとは思うが、意味を説明するとなると少しあやふやになってしまうのではないか?この言葉実はビジネスでも使うことができるようです。

今日は元外商出身のねことすなを呼んです。「五月雨」について解説してもらおう。

ライター/ねことすな

ホテル・百貨店で多くのお客様と接してきたライター。 現在も言葉を最大のコミュニケーションツールとして日々活動しつづけている。 元外商の経験から「相手の気持ちを創造する言い回し」が得意。

「五月雨」の意味・語源は?

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「五月雨」という言葉、聞いたことがありますか? 意味や語源までしっかり説明できる人は少ないのではないかと思います。 ここでは「五月雨」の意味と語源について一緒に見ていきましょう。

「五月雨」の意味は「梅雨」

「五月雨」は難読な漢字で「さみだれ」と読みます。 「ごがつあめ」ではないのですね。 この「五月雨」、6月頃から始まる「梅雨」という意味があるようですが本当でしょうか? また別の意味もあるようです。 まずは辞書で確認していきましょう。

1.陰暦五月頃に降り続く長雨。 またその時期。 つゆ。 梅雨(ばいう)。 さつきあめ。
2.(「さみだれが」少しずつ繰り返し降ることから)継続しないで繰り返す行動などについていう。 「さみだれ式」


(出典 コトバンク 精選版 日本国語大辞泉「五月雨」)

「五月雨」には「梅雨」という意味があります。 「梅雨」は6月ころから北海道を除く日本全国で降る長雨のこと。 「陰暦の五月」は夏至の日(6月21日頃)から7月中旬を指すので「梅雨」の季節とちょうど重なりますね。 また「梅雨」の雨の降り方から「だらだらと途切れることなく」という意味も。

季語としては夏。 芭蕉の歌「五月雨の集めてはやし最上川」でも夏の季語として「五月雨」が使われ、最上川の流れの速さとともに夏の暑い一日を最上川が海に流し入れて、夕方になりやっと涼しくなってきたという句意を表現しています。

5月の雨(五月雨)と書いて6月の長雨(梅)を表すとはとても興味深いですね。

「五月雨」の語源から日本語の美しさを感じよう!

「五月雨」の語源は「さつき(五月)」の「さ」と、雨が降るという意味の「みだれ(水垂れ)」が合わさってできた言葉と言われています。 (陰暦の)五月にしとしとと長く雨が続き、水が垂れるほどですよということが語源になっているようですね。 これは梅雨の季節を指すだけではなく、だらだらと途切れることなくという意味も同時に表現しています。

「五月雨」の語源を知り「さみだれ」という音の響きを聞くことで、日本語の美しさや奥ゆかしさにあらためて感心させられますね。

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「五月雨」どんなふうに使う?

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「五月雨」の使い方としてどのようなものがあるのでしょうか。 意味や語源を理解しただけでは日常生活で使っていくことは難しいですね。 ここでは例文・ビジネスでの使い方・関連する言葉を取り上げてみます。

「五月雨」を使った例文

「五月雨」の例文をあげてみました。 一緒に見ていきましょう。

1.五月雨の時期は雨が多いせいか気分が優れないことが多い。
2.会議はいつも五月雨戦術で進むので非常に時間がかかる。

「五月雨」の例文で使い方をイメージできたでしょうか。 1は季節を表す意味として使われ五月雨の憂鬱な気分を、2の「五月雨戦術」とは労働組合の戦術の総称または議会での要求や陳述などに使われる言葉で、だらだらと長く時間がかかるという様子を表しています。 一般常識として覚えておくといいですね。

「五月雨式」って?まさかビジネスでも使うの?

「五月雨式」という言葉をご存じでしょうか? あまり耳にしたことがないという人も多いかと思います。 「五月雨式」は「さみだれしき」と読み、物事が一度では終わらずにだらだらと続くことを意味しビジネスで使われている言葉。

例えばお取引先やお客様とのメールのやりとりの中で「五月雨式に申し訳ございません」と入れることがあります。 これは一度で用件を済ませられず、何度もメールを送ってしまい申し訳ないという意味合いが。

メールはデジタルツールなのでどうしても機械的になりがちなもの。 「五月雨式」という言葉を使うことで申し訳ないという気持ちを非常に柔らかく伝えることができますね。

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他にもある「五月」のつく言葉

「五月雨」で使われている「五月」。 「さつき」という響きがとても耳に心地よいですね。 「五月」がとつく言葉としては他に「五月晴れ」「五月雲」など。 「五月晴れ」は梅雨の時期に見られる晴れ間のこと、「五月雲」は「さつきぐも」と読みこれも梅雨の合間に見られる晴れ間のことを指します。

もうひとつ難読ですが「五月蠅い」。 「うるさい」と読みますが梅雨のころに飛び始める蠅(はえ)がうるさく耳障りに感じたことが由来で意味は読みのとおり。 昔の人が蠅を手やうちわなどではらう仕草が目に浮かぶような言葉ですね。

「五月晴れ」「五月雲」「五月蠅い」を見てきましたが、「五月」が表す言葉は非常に趣があり日本語の美しさを感じさせてくれるということが伝わってきます。

「五月雨」類義語・対義語は?

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「五月雨」の類義語・対義語にあてはまる言葉にはどのような言葉があるのでしょうか。 「五月雨」は季節や物・事の様子を意味する言葉なので類義語・対義語をあげても漠然としたものに感じるかもしれません。 まず順番に見ていきましょう。

類義語:「空梅雨」「断続的」

類義語として「空梅雨」「断続的」があります。 「空梅雨」は「からつゆ」と読み梅雨の時期にあまり雨が降らないこと、「断続的」は途切れたり続いたりしながらその状態は続いている、という意味が。

ひとつのことが途切れることもあるけれどもだらだらと長く続いている状態が「五月雨」と似ていますね。

対義語:「通り雨」「間欠的」

対義語としては「通り雨」「間欠的」があげられます。 「通り雨」はさっと降って上がってゆく短時間の雨、「間欠的」は一定の時間をおいて物事が起こっては止む様子を指しますので「五月雨」とは反対の意味を表しますね。 また類義語の「断続的」と対義語の「間欠的」は似た意味を持つイメージがありますが「断続的」はその状態が途切れることがあってもずっと続いていること、「間欠的」はひとつの状態が起こったり止まったりを繰り返すことを指すので相対する関係ということになります。

「五月雨」の使い方を理解して日常の会話で使ってみよう!

「五月雨」について理解できましたか? 季節そのものを表す場合とひとつの状態がだらだらと長く続くことの2つの意味があることがわかりました。 ビジネスでは「五月雨式に」を使うことで申し訳ない気持ちを柔らかく伝えることができ、さりげなく使うことができたら周りに一目置かれてしまうこと間違いなし! ということもお話ししましたね。

日本語特有の美しさを持つ「五月雨」。 ビジネスや日常の中で積極的に使ってコミュニケーションを楽しみましょう!

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国語言葉の意味

5月?6月?「五月雨」の意味と使い方は?ビジネスでも使うの?語源・類義語なども元外商の筆者がわかりやすく解説!

今日は「五月雨」について解説する。

「五月雨」何となく聞いたことがあるとは思うが、意味を説明するとなると少しあやふやになってしまうのではないか?この言葉実はビジネスでも使うことができるようです。

今日は元外商出身のねことすなを呼んです。「五月雨」について解説してもらおう。

ライター/ねことすな

ホテル・百貨店で多くのお客様と接してきたライター。 現在も言葉を最大のコミュニケーションツールとして日々活動しつづけている。 元外商の経験から「相手の気持ちを創造する言い回し」が得意。

「五月雨」の意味・語源は?

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「五月雨」という言葉、聞いたことがありますか? 意味や語源までしっかり説明できる人は少ないのではないかと思います。 ここでは「五月雨」の意味と語源について一緒に見ていきましょう。

「五月雨」の意味は「梅雨」

「五月雨」は難読な漢字で「さみだれ」と読みます。 「ごがつあめ」ではないのですね。 この「五月雨」、6月頃から始まる「梅雨」という意味があるようですが本当でしょうか? また別の意味もあるようです。 まずは辞書で確認していきましょう。

1.陰暦五月頃に降り続く長雨。 またその時期。 つゆ。 梅雨(ばいう)。 さつきあめ。
2.(「さみだれが」少しずつ繰り返し降ることから)継続しないで繰り返す行動などについていう。 「さみだれ式」


(出典 コトバンク 精選版 日本国語大辞泉「五月雨」)

「五月雨」には「梅雨」という意味があります。 「梅雨」は6月ころから北海道を除く日本全国で降る長雨のこと。 「陰暦の五月」は夏至の日(6月21日頃)から7月中旬を指すので「梅雨」の季節とちょうど重なりますね。 また「梅雨」の雨の降り方から「だらだらと途切れることなく」という意味も。

季語としては夏。 芭蕉の歌「五月雨の集めてはやし最上川」でも夏の季語として「五月雨」が使われ、最上川の流れの速さとともに夏の暑い一日を最上川が海に流し入れて、夕方になりやっと涼しくなってきたという句意を表現しています。

5月の雨(五月雨)と書いて6月の長雨(梅)を表すとはとても興味深いですね。

「五月雨」の語源から日本語の美しさを感じよう!

「五月雨」の語源は「さつき(五月)」の「さ」と、雨が降るという意味の「みだれ(水垂れ)」が合わさってできた言葉と言われています。 (陰暦の)五月にしとしとと長く雨が続き、水が垂れるほどですよということが語源になっているようですね。 これは梅雨の季節を指すだけではなく、だらだらと途切れることなくという意味も同時に表現しています。

「五月雨」の語源を知り「さみだれ」という音の響きを聞くことで、日本語の美しさや奥ゆかしさにあらためて感心させられますね。

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