「惰性」の使い方・例文
「惰性」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。
1.今までは特に自分を取り繕う事なく自然のままの性質でファッションも惰性的なものしか身につけた事が無かったが、彼に恋心を抱いてからは人気女性タレントの生き方を真似したり華やかなファッションにもチャレンジするなど、自分磨きを努力するようになった。
2.必要な情報を十分に検索して工夫することもなく惰性で開催場所を選んでしまったため、来場者数は当初見込んでいた人数の半数にも満たなかった。
3.第一志望の大手企業のエントリー締切日時に間に合わず、惰性で経験もない翻訳の仕事の募集に申し込んだところ、なんと受かってしまった。
例文を見ていただくとわかる通り、「惰性」は「惰性で」や「惰性的に」といった使い方をします。慎重に緊迫感を持って物事に接したり、いつもと違ったひと工夫をするなどと真逆の状況の時に用いる事が分かりますね。
例文の1番目と3番目は「怠る」や「取り敢えず」といった意味合いで「惰性」を用いています。相手に第一人称として与えられる印象は、まずはファッションや見た目の華やかさですよね。1番目の例文で示している「惰性的なファッション」とは、このような自分の第一印象の要となるファッションに特に気を使う事なく自分にとって楽な普段通りの服装などですね。3番目の例文での「惰性」は、「取り敢えず」や「特に意味はなく」といったニュアンスを含みます。「惰性」は基本的にネガティブな意味で用いられる事が多いですが、何事も思い詰めすぎるよりも、少し気を抜いた方が上手くいったというような経験はありませんか?そんな時は「惰性だったが上手くいった」などのようにポジティブな意味でも用いる事ができますよ。
「惰性」の類義語は?違いは?
image by iStockphoto
「惰性」には、「これまでの習慣や癖」という意味がある事が分かりました。しかし、「惰性」を日常的に用いた時、「怠ける」や「取り敢えず」といったニュアンスの方が強い場合もありましたね。
このことを踏まえ、それぞれの意味に対応する類義語をひとつずつ紹介します。
「因習」
まずは「これまでの癖や習慣」の方の類義語として、「因習」が挙げられます。「因習」とは、古くから伝わるしきたりに従うことを表現する言葉で、しきたりをそのまま従いすぎるあまりに生まれる弊害などのニュアンスも表現する言葉です。「惰性」はこれまでの習慣や癖に囚われて躍進的な事に挑戦しないという意味を示すので、「因習」が類義語になる事が分かりますね。
ただの「習慣」だけだといい意味で続けている事という意味も含みますが、「因習」として示すと、古くて時代錯誤な習慣といったニュアンスだけを伝える事が出来るので、「惰性」のネガティブな表現を別の言い方で表現したい場合は、この「因習」が最適です。
\次のページで「「漫然」」を解説!/