この記事では「嘲る」について解説する。

端的に言えば嘲るの意味は「馬鹿にする」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使ったり表現できるシーンが増えるぞ。

大学時代に文学サークルに所属していた読書好きライターおまめを呼んです。一緒に「嘲る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/omame

大学時代に人文学系の学問を専攻し、大学の文学サークルで活動してきた生粋の文系人間。読者にとって役立つ言語や単語の情報を平易な言葉で紹介する。

「嘲る」の意味や使い方まとめ

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なんとなくあまり良くないイメージのある「嘲る」という言葉。「嘲る」はひらがなでは「あざける」と読みます。それでは早速「嘲る」の意味や使い方を見ていきましょう。

「嘲る」の意味は?

「嘲る」については国語辞典の中で次のような意味があると書かれています。

 

面と向かってけいべつする言動・態度を見せる

出典:新明解国語辞典 大六版(三省堂)「嘲る」

「嘲る」は辞書に書かれていた通り、誰かをバカにする気持ちを態度や様子として表に出すことです。基本的に自分よりも能力や立場が下の対象を馬鹿にする時、もしくは失敗した人を小バカにする時に使われます。

小説等の心情描写を書いた文章の中でよく使われる言葉であり、ビジネス等の堅い文章の中で用いられる言葉ではありません。また、日常生活においても「嘲る」という言葉を話言葉として使う機会はほとんどなく、「馬鹿にする」「鼻で笑う」というような似た意味を持つ言葉のほうがよく使われることでしょう。しかし、馬鹿にした気持ちを言動や態度として表に出す「嘲る」という行為は意外とやりがちな行為です。あまりいい印象を与える言動ではない「嘲る」という行為が相手や第三者に気づかれると人間関係に非常に悪い影響を及ぼす場合もありますので十分注意しましょう。

「嘲る」の語源は?

それでは、嘲るの語源の説明です。「口」+「朝」で「嘲」という漢字になります。鳥が朝に口を開けて鳴き声を上げる様子から、人々が声を上げてからかい笑う意味を持つ「嘲る」が成り立ったとも言われているようです。

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「嘲る」の使い方や例文

まずは「嘲る」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.つまづいた私を見て、嘲るように笑った彼女に対して嫌悪の情が沸いた。
2.貧相な身なりの女を嘲た富裕層な男たちに品格は感じられなかった
3.受験に失敗した兄は、「ほらやっぱり俺には才能がなかったんだ」と自らを嘲るような笑みを浮かべた。

「嘲る」という言葉が馬鹿にする・軽蔑した態度を見せると説明しました。馬鹿にするというのは基本的にある人物や集団が他の対象に対して行うものです。例文1と例文2ではある人物や集団が他人を「見下す・軽蔑する」というように他の対象に向けて「嘲る」という言葉が使われていました。しかし、例文3においては受験に失敗した兄が自分の失敗を自分で馬鹿にするというシチュエーションで用いました。このように「嘲る」という言葉は他者に向けてだけでなく自分に対しても使われます。この自分を嘲るという言葉を熟語にすると「自嘲」という言葉になり、「自嘲めいた笑いを浮かべた」などというふうに様々な文章で用いられているのをご存じの方も多いのではないでしょうか。

一般的に自分に対して「嘲る」という行動をする人は、ナイーブでネガティブな性格の人が多いような気がします。自分を自分で小ばかに「失敗した自分の自尊心を保ちたい」という思いや、「うまくいかなかった時のために予防線を張っておきたい」という思いがあるのかもしれません。

また、例文1の「嘲るように笑った」と例文の3「嘲るような笑みを浮かべた」のように「嘲る」という言葉は笑うという言葉とよく一緒に使われます。この笑い時の笑いは口を開けておおらかに笑うのではなく、「鼻で笑う」というように、どことなく皮肉屋な印象を与える笑い方。このような小ばかにするような笑いのことを「嘲笑」といいます。

「嘲る」の類義語は?違いは?

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まずは「嘲る」の類義語について紹介していきます。

「蔑む」「見くびる」

「嘲る」と似たような意味を持つ言葉として「蔑む」「見下す」が挙げられます。

「蔑む」は「嘲る」と同じように馬鹿にし、見下すという意味です。しかし「嘲る」が馬鹿にした様子を表情や行動で表に出す時に使われるのに対し、「蔑む」は馬鹿にした気持ちを表に出さず、心の中で留める場合でも用いられます。

「見くびる」は相手を軽くみるという意味です。失敗した者や地位が下の者を馬鹿にするというニュアンスのある「嘲る」と違い、「見くびる」には馬鹿にするという意識は薄く、実力や立場の劣った対象を自分よりも単純に下に見て軽視する時に使われます。また、「自嘲」のように自分を馬鹿にする際にも用いられる「嘲る」と違い「見くびる」は自分とは別の相手に対して使うことが多く、自分に用いることはあまりありません。

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「嘲る」の対義語は?

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さらに「嘲る」の対義語についてもあわせてみていきましょう。

「敬う」

「嘲る」と対比した反対語としての意味を持つ言葉はいくつかありますが、代表的なものの一つに「敬う」があります。オフィシャルな場面やビジネス両方でよく使われる言葉で、大人になるにつれて目にする機会が多くなる言葉でもあるのではないでしょうか。優れたものとして大切にするという意味です。しかし、「嘲る」が馬鹿にした気持ちを行動や様子として表に出す時に使われるのに対して、「敬う」は気持ちを表に出さず、心の中で留めておく場合でも使うことができます。

「嘲る」を使いこなそう

この記事では「嘲る」の意味・使い方・類語などを説明しました。なんとなくなら意味は分かるものの、具体的にはどういう意味か人によっては分かりにくい言葉なのかもしれません。ポイントとなるのは心の中で馬鹿にするだけでなく、馬鹿にした気持ちを言動や表情として表に出すという点です。

他人から認められたいという承認欲求や自尊心は多くの人が持っているものだと思います。他者を「嘲る」ひとは、他者を馬鹿にして自らの自尊心を満たしたいという思いを特に強くもっている人なのかもしれません。残念ながら他者を小ばかにし「嘲る」人はまだ多い世の中ですが、そういった方が少しでも減っていけばいいですね。

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国語言葉の意味

「嘲る」の意味や使い方は?例文や類語を読書好きライターがわかりやすく解説

「嘲る」の対義語は?

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さらに「嘲る」の対義語についてもあわせてみていきましょう。

「敬う」

「嘲る」と対比した反対語としての意味を持つ言葉はいくつかありますが、代表的なものの一つに「敬う」があります。オフィシャルな場面やビジネス両方でよく使われる言葉で、大人になるにつれて目にする機会が多くなる言葉でもあるのではないでしょうか。優れたものとして大切にするという意味です。しかし、「嘲る」が馬鹿にした気持ちを行動や様子として表に出す時に使われるのに対して、「敬う」は気持ちを表に出さず、心の中で留めておく場合でも使うことができます。

「嘲る」を使いこなそう

この記事では「嘲る」の意味・使い方・類語などを説明しました。なんとなくなら意味は分かるものの、具体的にはどういう意味か人によっては分かりにくい言葉なのかもしれません。ポイントとなるのは心の中で馬鹿にするだけでなく、馬鹿にした気持ちを言動や表情として表に出すという点です。

他人から認められたいという承認欲求や自尊心は多くの人が持っているものだと思います。他者を「嘲る」ひとは、他者を馬鹿にして自らの自尊心を満たしたいという思いを特に強くもっている人なのかもしれません。残念ながら他者を小ばかにし「嘲る」人はまだ多い世の中ですが、そういった方が少しでも減っていけばいいですね。

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