今回は「感覚器官」をテーマに学習していこう。

普段あまり意識することはないかもしれないが、我々は様々な刺激を受け取り、その情報を処理している。刺激を受け取る「感覚器官」みんなはいくつあげられるでしょうか?

大学で生物学を学び、現在は講師としても活動しているオノヅカユウに解説してもらおう。

ライター/小野塚ユウ

生物学を中心に幅広く講義をする理系現役講師。大学時代の長い研究生活で得た知識をもとに日々奮闘中。「楽しくわかりやすい科学の授業」が目標。

感覚器官

感覚器官(かんかくきかん)とは、環境の変化や外界からの刺激を受け取り、中枢神経に伝えることのできる器官です。感覚器という名称の方がよく使われますが、中学校の理科などでは”感覚器官”と書いてあることの方が多いかもしれません。

また、感覚受容器という名前でよばれることもあります。

image by iStockphoto

このあと詳しくご紹介しますが、生き物の多くはからだに複数の感覚器官をもちます。感覚器官で受けた刺激は末梢神経(感覚神経)によって脳へ送られ、情報を脳で処理することで外界を認識したり、その情報をもとに行動を起こすことができるのです。

このような、感覚神経やその情報を処理する脳(中枢神経)の部分をまとめて感覚器官ということもあります。

\次のページで「ヒトのもつ感覚器官」を解説!/

ヒトのもつ感覚器官

では、今回は私たち人間…ヒトという生物が備えている感覚器官をまとめてみましょう。

は、外界から入ってくる光を刺激として受け取ることのできる感覚器官です。可視光が眼球に入ってくると、その量や波長に応じて視細胞(桿体細胞や錐体細胞)が活性化し、視神経に刺激をおくります

逆にいうと、可視光の範囲から外れる波長の光は、それを刺激として受け取る=認識することができません。可視光の範囲は生物によって異なるので、注意が必要です。

音を刺激として受け取るのがです。

音というのは、空気の振動にほかなりません。私たちの耳が音として認識できる空気の振動は特に音波とよばれます。

image by iStockphoto

音波が耳の中へ侵入すると、それによって鼓膜が震えます。

鼓膜の振動が中耳にある耳小骨(じしょうこつ)という骨を震わせ、さらにそれが内示の蝸牛(かぎゅう)に到達。蝸牛の中にある有毛細胞を興奮させます。

これが電気的な信号となり、脳に送られて情報処理されることで、音として認識されるのです。

\次のページで「鼻」を解説!/

におい(匂い)を感じるための器官がですね。

みなさんは、「なぜにおいを感じるのか」を考えたことはありますか?においは、においの原因となる分子(におい物質)が鼻の中にある嗅細胞(きゅうさいぼう)の受容体に結合することで検知されます

得られた刺激は、嗅神経(きゅうしんけい)によって脳の嗅球(きゅうきゅう)へ。さらに脳の別の場所へ刺激が伝わることで、においとして認識されます。

味蕾

ものを食べたとき、その味を感じるのは舌にある味蕾(みらい)という器官です。

一つの味蕾は、いろいろな性質をもつたくさんの細胞からなりますが、その一部が味を感じる味細胞としてはたらきます。味細胞には、味の刺激となる分子(味物質)を受け取る受容体が存在するため、刺激を受け取ることができるのです。

image by iStockphoto

味といっても、一種類ではありません。ヒトの場合、味蕾では5つの味を感じることができます。

「甘み(甘味)」「酸っぱさ(酸味)」「しょっぱさ(塩味)」「苦さ(苦味)」「うまみ(うま味)」です。

意外にも、これら以外の”味”は味蕾で感じる以外の別の刺激と考えられています。

例えば、トウガラシなどを食べたときに感じる「辛さ(辛味)」は、痛みを感じる受容体を刺激することで認識されます。

歯磨き粉やミント味のお菓子などを口に含んだときに感じる「冷たさ」も、”低温”を刺激として受け取る受容体によるものです。痛みや冷たさは、口の中以外…例えば手のひらなんかでも感じることができますよね。

味蕾以外が受け取る刺激もすべてひっくるめて”味覚”や”風味”などとよぶことがあります。私たちが認識している食べ物の”味”というのは、結構複雑なんです。

皮膚

先ほどの「辛さ」や「冷たさ」の例のように、皮膚でも様々な刺激を感じ取ることができます。

痛み(痛覚)、熱さ・冷たさ(温度覚)、何かが触れているという感覚(触覚)…それぞれの刺激に対して、それを受容できる細胞が存在すると考えられれているのです。

image by Study-Z編集部

以上の5つの感覚器官が受け取り、中枢神経で処理される情報は特に五感とよばれます。

視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚。これらは、私たち人間が外界から受け取ることのできる代表的な情報です。「五感が鋭い」など、一般的に使われる言葉にもなっていますね。

\次のページで「三半規管」を解説!/

以上は、必ず覚えておいてほしい感覚器官なのですが…じつは、上記のもの以外にも感覚器官は存在します。三半規管筋紡錘腱器官を追加でご紹介しましょう。

三半規管

三半規管(さんはんきかん)は耳の奥にあるチューブ状の器官で、平衡感覚をつかさどります。内部にはリンパ液が満たされており、その動きによって体の回転や傾きを感じ取っているのです。

ぐるぐると回り続けた後に制止すると、いつまでも体が回転し続けたように感じるのは、体が止まってもリンパ液が動き続けていることによります。

筋紡錘

image by iStockphoto

筋紡錘(きんぼうすい)筋肉の”伸び”を検知する感覚器です。筋紡錘は骨格筋(錘外筋繊維)と並行して存在し、筋肉の伸長に応じて刺激をおくります。

筋紡錘によって筋肉ののび具合が伝えられることで、筋肉が伸び続けないように調節されるのです。

腱紡錘

腱の伸長を感じ取るのが腱紡錘(けんぼうすい)です。ゴルジ腱器官ともよばれます。

腱の内部に存在する腱紡錘の役割は、筋肉が縮みっぱなしにならないよう調節すること。筋肉が縮むことによって腱が伸びると、それが脊髄に刺激として送られ、筋肉を緩めるような刺激が返ってきます

腱紡錘がうまくはたらかなくなると、縮めた筋肉が戻らなくなってしまうのですが、これが「筋肉がつった状態」、「こむら返り」の原因の一つとなっているんです。

生物によっては、別の感覚器官をもつものも!

今回は、感覚器官について改めて整理してみました。中学校でも習う内容ですが、改めて考えてみると、生物はとてもたくさんの情報を受け取り、処理することで生きているのだと実感できます。

この記事で紹介したもの以外にも、ヒト以外の生物では、私たちがもっていないような感覚器官を備えた生物がいるのですが…皆さんはご存じですか?どんなものがあるか、ぜひ調べてみてください。

イラスト提供元:いらすとや

" /> あなたはいくつ言える?「感覚器官」について現役講師がまとめます! – Study-Z
理科生物

あなたはいくつ言える?「感覚器官」について現役講師がまとめます!

今回は「感覚器官」をテーマに学習していこう。

普段あまり意識することはないかもしれないが、我々は様々な刺激を受け取り、その情報を処理している。刺激を受け取る「感覚器官」みんなはいくつあげられるでしょうか?

大学で生物学を学び、現在は講師としても活動しているオノヅカユウに解説してもらおう。

ライター/小野塚ユウ

生物学を中心に幅広く講義をする理系現役講師。大学時代の長い研究生活で得た知識をもとに日々奮闘中。「楽しくわかりやすい科学の授業」が目標。

感覚器官

感覚器官(かんかくきかん)とは、環境の変化や外界からの刺激を受け取り、中枢神経に伝えることのできる器官です。感覚器という名称の方がよく使われますが、中学校の理科などでは”感覚器官”と書いてあることの方が多いかもしれません。

また、感覚受容器という名前でよばれることもあります。

image by iStockphoto

このあと詳しくご紹介しますが、生き物の多くはからだに複数の感覚器官をもちます。感覚器官で受けた刺激は末梢神経(感覚神経)によって脳へ送られ、情報を脳で処理することで外界を認識したり、その情報をもとに行動を起こすことができるのです。

このような、感覚神経やその情報を処理する脳(中枢神経)の部分をまとめて感覚器官ということもあります。

\次のページで「ヒトのもつ感覚器官」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: