この記事では「したたか」について解説する。

端的に言えばしたたかの意味は「強くしっかりしているさま」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国文学専攻の大学を卒業し、日本語教師の資格を持つasukaを呼んです。一緒に「したたか」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/asuka

国文学専攻の大学を卒業。日本文学や日本語学を学ぶうちに、言葉が持つ意味の奥深さに魅了され、在学中に日本語教師の養成講座を修了する。これまで学んだこと、経験を活かし丁寧に解説していく。

「したたか」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

それでは早速「したたか」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「したたか」の意味は?

「したたか」には、次のような意味があります。

1.非常に強いさま。てごわいさま。
2.いかめしいさま。しっかりしているさま。
3.(副詞的にも用いる)甚だしいこと。沢山。

出典:広辞苑 第六版(岩波書店)「したたか」

「したたか」とは「非常に強いさま」を意味する形容動詞です。また「たくさん」という意味で副詞的に使用されることもあります。漢字で「強か」もしくは「健か」と書きますが、ひらがなで表記されることが一般的なので特別なことがない限りはひらがなで書きましょう。「したたか」という言葉を聞いて、あなたはどのような印象を受けますか?「あの人はしたたかな人だ」というように使用されることがありますね。この表現を聞いてどのようなイメージを持つでしょうか。もしくは、「君はしたたかな人だね」と他人に言われた時どのような気持ちになりますか?きっと悪い意味に捉え「悪口を言われてるのかな」と思う人も多いでしょう。

多くの人は「したたか」という言葉にネガティブな印象を持っていると思いますが、実は「したたか」という言葉にはいくつかの意味があり使われ方によってはポジティブな表現にもなることがあります。使い方によっては褒め言葉ともなる言葉なので、この機会に正しい意味や使い方を覚えましょう。

「したたか」の語源は?

次に「したたか」の語源を確認しておきましょう。

「したたか」は「確か」という意味の語構成要素と言われる「した」を重ねたものの変化に「か」という接尾語が続いて構成された言葉だと考えられています。「確か確かである」つまり「しっかりしている」というように解釈できますね。

\次のページで「「したたか」の使い方・例文」を解説!/

「したたか」の使い方・例文

「したたか」の使い方を例文を使って見ていきましょう。例えば、以下のように使用することができます。

1.結婚した後に気づいたが、彼女はかなりしたたかな女性だった。
2.どんな逆境にもめげずチャレンジする彼のしたたかさを見習いたい。
3.彼女のようなしたたか者とは結婚は考えられない。
4.久しぶりに学生時代の友人と再会し、盛り上がってしたたか酒を飲んだ。
5.明日の天気は大荒れになるらしく、食糧をしたたか買い込んだ。

例文1では、「結婚した後に彼女が強い女性だったことに気が付いた」ということですが、これだけでは良い意味なのか悪い意味なのか判断できません。そこで次のような言い回しだとどうでしょう。「結婚した後に気づいたが、彼女は仕事も家事もこなすしたたかな女性だった」これは、結婚して彼女の自立した強さに気づいたという意味になります。「したたか」という言葉が一気にポジティブな表現へと変化しました。また「結婚した後に気づいたが、彼女はかなりしたたかな女性で参った」と言葉を変えると急にネガティブな表現になったことが分かりますね。「したたかな女性」あるいは「したたかな男性」と言われると「損得を考えて行動している」「計算高い」と悪い意味で捉えがちですが文脈によってはその限りではありません。

例文2はポジティブな表現、例文3ではネガティブな表現で「したたか」という言葉が使用されていることが分かりますね。また例文4、5では「たくさん酒を飲んだ」「食糧をたくさん買い込んだ」と「したたか」が副詞的な用法で使用されています。このように様々な場面で使用できる言葉ですが、普通「したたか」と言われて喜ぶ人はほとんどいないので使用する場面や相手には注意が必要です。例えばビジネスシーンにおいて上司から部下へ「このプロジェクトを成功させるとは、さすがしたたか者め」と言われたとします。これは褒め言葉として受け取れそうですが部下が「課長のしたたかさには参りました」と褒め言葉として使用するとどうでしょう?何とも微妙な空気になることが想像できませんか?また、就職あるいは転職などの面接で「したたかさが自分の長所です」とアピールすることもおすすめできません。

「したたか」の類義語は?違いは?

image by iStockphoto

続いて、「したたか」の類義語について確認しましょう。

「我慢強い」

「我慢強い」とは「がまんづよい」と読み「忍耐力があるさま」を意味する言葉です。「したたか」が持つ肯定的な意味と類似していると言えるでしょう。例えば「彼女は我慢強い性格だ」「彼は苦境に耐えながら我慢強くチャンスを待つ」などと使用することができます。

\次のページで「「あざとい」」を解説!/

「あざとい」

「あざとい」とは「抜け目がなく貪欲であるさま」を意味する言葉です。「したたか」の否定的な意味と類似していますね。例として「あざとい商法」や「あざとい考え方」などが考えられます。また最近では若い年代を中心に「あざとい」の持つ本来の否定的なニュアンスもありながら「抜け目なく計算高いけど、かわいい」と言ったように肯定的なニュアンスを含んで使用されていることが特徴的です。こうした「あざとい」の持つ意味の変化は「したたか」との大きな違いといえるでしょう。

「したたか」の対義語は?

image by iStockphoto

続いて、「したたか」の対義語について見ていきましょう。

「神経質」

「神経質」とは「しんけいしつ」と読み「気にしなくてもよいような細かいことまで気に病むこと」を意味します。強さやしっかりしているさまを表す「したたか」とは反対の意味になりますね。例えば「彼は見た目に反して神経質な性格だ」というように使用できます。

「ひ弱」

「ひ弱」は「ひよわ」と読み「もろくて弱々しいさま」を意味する言葉です。これも「したたか」とは反対の意味を持つ言葉ですね。例えば「私は生まれつき体が弱くひ弱な子供だった」と使用することができます。

「したたか」を使いこなそう

この記事では「したたか」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「したたか」にはポジティブな意味とネガティブな意味の両方があることは理解できましたか?知っている言葉が増えると語彙力アップにもつながりますので正しい意味を押さえましょう。近年は簡単に情報が手に入り便利な世の中となりましたが、あらゆる情報に惑わされることなく「したたか」に日々を過ごしていきたいですね。

" /> 「したたか」の意味や使い方は?例文や類語を国文学部卒ライターがわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

「したたか」の意味や使い方は?例文や類語を国文学部卒ライターがわかりやすく解説!

この記事では「したたか」について解説する。

端的に言えばしたたかの意味は「強くしっかりしているさま」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国文学専攻の大学を卒業し、日本語教師の資格を持つasukaを呼んです。一緒に「したたか」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/asuka

国文学専攻の大学を卒業。日本文学や日本語学を学ぶうちに、言葉が持つ意味の奥深さに魅了され、在学中に日本語教師の養成講座を修了する。これまで学んだこと、経験を活かし丁寧に解説していく。

「したたか」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

それでは早速「したたか」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「したたか」の意味は?

「したたか」には、次のような意味があります。

1.非常に強いさま。てごわいさま。
2.いかめしいさま。しっかりしているさま。
3.(副詞的にも用いる)甚だしいこと。沢山。

出典:広辞苑 第六版(岩波書店)「したたか」

「したたか」とは「非常に強いさま」を意味する形容動詞です。また「たくさん」という意味で副詞的に使用されることもあります。漢字で「強か」もしくは「健か」と書きますが、ひらがなで表記されることが一般的なので特別なことがない限りはひらがなで書きましょう。「したたか」という言葉を聞いて、あなたはどのような印象を受けますか?「あの人はしたたかな人だ」というように使用されることがありますね。この表現を聞いてどのようなイメージを持つでしょうか。もしくは、「君はしたたかな人だね」と他人に言われた時どのような気持ちになりますか?きっと悪い意味に捉え「悪口を言われてるのかな」と思う人も多いでしょう。

多くの人は「したたか」という言葉にネガティブな印象を持っていると思いますが、実は「したたか」という言葉にはいくつかの意味があり使われ方によってはポジティブな表現にもなることがあります。使い方によっては褒め言葉ともなる言葉なので、この機会に正しい意味や使い方を覚えましょう。

「したたか」の語源は?

次に「したたか」の語源を確認しておきましょう。

「したたか」は「確か」という意味の語構成要素と言われる「した」を重ねたものの変化に「か」という接尾語が続いて構成された言葉だと考えられています。「確か確かである」つまり「しっかりしている」というように解釈できますね。

\次のページで「「したたか」の使い方・例文」を解説!/

次のページを読む
1 2 3
Share: